【400サイトを調査】Googleコアアップデート(2020年5月)の傾向と対策

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【400サイトを調査】Googleコアアップデート(2020年5月)の傾向と対策
寺田 祐也(てらだ ゆうや)

著者情報

コンサルティングユニット|寺田 祐也
出版社などで11年にわたり雑誌・広告の編集に関わる。ナイルでは2013年からコンテンツマーケティング施策を中心に、メディアの戦略設計、データ分析と連携したコンテンツ改善により集客(SEO)から態度変容(CVR)まで数値向上を実現。年間で20以上のメディアを担当し、運用改善による事業支援を行う。

※本記事は、2020年公開当時の情報を基にした記事です。

Googleの検索アルゴリズムについて、コアアップデートが202055日に実施されました。また、アップデート完了まで2週間とされていた調整期間終了のアナウンスも519日に確認されました。

Googleは2020年に1月と5月の2回、2019年に3月、6月、9月と3回のアップデートを行っています。なかでも、今回は影響が大きいようです。

そこでナイルでは、独自ツール「Refract(リフラクト)」で検索順位を追っている192サイトのデータと、Twitterでオウンドメディア運営者に実施したアンケート(回答209票)から、アップデートの影響について傾向を調査しました。

アルゴリズムアップデートについて詳しく知りたい方はこちら

Googleアップデート調査リフラクト

結論としては、以下の4つが傾向として挙げられます。

1.大手企業ドメインが上昇

2.アフィリエイトサイトは下落

3.テーマを限定した特化型サイトは上昇

4.変動が大きかったジャンルはYMYL

 

大きな流れとしては、E-A-Tを評価軸とするGoogleの方針が踏襲されたアップデートでした。

データ詳細を次項で補足します。サイト運営の参考にしていただければうれしい限りです。

本記事は2020年当時の「E-A-T」となっておりますが、2022年以降、経験の「Experience」が追加された「E-E-A-T」が新たな評価基準となりました。「E-E-A-T」については以下の記事で詳しく解説しています。

なお、担当はコンサルタントの寺田がお届けします。

どうぞよろしくお願いします。

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ナイルの独自ツール「Refract(リフラクト)」とは?

ナイルでは、順位取得ツール「GRC」を連動させたインハウスSEO支援ツール「Refract」を2014年夏から運用しています。

2022年現在、Refractの新規登録受付はストップしております。こちらは当時の状況を振り返ることができるように残しております。何卒ご容赦ください。

リフラクトイメージ

 

Refractは、対象サイトについて最大10,000キーワードの日次順位を取得し、順位の推移や競合サイトとの比較ができるツールです。

参考:インハウスSEO支援ツール「Refract」有料版リリース、その使い方と便利機能を解説

 

今回は、Refractに登録されていたサイトの中から192サイトを抽出してアップデート前(2020/05/04)とアップデート後(2020/05/07)の順位変動を比較調査しました。

 

※コアアルゴリズムのアップデート調査のため、教育業界の主要5サイトについて順位を比較しています

Googleアップデート調査_教育系

左軸は検索順位を1~3 / 4~7 / 8~10 などと分類してスコア化したものです。直接的な流入数ではありません。

 

20205月のGoogleアップデート傾向について

ここからが本題です。

前述した順位スコアの変動率を調査していくと、いくつかの傾向が見えてきました。

 

1.大手企業ドメインが上昇

顕著な変化のひとつとして、企業ドメインの評価は上昇する傾向がありました。

とくに、大手企業ドメイン配下で展開しているオウンドメディアにとっては追い風になったようです。

Googleアップデート調査_クレジットカード

※コアアルゴリズムのアップデート調査のため、クレジットカード業界の主要5サイトについて順位を比較しています

 

例えば、ナイルがコンサルティングさせていただいていた三井住友カード様のオウンドメディアなど、多くのサイトでプラスの影響が出ています。

 

一般的に大手企業ドメインでは、コンプライアンスの観点からサイト内コンテンツに対して情報の正確さや根拠となるエビデンスが求められる傾向が強くあります。そのため、結果としてGoogleが求めるE-A-Tの要件を満たす記事が多くあります。

また、大手企業ドメインは長く運用されている場合が多いため、良質な被リンクを集めているサイトが少なくありません。

そのためGoogleが「権威者としてそのサイトが信頼されている」という評価をドメインに対して判断しやすいと考えられます。

Googleが求めるE-A-Tの要件

参考:Google ウェブマスター向け公式ブログ [JA] : Google のコア アップデートについてウェブマスターの皆様が知っておくべきこと ※画像の赤枠はナイル追記

 

一方で、Twitterでのアンケートではマイナスの影響が出たオウンドメディアが58.9%と過半数を占めました。

企業が運営するオウンドメディアであれば、今回のアップデートによってプラスの影響が出やすいと想定していたのですが、一概にそうではないようです。

 

2.アフィリエイトサイトのドメインは下落

大手企業ドメインと明暗を分けた存在として、アフィリエイト目的のサイトは個人/企業運営のいずれでも下落する傾向がありました。

Googleアップデート調査リフラクト業界

アフィリエイトサイトにおける検索順位の変化率は突出して高い結果となりました

 

例えば、「クレジットカードの読みもの」は専門性の高い記事を配信することで知られているサイトですが、アップデートによってマイナスの影響が強く出ていると思われます。

Googleアップデート調査リフラクト_クレジットカード

 

順位変動の要因としては、前述したコンテンツとドメインに対するE-A-Tの評価が影響していると考えます。

 

一般的に、アフィリエイトサイトでは指名検索キーワードを獲得するために商品についての解説や比較記事が多い傾向にあります。

すると、場合によっては公式サイトの商品ページよりもアフィリエイトサイトの商品紹介ページのほうが検索上位に表示される場合もありました。

その点について、情報の信頼性が高いという判断で企業の公式サイト側を上位に表示させるようなアルゴリズムのアップデートが実施されたと考えられます。

 

ただ、一方で価格コムのように大手企業が運営する比較サイトは順位が上昇するという傾向もありました。

Googleアップデート調査リフラクト価格コム

価格コムでは法人向けクレジットカード関連のキーワードなどで順位上昇が確認できました。

 

コンテンツの内容が検索順位の評価要因として重要なのは当然として、さらに

・ドメインの運営者は信頼できる存在か?(例:事業を営む会社であれば専門性を備えている)

・そのサイトは信頼されているのか?(例:関連業界のサイトから被リンクを得ている)

といったドメインに対する評価は今後も重視されそうです。

 

3.テーマを限定した特化型サイトは上昇

一部のサイトでは、扱うテーマを限定した特化型サイトが評価を上げました。

例えば、「更年期ラボ」という大塚製薬が独自ドメインで運用しているオウンドメディアがあります。

 

2020-05-22_02h44_24_R

中高年の女性にとって健康の悩みとなる「更年期」について解説する記事を掲載しています。

Googleアップデート調査リフラクト更年期ラボ

 

月間検索ボリュームが40,000を越える「更年期障害」といったビッグキーワードで100位圏外から1位を獲得するなど、大幅な順位上昇を果たしたようです。

Googleアップデート調査更年期ラボキーワード

 

「女性のための~」といった広いテーマではなく「更年期に悩む女性のためのサイト」と特化したサイトであることが、E-A-Tのひとつである「専門性」の要因としてGoogleの評価につながったと考えられます。

 

4.変動が大きかったジャンルはYMYL

医療・健康領域と金融などマネー領域は、アップデートの影響が大きく出ました。

2020-05-22_03h03_32

電子機器・家電の領域も変化率としては大きいですが、アフィリエイトサイトの要因が大きいと思われます。

 

Twitterのアンケートでも類似の傾向がありました。

余談ですが、医療・健康と並んでBtoB領域の影響が大きかったという点は興味深い結果です。

 

Googleは今後もYMYL領域の検索順位についてはシビアにアルゴリズムのアップデートを続けていくと想定できます。

さらにYMYLの対象として、不動産や進学、転職なども含まれる点を示唆しています。

Googleが定義するYMYLとは

Google検索品質評価ガイドライン(General Guidelines)より。

 

今回のアップデートではマネー領域と医療領域以外では影響がそれほど大きくないというデータとなっています。

しかし、今後も年数回のアルゴリズム変更が実施されるのであれば、順位変動が起こる可能性が高い領域として備えることが重要と言えるでしょう。

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Googleアップデートから得られた仮説と対策

2020年5月のGoogleアルゴリズムアップデートについてデータをまとめることで、いくつかの仮説が考えられました。そのうちの2つを今後の対策としてご紹介します。

 

1.比較系キーワードの動向に注目

アフィリエイトサイトの検索順位が低下したことで空白地帯ができ、企業ドメインでも「おすすめ」「人気」などの比較系キーワードが狙いやすくなる可能性があります。

 

一般的に比較系キーワードは、複数の商品を比較してメリット・デメリットなどを解説するコンテンツが検索で上位に表示される傾向があります。

しかし、他社商標である商品について触れることは、基本的に企業サイトではコンプライアンス違反となるため不可能です。そのため、第三者視点で比較・解説できるアフィリエイトサイトが評価を獲得してきました

 

今回のアップデートにより、あるオウンドメディアでは◯◯ おすすめ」「◯◯ お得」「◯◯ 比較」などのキーワードで順位上昇が確認できました。

比較系キーワードは顕在層ユーザーが検索する高CVRキーワードとしてSEOの激戦区ではありますが、今後は検索結果の動向を注視しておくと施策の幅が広がりそうです。

 

2.コンテンツ品質に投資することでアップデートのリスク回避

ナイルでコンサルティングさせていただいているサイトでは、アップデートのマイナス影響が出たケースはごく一部でした。

一方で、Twitterのアンケートでは約6割のオウンドメディアでマイナス影響が出ました。

 

アンケート対象は企業運営のオウンドメディアなので、ドメインへの評価が一定程度あるものと仮定すると、検索順位への影響はコンテンツの要因によるものが大きいと考えられます。

 

ナイルのコンテンツ制作は、実務歴10年以上の経験豊富な編集者が担当することが多く、また出版社と同等の「担当編集者編集デスク校閲者」というチェック体制でコンテンツ制作を行っています。

そのため、単価としては安くありませんが高い成果が見込め、アップデートでもマイナス影響を受けにくいコンテンツを提供することができます。

 

今後はYMYL領域と同様のシビアな順位評価、アルゴリズム変更が医療やマネー以外の領域にも広がっていくと考えられます。であれば、取材や監修を前提とした品質の高いコンテンツに投資しておくことがアップデートのマイナス影響を受けにくいサイトへの体質改善につながり、結果として費用対効果の良い施策となりそうです。

 

2020年5月のGoogleアルゴリズム変動とは?(まとめ)

今回のアップデートは、4つの傾向がありました。

1.大手企業ドメインが上昇

2.アフィリエイトサイトは下落

3.テーマを限定した特化型サイトは上昇

4.変動が大きかったジャンルはYMYL

 

今後、コンテンツSEOの施策において重要性が高い仮説は2つあります。

1.比較系キーワードの動向に注目

2.コンテンツ品質に投資することでアップデートのリスク回避

 

余談ですが、個人ブログでのアフィリエイトサイト運用はGoogleのアップデートにより今後さらに厳しい状況となりそうです(Twitterでは多くのマイナス影響報告を確認できました)。

 

もし、そのようなアフィリエイトの運用経験が豊富でナイルのような大手クライアントのサイトでスキルを発揮したいという方がいましたら、コンサルタント編集者の採用を活発に行なっています。ぜひ検討してみてください。

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。

ブログで紹介した内容が、サイト運用で何かの参考になればうれしい限りです。

記事の感想などTwitterでツイートしてくれたらよろこびます。ぜひ教えてください。

担当は寺田がお送りしました。

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編集者情報

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2007年に創業し、約15年間で累計2,000社以上の会社にマーケティング支援を行う。また、会社としても様々な本を出版しており、業界へのノウハウ浸透に貢献している。(実績・事例はこちら

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