【インタビュー】ローンチから2年で月間100万SS!オウンドメディア立ち上げ設計〜コンテンツ支援事例|株式会社トライアルカンパニー

「あなたの生活必需品店」をコンセプトとしたスーパー「トライアル」を全国で展開している株式会社トライアルカンパニー。ナイルとの取り組みは2021年1月から始まり、オウンドメディア「トライアルマガジン」の立ち上げから運営を現在に至るまで共に行なっています。

ローンチから2年で100万セッションを獲得するなど、メディアとして確かな成長と成果を生んでいます。

そこで今回は、株式会社トライアルカンパニー マーケティング部 部長 野田大輔氏、そしてナイルから本プロジェクトを担当する加藤に、詳しい話を伺いました。

トライアルカンパニー事例

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メディアの変化に備えてオウンドメディア立ち上げを決意

――まずは御社のサービス概要について伺えますでしょうか。

株式会社トライアルカンパニー 野田大輔氏(以下、野田):弊社のメインは小売業で、スーパー「トライアル」を本社のある福岡県を中心に全国で293店舗(2023年6月末時点)を展開しています。主力業態は1200〜1300坪のスーパーセンターで、扱う商品は生鮮食品をはじめとする食品から日用品、生活家電、カー用品まで幅広く取り揃えております。

オウンドメディア「トライアルマガジン」

オウンドメディア「トライアルマガジン」

 

――弊社とのプロジェクト開始は2021年1月頃。パートナーを選ぶにあたっては複数の候補があったと伺っていますが、その中からナイルを選んでいただいた決め手はどこにあったのでしょうか。

トライアルカンパニー 野田大輔 氏

トライアルカンパニー 野田大輔 氏

野田:重要視していたのは、編集長になるのは誰かという点と、どういう向き合い方をしていただけるのかの2点でした。やはり我々は生鮮食品や日用品を扱うスーパーマーケットですから、きちんと生活感がある人に編集長をやってほしいと思っていて。そういう意味では男性より女性がいいのではないかと思っていましたし、加藤さんとも実際に会っていろいろなことをお話しして、お願いするのは加藤さんがいいなと思った次第です。

 

――オウンドメディアを立ち上げようと思われた背景には、どのようなものがあったのでしょうか。

野田:一番大きかったのはメディアが変化してきているということでした。我々のようなスーパーマーケット業態の場合、もともとのプロダクトアウトは大量生産・大量販売がベースで、広告を打つと言えばテレビや新聞が主流でした。
以前はそれがお茶の間に情報を届けるためのツールだったわけですが、そういった家族みんなが一つのスクリーンを見ていた時代から、ブログの時代になり、SNSの時代になり……と、メディアは少しずつ変遷を遂げています。それでも我々は変わらずチラシをメインにやっていたんですね。

ただ、新聞の購読率も年々下がっていますので、近い将来、「トライアルのオリジナル商品の情報をどうやってお客様に伝えればいいのか」という課題に直面することは免れません。それを解決したいというか、そうならないための準備をしておきたいという思いがありました。

 

――実際オウンドメディアを立ち上げるにあたり、どのようなものにしたいというイメージやコンセプトはお持ちだったのでしょうか。

野田:当初は具体的なイメージもコンセプトもなんとなくしかありませんでした。なので、編集長を誰にするかが重要だったんですよね。加藤さんが編集長になり、具体的なことは加藤さんにご提案いただきながら決めていった感じでした。

 

――そこで加藤さんはどのような提案をされましたか?

ナイル 加藤直子

ナイル 加藤直子

ナイル株式会社 加藤直子氏(以下、加藤):トライアルさんの顧客のボリュームゾーンが60代以上のシニア層であることを伺った上で、オウンドメディアではそれよりも若い、30〜40代の働く女性をターゲットにしていく形にまとまりました。LTVを高める意味でも、30〜40代の方たちによりトライアルを利用していただく流れに持っていきたいというのがありましたね。

 

――コンセプトが決まった後のKPIは何を指標にされたのでしょうか。

野田:そこも最初は漠然としていましたよね。0から1を作っていたこともあって、明確に“これ”と言えるような数値は設けていませんでした。とはいえ、社内でデジタルでの接触来店を何%にするかの目標値はあったので、その一部をオウンドメディアが担うというイメージはありましたね。

加藤:KPI設定に関しては、立ち上げるのがECサイトではないため、オウンドメディア経由で来店してくれたかどうかを明確に測るのは難しいこともあり、悩みどころでした。いろいろ考えた結果、最終的には店舗検索ページへの遷移数を中間コンバージョンの指標にしていましたが、ここも当初は厳密に追っていたわけではありません。

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ユーザーを細かく分類することで、ターゲットを明確にする

――2021年6月のローンチまで約半年間の準備期間がありましたが、どのような取り組みスケジュールで進められたのでしょうか。

 

取り組みスケジュール

  • 2021年1月頃:オウンドメディア戦略策定
    (ユーザーインタビュー、ペルソナ設計、カスタマージャーニー作成、オウンドメディアコンセプト、制作コンテンツ戦略策定、SNS活用方法提案など)
  • 2021.4~5月:コンテンツ制作、サイト制作ディレクション
  • 2021.6月後半:「トライアルマガジン」ローンチ

加藤:一般的な手法ではありますが、まずは調査を行いました。トライアルに来店されている方の買い物の傾向や日常生活で感じている課題を伺うといったユーザー調査、さらに競合調査を行った上で、オウンドメディアの目的、コンセプトを明確にし、具体的にコンテンツ制作に落とし込んでいった感じです。その間は週1くらいのペースで野田さんとミーティングをさせていただき、認識の齟齬がないよう入念にすり合わせながら作業を進めていました。

オウンドメディアの提案書を完成させて、野田さんからGOサインをいただいたのが3月下旬。4月からサイト制作とコンテンツ制作を同時進行で進め、6月のローンチに漕ぎ着けた感じです。

 

――コンテンツ戦略としては、どのような内容で制作を進めていかれたのでしょうか。

加藤:トライアルさんの出店分布状況を鑑み、まずは商圏内のユーザーに働きかけることにしました。そこで、ユーザーを4つのカテゴリーに分けたんです。
どう分けたかというと、すでにトライアルさんを利用されている既存顧客の中で、食材から日用品までほとんどをトライアルさんで購入している方と、スポット的に利用されている方とで2つ。もう2つは、トライアルさんを利用していない方々の中で、トライアルさんを認知している方としていない方に分けました。

その上で、既存顧客の方々はもちろんですが、さらに「(トライアルさんのことを)認知はしているけど、まだ来店していない」という方の利用促進にも重きを置いて、当初はどちらかというとSEO以外のチャネルからのトラフィックを重視し新規顧客の獲得も意識したながらコンテンツ制作を行なっていきました。

 

――また、記事の公開順というのも重要になってくるのではないかと思いますが、その点はどのようなことを意識していましたか?

加藤:やはり、トライアルさんへの来店を決めていただく決め手になるような記事を優先して出しました。そこも野田さんと相談させていただきながら決めていきましたね。

 

――「トライアルマガジン」ローンチ後の反響や成果はいかがでしょうか。

野田:ローンチ後、まずは接触者の年齢が20代、30代、40代にグッと下がり、それまでリーチできなかった層にリーチできたというのが、社内の反応としても非常に大きい点でした。さらに、MAUやYAUが思った以上に上がっているなという手応えは、現時点でも感じています。 また、トライアルマガジンのどの記事にアクセスが多いかなどを分析することで、生活者が求めているものは何かを知ることができるのも魅力ですね。

SEOにおける“勝ち筋”を見つけることが重要

――公開された記事の中でも「数の子の塩抜き」は、ローンチから半年足らずで「Google検索から17万クリック獲得した記事」としてナイル社内でも話題になりました。他の記事と比べ、明らかに初動が違うといった違いがあったのでしょうか。

PV数の推移

 

加藤:「数の子の塩抜き」の記事は、割と公開してすぐに検索順位が1、2位になって、公開から3日ぐらい経った頃には信じられない数字になっていた印象がありますね。ちょうど年末で、おせち料理の作り方系の記事が一番伸びるタイミングだったことも関係していたのかなと思います。

野田:あの記事はすごかったですね。確かにタイミングも良かったと思います。ただ、ああいったものを今後どうやって再現するのか。簡単なことではないからこそ、考えていかないといけないと思っています。

加藤:「数の子の塩抜き」みたいな記事はそう簡単にできるものではありませんが、例えば、ユーザーの方がシーズンごとに「この記事が見たくなる」と思うようなヒット記事を作っていくことで、「トライアルマガジン」のプレゼンスを高めていけたらいいなとは思っています。 また、ちょうどこの直前くらいに、レシピ系記事の構造化データを実装し始めていて。その直後に17万クリック獲得という状況になったので、そこでだいぶデータの上積みができたことは、その後の取り組みにも活かされています。

 

――ローンチから約2年が経った今年7月には、100万セッションを達成。ここまで成果を出せた要因というのは何だと思いますか?

 

加藤:いろいろなことが考えられますが……中でもSEOの面から総じて言えるのは、とにかく手数を増やすことでしょうか。 メディアを成長させるためには、新規コンテンツを継続的に作っていくことが大切ですが、それと同時に、すでに公開されている記事を改善していくことも必要になってきます。

なので、新規の記事制作を行う一方で、公開中の記事の検索順位状況をふまえてタイトルを修正したり、記事の中に内部リンクを入れたり、原稿をリライトしたり…といったことを、ずっとやっている感じですね。 特に、トライアルマガジンは季節性のある記事が多いので、それらをピークがくる前にアップデートしておくことを意識しています。
とはいえ、これはSEO対策ということ以上により、ユーザーさんの役に立つものであること、それが一番新しい最新の情報であるべきという考え方に基づいたものになります。

 

――そういった改善は、都度野田さんに確認しながら進めているのでしょうか。

加藤:既存記事の変更・改善に関しての大部分は任せていただいています。やっぱり、すべてにおいてお伺いを立てていくと、スピード感を持って進められないので、タイトル修正などちょっとした記事のアップデートについては私の判断で進めさせてもらっています。 CMSを自分で動かせることもあって、気づいたらすぐに行動できることも、今の成果につながっているように感じます。

 

――加藤さんに対する裁量を大きくしてくださっているのには、どのような理由があるのでしょうか。

 

野田:裁量を大きくしているというより、向かっていくベクトルが同じだったら安心ですよね。そういう後々のことを考えて、最初に、向かっていく方向に合う人かどうかをちゃんと話して人選したということです。

加藤:「向かっていくベクトル」という面では、プロジェクトがスタートした当初から野田さんが常々おっしゃっていた、「SEOにおけるトライアルマガジンの“勝ち筋”を見つけてほしい」という言葉が一つの指標になりました。 生鮮食品を扱うことが多いため、どうしてもレシピ系の記事を作りたくなってしまうのですが、すでにレッドオーシャンであるレシピの分野に新興のメディアが真っ向勝負を挑んでも、なかなか順位を獲得することはできません。そういう中で、ユーザーに刺さるキーワードは何なのか。そこをひたすら探し続けてきましたが、最近ようやく、なんとなくの勝ち筋が見えてきたような気がしていています。

 

――どのようなきっかけで勝ち筋のヒントが見えてきましたか?

加藤:これもひたすらトライアンドエラーを繰り返す感じでしたね。野田さんと毎月企画会議をさせていただきながらいろいろ試してきた中で、トライアルマガジンでは食材の保存方法や調理のノウハウなど、いわゆる直球のレシピではない記事に早い段階で順位がつく傾向があるとわかったので、最近はそこに力を入れるようにしています。

両社が「同じ目線」で話すために意識していることとは?

――ナイルとのお付き合いが始まって3年近くになりますが、マーケティング支援において良かった点や、加藤さんとのやりとりで印象に残っているエピソードなどありましたら教えていただけますか。

野田:印象に残っているエピソード……話をスムーズに、同じ目線でできるのはいいなと思いますね。そのために、私も毎朝アクセス数や検索数といった数字はチェックしていますし。逆にいうと、我々運営側も、ナイルさんにすべてお任せというわけではなく、自分たちが運営しているメディアとして常に気を配っておくことが大事なんじゃないかと思いますね。

もし数字を見てなかったら、アクセス数の増加などの報告を受けてもピンとこないと思うんですよ。言われたことを理解し、同じ目線で話すためにも、支援を受ける側の我々も努力し続ける必要があるし、そうでないといいものはできないなと思っています。

加藤:ここまで私がいろいろとやってきたような話をしていますが、実はそこをディレクションしてくれているのは、やはり野田さんなんですよね。定期的に、現状を踏まえて「こういうことを考えてほしい」「こういう感じにしてほしい」といったオーダーを野田さんがくださって、それに応える形で私も方向性を検討しているので。

野田:だから、できあがってきた記事に対してというより、企画を決めるときの方が細かく聞きますよね。加藤さんがいろいろ提案してくださる中で、「これは過去に成功したパターンのどれと一緒ですか?」って。コンテンツ制作は“勝ちパターン”を作ること、それを増やしていくことが重要だと思っているので。
逆に記事の中身に関しては、最終的にコンバージョンに繋がるかどうかの精査をするくらいで、それ以外のことはほぼ加藤さんにお任せしています。

 

――では最後に、今後「トライアルマガジン」を通して目指していくところや、マーケティングで注力していきたい展望がありましたら伺わせてください。

野田:目指していることと言うと、ユーザー数を今の3倍にすることですね。一方、マーケティングの観点では、弊社にしかない良さ、商品を知っていただくために、SEOでも“評判”を作っていくことが重要かなと思っています。
また、今すぐにではないですが、これから年数が経っていくにつれて、場合によってはモデルチェンジが必要になってくる部分も出てくるような気がしています。そこに関しては、今後加藤さんともいろいろ話しながら進めていきたいですね。

加藤:ユーザー数を増やすことはもちろん、トライアルマガジンの知名度をより高めたいという気持ちがあります。というのも、1年ほど前にトライアルさんの店舗でアンケートを取っていただいたことがあるのですが、トライアルマガジンのことを知っていると答えた方が50%に満たなかったんです。
トライアルさんのメディアである以上、そこはやはり100%に近付けることを目指し、お店とお客さまの橋渡しになるようなメディアにしていきたいですね。それだけでなく、トライアルさんに「行ってみたい」「行ったら面白いことがありそう」といった空気感を醸成するお手伝いも、メディアを通してできたらと思っています。

最後に

ナイルは成果を追求するのはもちろん、「会社ごとの事情を理解したプロジェクトの伴走者であること」を心がけております。

「プロの知見を活かしオウンドメディアを運営したい」「自社だけではリソースが足りない」という課題をお持ちの方は、こちらよりお気軽にお問い合わせくださいませ。

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この案件・類似案件を担当したメンバー

 加藤 直子

加藤 直子(かとう なおこ)

・主に女性向けメディアや食関連のコンテンツ制作を担当。担当メディアではローンチから約3年で月間200万セッション達成などの実績を持つ
・一般情報誌、ムック本、ウェブメディア等の制作経験があり、コンテンツ制作の造詣が深い

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