これからSEOを始める方に、最初に知っておいて欲しいこと

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これからSEOを始める方に、最初に知っておいて欲しいこと
土居 健太郎(どい けんたろう)

著者情報

取締役 人事本部 本部長|土居 健太郎
2009年入社。SEO事業責任者、メディア責任者を経て2019年より人事本部を立ち上げ今に至る。著書に「10年つかえるSEOの基本」がある。

新入社員として、あるいは部署移動などをきっかけに、4月からSEOの仕事をされるという方は多いと思います。しかしSEOの仕事とひとくちに言いましても、コツさえつかめば誰もが簡単に上手くできるようになります、というほど難易度の低い仕事ではないと思っています。

まがりなりにもこの業界でSEOに関わるような仕事を始めてから5年程度たちますので、決してベテランとは言えませんがそれでもこれから同じような仕事をする人に対して色々アドバイス出来ることはあるかと思いますので書きました。

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この3つを前提としておきましょう

最初は10個くらい挙げていたのですが、だいたい同じようなこと言っているなと感じたので3つにまとめました。

  • SEOでは全ての問題を解決できません
  • 今のGoogleは完全なものではありません
  • アルゴリズムが公開されなくても基本的なやるべきことは分かります

1つずつざーっと説明していきます。

SEOでは全ての問題を解決できません

SEOに過剰な期待を持ってしまったり、ある種の全能感みたいなものを持ってしまわないようにしましょう、ということです。まずは、この前提をきちんと理解することから始めます。

SEOを成功させることが、必ずしもサイトの改善にとって最短でも最善でもない場合はいくらでもあります。そういう場合には、SEOの効果を盲信してしまうことはその他の色々な可能性を狭めてしまうことに直結します。

SEOはあくまでも検索者とサイト運営者が検索結果を通じて接点を得られる機会を増やすための取り組みです。簡単に言えば検索結果での露出を高めるための取り組みです。

その視点で極端な話で言えば、サイトに掲載されている情報を誰も検索して探そうとはしていない、のであればSEOにコストをかける意味はありません

つまりは、どの程度の問題を解決できるのかと言えばサイトによって様々で、自然検索トラフィックがどの程度ビジネスにとって重要なものなのかということに依存します、ということです。

また、SEOの仕事をする人がこういう視点でしかサイトを見れないようになってしまうと、「良いサイト=SEOに優れたサイト」のような狭い価値観になります。少なくとも、依頼者の視点に立てば、そういう人に自分のWebサイトの相談をするだろうか?ということを考えてみると良いと思います。

今のGoogleは完全なものではありません

不完全というのはどういう根拠のもとで言っているかと言えば、

  • 検索する人が検索する言葉をある程度考えて打ちこまないとうまく欲しい情報に辿りつけないことが多い
  • サイトが検索エンジンが理解できるように作られていないときちんとヒットしないことが多い
  • ユーザーが本来求めていないような情報が上位に表示されることが多い

などの点からです。

日本語でくくってしまえば、Web上の情報を収集したり整理したりする仕組みの性能、検索された言葉の意図の解釈の精度、ランキング決定のためのルールの精度、などまだまだ改善されていく余地は全然ありますよね、ということです。

ユーザーが欲しいと思っているベストな情報に検索を通じて瞬時にアクセスできる、という点をひとまず検索エンジンが目指している1つの目標とするのであれば、まだまだ遠い場所にいるのかなという所感です。

しかし、ある程度色んな勉強をしたうえで、色んなキーワードでの上位表示サイトとかの分析みたいなことをやったり自分である程度思った通りの成果が出せるようになると、突然「なんかGoogleのアルゴリズム掴んじゃったかも」という感覚に襲われたりすることもあります。

これは断言できますけどその感覚は100%単なる勘違いです。全部なんて見えるわけありません。傾向とか○○の点で改善してきているとかそういうことはもちろん日々の検索結果のリサーチで把握可能なものだと思いますが。

まだシステムとして不完全なもので不具合的な要素だって検索結果には多分に含まれていて日常的に変更が加えられているアルゴリズムに、手動対応などの人的要素がそこに加わっていて、更に人的な対応のルールすら固まっていない(頻繁にルールややり方に調整が入っている)ような印象を受けています。

つまるところ、バグとか曖昧なルールとか目下改善中とか目下テスト中の項目だってたくさんあるわけで、そういう検索結果を僕らは見ているわけですね。

ちなみに、「掴んだわ」的なことを言う人、あるいは掴めるものと信じて止まない人の特徴として、Googleというシステムの未熟さには気付きつつも、一方でものすごく不変的かつある意味で完璧な何かを期待していることが多いと思います。

ただ、実際にはそういう人が思っている以上にものすごく流動的かつ曖昧な要素が多い、という前提で考えなければいけないのです。

もちろん僕も昔は「なんか掴んだ気がする。分かってきた」とか言ってた時期がありました。本当ごめんなさい。

アルゴリズムが公開されなくても基本的なやるべきことは分かります

先ほどとは逆の議論として、「Googleのアルゴリズムはブラックボックスなので」というのは非常に違和感あって僕は使わないようにしています。まあ確かに全部が見えないという意味ではブラックボックスではあるのですが、大きな影響のある変更や、一般的に常識となっているような評価項目などについてはある程度までは情報も公開されていますし。

実際には、「検索結果にどのように反映されるか(何番目にランクされるか)は最終的には分からない」だけであって、「何をすればもっと改善するのか」は分かります。それをとにかくやってみてどこまでそれを評価してもらえるかを検索エンジンの今の不完全な評価システムに委ねるわけですね。

例えば、の話ですが。

「このサイトが3位、このサイトが6位となかなか上位にいるのですが弊社のサイトは9位にいます。この差はなんですか?」というような質問はたまにありますが残念ながら僕は答えられません。次の日になって検索結果上位のサイトがガラっと入れ替わっていることも多分にありますし、そうなった場合はその時に話したことは根拠を失うためです。

ここについては「考えても分からんものは分からん」という明確な割り切りが必要です。

ただ「こういう目標に対して、今どういうところに課題や不足があって、これから何をすればもっと良くなるでしょうか」であればいくらでも妥当な提案は出せると思います。その前に目標の見直しが必要な場合も多分にあるでしょうし。

どのような状況、どのようなサイトであれ、大枠としてやるべきことは割と明確なのです。

  1. 検索されることを考慮したサイトの設計、出現語句の最適化
  2. クローラー等の性能に合わせた技術面での最適化
  3. 長期的にビジネスに貢献し得るコンテンツの作成+リンクやシェアの獲得

まとめて括ってしまえば、かなり乱暴ですがこれくらいの3つくらいにまとめることは出来るとは思っています。そしてこのうちの1つでも著しく欠如しているとそれだけでSEOは減速します

ですのでSEOをしっかりやるのであれば、上記のような項目それぞれについて改善の余地があれば、伸び白の大きいもの(出来ればコストのかからないもの)から順々にやっていくようなイメージです。

もちろん、コンテンツ→リンクの取り組みは、最終的には地道に継続することでしか成功し得ないものでもありますのでここのあたりは工夫と根気が必要です。

ただ、これはあくまでもしっかりSEOをやりきる上で、の話であって、実際にはサイトを作るときにはビジネスサイドの要求、UIやビジュアルデザイン面の要求、SEO上の要求などがところどころで衝突する場面が出てきますし、全てにおいてSEO側の事情を優先させるということはほとんどありません。

ですので前提として、SEOの仕事をする人は、そのサイトにおけるSEOの重要度を正しく評価できる必要があります。この辺は結構ひとくくりに言えない部分なので難しいことですね。

最後に、SEOの仕事に必要な能力は半端なく広く深いものです

冒頭で5年くらいSEOの仕事に関わってきました、というお話をしましたが、やるべきことがある程度分かったとしても企画~制作~運用改善まであらゆるフェーズで求められるSEOのスキルを全てカバーしてくのはかなり大変だと思います。

自分で言うのも気持ち悪いですが、個人的には自分は決して学習能力の低い方ではないとは思っていますが、今はもちろん、正直今後も全部なんて到底カバーしきれる気がしません。自分がここまでやってこの程度なのだから、という逆の意味での自信は最近になってようやく少しずつついてきたところです。

言いたいことは、そうそう簡単な仕事だと思って甘くみて欲しくはないですけれども、しっかり勉強すれば、その分しっかり成果の出せる仕事ではあります。一定水準をクリアしているSEOのプレイヤーの母数に対して、潜在的なSEOの需要が過剰にある環境だと思いますので、そういう意味でもチャレンジし甲斐のあるテーマではないかなと思います。

以上、これからSEOを専門で仕事とされる方に参考にして頂ければと思います。

ナイル株式会社 土居

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ナイル編集部
ナイル編集部

2007年に創業し、約15年間で累計2,000社以上の会社にマーケティング支援を行う。また、会社としても様々な本を出版しており、業界へのノウハウ浸透に貢献している。(実績・事例はこちら

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