【わかりやすい】オウンドメディアリクルーティングとは?必要とされる背景や始め方を解説
「オウンドメディアリクルーティング」とは、オウンドメディアで自社の魅力を発信しながら採用活動をすることです。オウンドメディアリクルーティングには採用にかかるコストを下げる効果があるため、注目を浴び始めています。
そこで本記事では、オウンドメディアリクルーティングが必要になった背景や求人サイトにはないメリット、始め方について解説します。
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目次
オウンドメディアリクルーティングとは
オウンドメディアリクルーティング(Owned Media Recruiting)とは、オウンドメディア(自社で所有するメディア)で会社としての魅力を発信しながら、適した人材を採用することです。
頭文字を取って「OMR」と略すこともあります。
オウンドメディアリクルーティング(OMR) = オウンドメディア + リクルーティング |
|
オウンドメディア
自社で保有するメディア |
リクルーティング
採用活動 |
オウンドメディアを通して情報発信することで、企業が求めている必要な人材のイメージが明確になるのが、オウンドメディアリクルーティングの大きなメリットです。これにより、採用のミスマッチが起こりにくくなります。
オウンドメディアリクルーティングが求められる3つの背景
オウンドメディアリクルーティングが注目を集めるようになったのは、下記3つの背景があるためです。
ここでは、それぞれの詳細を見ていきましょう。
背景1 採用コストの削減が可能
オウンドメディアリクルーティングを実施すれば、説明会や求人サイトに要するコストを下げることが可能です。
企業が人材を確保するためには、説明会の開催や求人サイトへの掲載など多額のコストを払いながら採用活動をしていかなければなりません。
また、せっかく確保した人材がすぐに退社してしまうと、新たに採用するためのコストがかかります。オウンドメディアリクルーティングで、「採用後の働き方」に関する情報を発信すれば、退職率を下げる効果も生まれます。
このように、採用に関わるコストを全体的に抑えられることが、オウンドメディアリクルーティングに注目が集まる理由のひとつです。
背景2 働き手の価値観の多様化
現在は新卒で入った企業に定年まで勤め上げる時代ではなくなり、働き手の労働に対する価値観が多様化しています。
ライフ・ワークバランスがうたわれて、リモートワークや時短勤務も普及する中、職場を選ぶ際には「自分らしく働けるかどうか」が重視されるようになりました。
言い換えれば、求職者は仕事内容や待遇面だけではなく、「企業の理念に賛同できるか」や「いっしょに働きたいと思える職場環境なのか」といった点についても重視する時代になっています。
求職者に働きたいと思ってもらえるために、自社の魅力を伝えるオウンドメディアリクルーティングが効果を発揮します。
背景3 求職者の情報収集リテラシー向上
求職者は、これから採用面接を受ける会社について、さまざまなリサーチを行います。
スマートフォンが普及した今、求職者はさまざまな方法で多くの情報を得ることができるため、以前に比べて質の高い情報を求めるようになりました。
そこで、オウンドメディアリクルーティングで多様な情報を用意することで、求職者が求めている情報を提供できる可能性が高まります。
求人サイトにはないオウンドメディアの7つのメリット
従来の求人サイトとオウンドメディアを比較すると、下記の表のような違いがあります。
ここでは、求人サイトにはないオウンドメディアの7つのメリットをひとつずつ紹介していきます。
比較項目 | 求人サイト | オウンドメディア |
1)情報発信の幅 | フォーマットに沿って情報を掲載する | フォーマットにとらわれず、さまざまな情報を発信できる |
2)採用ミスマッチ | ミスマッチが起きる可能性がある | ミスマッチが起きる可能性を下げられる |
3)掲載期間 | 掲載期間に定めがある | 掲載期間を自由にコントロールできる |
4)ユーザーとの接点 | 掲載期間が終わったら接点は無くなる | 継続的な情報発信を通じて接点を持ち続けられる |
5)アプローチ対象 | 求職者のみにアプローチが可能 | 現段階で求職の意思がない人にもアプローチ可能 |
6)必要なコスト | 掲載料がかかる | サーバー代やコンテンツ製作費がかかる |
7)分析できる範囲 | 分析できる範囲は狭い | さまざまな角度から詳細な分析が可能 |
メリット1 多様な情報を発信できる
オウンドメディアは採用サイトに比べて、発信できる情報の幅が広いことが特徴です。
採用サイトではあらかじめレイアウトが定められていて、そこへ「職種・給与・勤務時間」などの情報を記入していく場合が多いです。
一方でオウンドメディアであれば、デザインや内容を自社で自由に決められます。そのため、「どのような人材を求めているか」や「採用後はどのような働き方になるのか」を詳しく発信することが可能です。
メリット2 採用ミスマッチが起きにくい
オウンドメディアでは企業内での働き方について情報発信できるため、求職者は働く姿をイメージしやすくなります。
これにより、採用後に「こんなはずではなかった」と思われてしまうようなミスマッチを減らすことにもつながります。作成するコンテンツとしては、実際に働いている人の一日のスケジュールや、現場の声を丁寧に拾って記事化することがおすすめです。
なお、発信する際は自社の実状に即した情報になるように注意してください。取り繕った内容で情報発信するとミスマッチの原因となり、企業と求職者のどちらにとってもマイナスとなってしまいます。
メリット3 掲載期間をコントロールできる
一般的に求人サイトでは掲載期間に定めがあり、期間が終了すると、応募の多寡にかかわらず掲載が終了してしまいます。
その点、オウンドメディアでは自社で掲載期間をコントロールすることが可能です。自社の都合に合わせて期間を設定し、応募の状況によって柔軟に期限を延長することもできます。
メリット4 継続的にユーザーと接点を持てる
求人サイトは掲載期間が終了してしまうと、そこでユーザーとの接点がなくなってしまいます。
一方でオウンドメディアなら、求人を終了した後も継続的に情報発信を続けることでユーザーとの接点を持ち続けることが可能です。これによって、接点を持ったユーザーが次回の求人に応募してくれる可能性も生まれます。
メリット5 潜在層にアプローチできる
オウンドメディアリクルーティングでは、今はまったく求職の意思がない潜在層へのアプローチも可能です。
企業での働き方については多くの人が興味を持つことなので、記事の内容によっては、現在の求職者以外にも読んでもらえることがあります。
そこで接点を持つことができれば、その人が転職を考えたときなどに、自社を想起してもらえる可能性があります。自社の存在を知ってもらうことができるのは、オウンドメディアリクルーティングの大きな強みです。
メリット6 コストパフォーマンスが高い
オウンドメディアリクルーティングは、コストパフォーマンスが高いこともメリットのひとつです。
採用サイトに情報を出す際には、掲載料を支払います。一方でオウンドメディアの場合には、掲載料はかからず、代わりに以下の費用がかかります。
- デザイン費
- コーディング費
- 記事制作費
- レンタルサーバー代 など
このように比較すると、一見求人サイトよりもオウンドメディアのコストの方が大きいと思えるかもしれません。しかし、「掲載期間に制限がなく、作ったコンテンツが資産になること」や「採用ミスマッチを低減できること」を考えると、オウンドメディアから得られるメリットは非常に大きいでしょう。
これらのメリットを考慮すると、むしろオウンドメディアリクルーティングの方がコストパフォーマンスが高いといえます。
メリット7 分析できる範囲が広い
オウンドメディアは自社で運営するため、求人サイトより詳細な分析ができます。
具体的には、以下のような分析が可能です。
- 記事への流入元の確認
- ユーザーの滞在時間の算出
- 多く読まれている記事の把握 など
分析によってユーザーの動きが見えてくるため、それをもとに改善していけば、自社の採用活動をさらに強化できます。
オウンドメディアリクルーティングの始め方
オウンドメディアリクルーティングを始めるには、下記の5ステップを踏みます。
ここでは、各ステップについて詳しく解説していきます。
ステップ1 目的を明確にする
まずは、オウンドメディアを立ち上げる目的を設定しましょう。
オウンドメディアの目的は、多くの場合、下記の4つのどれかになります。
- 集客(新規顧客を呼び込む)
- ブランディング(企業や商品の価値を上げる)
- 売上向上(商品・サービスの購入につなげる)
- 採用・求人(適した人材を確保する)
もちろん、オウンドメディアリクルーティングを実施したい場合には「採用・求人」が一番の目的になりますが、並行して「ブランディングも行っていきたい」などの狙いもあれば、ここで明確にしておくとよいでしょう。
さらに一歩進んで、「どのような人材を採用したいのか」も最初に固めておくことをおすすめします。「経歴・能力・性格・モチベーション・求める将来像」などの項目を1つずつ検討していき、具体的な「理想の人材」を設定してください。
この際、人事担当に話を聞いたり、自社の優秀な社員の共通点を探したりすると、「理想の社員像」が見えてきやすいです。
ステップ2 自社の魅力を整理する
メディアの目的が明確になったら、続いては採用したい人材に伝える「自社の魅力」を整理しておきます。
当然のことながら、魅力のない企業に良い人材は集まりません。ここではじっくりと時間をかけて、自社の魅力を見つけるようにしてください。「企業理念」「業務内容」「働き方」「社員」などそれぞれのカテゴリー観点で考えると、自社の魅力が見えてきやすいです。
ステップ3 どのようなコンテンツが必要か検討する
自社の魅力が整理できたら、実際にどのようなコンテンツを作っていくのかを考えていきます。
オウンドメディアリクルーティングをする中で、自社の社会的意義や魅力を伝えるコンテンツのことを「シェアードバリューコンテンツ」と呼びます。
さらに、このシェアードバリューコンテンツは、以下の2つに分類が可能です。
パーパスコンテンツ(Purpose=目的) | カルチャーコンテンツ(Culture=文化) |
企業理念や社会的な存在意義を伝えるコンテンツ | 企業文化や社風を伝えるコンテンツ |
それぞれの種類のコンテンツとして、どういった記事を作成するのかを具体的に検討してみてください。
ステップ4 長期的に運用できる体制を構築する
オウンドメディアリクルーティングは、継続的に運用していくことで効果が出る手法です。
そこで、長期を見据えた運用ができるように、盤石の体制を整えておくことが大切です。オウンドメディアの運営をしていくには、以下のような役割が必要になります。
これらの人材を自社で用意するのか、一部またはすべてを外注するのかを検討してください。
ステップ5 メディアを立ち上げ、コンテンツを作成・発信する
ここまでの準備が整ったら、いよいよオウンドメディアを立ち上げて、コンテンツの作成に入ります。
立ち上げから、記事を制作して結果の分析をするまでの流れは以下の通りです。
実際の作業については下記の記事で詳しく解説しているので、併せてご覧ください。
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オウンドメディアリクルーティングを実施する際の3つの注意点
オウンドメディアリクルーティングを行っていく上で、注意してほしいのが下記の3点です。
ひとつずつ見ていきましょう。
注意点1 長期の運用が前提になる
オウンドメディアは短期的に効果を出すことは難しく、長期的な運用が前提となります。
そのため、オウンドメディアリクルーティングを行うにあたっては、数年単位で運用することをおすすめします。「どのような情報を求職者が求めているのか」を意識しながら記事の内容を決めて、情報発信を継続してみてください。
また、ほかの採用手段を進めながら、さらに詳しく自社を知ってもらう受け皿として、オウンドメディアの記事を活用する方法もあります。
オウンドメディアリクルーティングを実施する前に、オウンドメディア自体の目的を設定し、活用方法についてもイメージを固めておくとよいでしょう。
注意点2 運用体制を整える必要がある
オウンドメディアリクルーティングのためにメディアを立ち上げたものの、更新が滞っていると、かえって企業のマイナスイメージとなります。
見切り発車ではなく、記事の制作体制をしっかり構築してから、オウンドメディアを始めるのがベストです。無理なく記事の更新ができる体制を社内で整えてから、運用をスタートしましょう。
また、記事づくりを外注するのもひとつの手です。プロのライターと編集者がいることで、安定的に質の高い記事を更新することが可能になります。
注意点3 社内の協力が必要になる
オウンドメディアリクルーティングの場合、記事づくりには社内の協力が欠かせません。
社員インタビューや社内で行われている取り組みへの取材を実施することがありますし、場合によっては顔出しをお願いすることもあります。もちろん無理強いはいけませんが、記事づくりにおいて社内理解は必要不可欠です。
オウンドメディアの事前準備について動画で解説しています!
オウンドメディアリクルーティングの具体例
ここでは、オウンドメディアリクルーティングの事例として、弊社の「NYLE ARROWS(ナイルアローズ)」を紹介します。
「NYLE ARROWS」は、2018年に運営を開始した採用オウンドメディアです。リリース後の採用状況を見ると、エージェントや転職媒体よりも自社サイト経由のほうが内定承諾率が高くなるという成果も出ています。
以下からは、「NYLE ARROWS」の記事を交えながら、オウンドメディアリクルーティングで作るコンテンツの例を紹介していきます。
コンテンツ例1 社員インタビュー
こちらは、ナイルへ転職してきた社員のインタビュー記事です。
参考:【ナイルって実際どう?】SEOの守備範囲は“いわゆるSEO”を超える―Webコンサルタント・経験者編
記事を通じてナイルで働いている社員を知ってもらうことで、入社後にどのような働き方になるのか想像しやすくなるという効果を狙っています。また、ナイルが求職者に求めている能力も把握してもらえるため、採用ミスマッチを防ぐことも期待しています。
コンテンツ例2 商品・サービスに込めた想い
この記事は、ナイルが運営するおたすけスマホ情報サイト「Appliv TOPICS」の事業責任者と編集者にインタビューをしたものです。
参考:1,000万ユーザーのその先へ、Appliv事業のこれから――事業責任者×編集者対談
メディアの売上が1年で2倍以上になった背景と、これからの試みについて2人に語っていただきました。ナイルの社員が「どのような想いで仕事をしているのか」を読者に伝えることで、同じ考えを持った人材の採用につなげたいという狙いがあります。
コンテンツ例3 経営者の考え方
2021年7月に変更されたナイルのミッションとビジョンについて、弊社代表の高橋飛翔にインタビューした内容をまとめたのが本記事です。
参考記事:事業への本気が集う場所「ナイル」。未来を見据えてミッション/ビジョンを刷新
オウンドメディアリクルーティングをする上で、企業のトップが「どのような人」で「どんな考えを持っているのか」を発信することは大変重要です。求職者にこの記事を読んでいただくことで、採用後に「上の考え方が自分に合わない」というミスマッチが起こりにくくなると考えています。
コンテンツ例4 働き方の紹介
こちらは、産休・育休を経て営業の第一線に復帰した女性社員のインタビュー記事です。
参考記事:産休前よりも受注率UP!その理由は?―第一線に復帰したトップセールスの働き方
事業内容や社員の思いを伝えることももちろん重要ですが、求職者は働き方に関連の深い「企業の制度」にも大きな関心を寄せています。休暇制度や福利厚生などを紹介して、「この企業なら安心して働ける」と思ってもらえることも、オウンドメディアリクルーティングを成功させる鍵です。
コンテンツ例5 教育制度の紹介
本記事は、ナイルの「スキルアップ応援制度」を紹介したものです。
参考記事:【ナイルのほんだな】自発的に学習するカルチャーを体現する、スキルアップ応援制度
現代の求職者にとって、「自分はこの会社でどのように成長できるのか」という観点は企業選びの大きなポイントになります。そこで、研修や勉強会などのスキルアップの取り組みをアピールすることも、たくさんの方に応募してもらうためには重要です。
オウンドメディアリクルーティングを活用して人材を獲得しよう
今の時代、採用活動を求人サイトに委ねているだけでは自社に適した人材の確保が難しくなっており、これからもこの傾向は続いていくと予想されます。
そのため、新しい求人の手段であるオウンドメディアリクルーティングの重要性は、今後さらに増していくでしょう。長期にわたり自社にマッチした人材を確保し続けるためにも、オウンドメディアリクルーティングに力を入れてみてはいかがでしょうか。
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- WebマーケティングにおけるKPIとは?
- KPIを立てるのに必要な考え方
- KPIの探し方・捉え方をコンビニの導線で把握する
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