オウンドメディアの費用対効果を計測する方法|効果を高めるポイントも紹介
オウンドメディアとは、自社オリジナルのコンテンツを発信するメディアのことをいいます。当然のことですが、オウンドメディアを運営していくには、コストがかかります。そうなると、考えなければならないのが、ROI(費用対効果)です。
この記事では、オウンドメディアの費用対効果をどのように計測すべきかについて解説します。
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目次
オウンドメディアは費用対効果が合うのか?
結論から書くと、オウンドメディアの費用対効果が合うかは「何を成果の指標にするのか」によって違います。
売上を指標とするなら、閲覧数がいくら増えても、売上に貢献していなければ費用対効果が合っているとはいえません。
よくある失敗例として、「リード獲得を指標にオウンドメディアを運営しているのに対し、問い合わせや資料ダウンロードへのリンクを貼っていないケース」が挙げられます。この場合、記事を増やしてもリード情報は獲得しにくく、費用対効果は出にくいでしょう。
オウンドメディアで成果を出すためには、費用対効果を計測して現状を認識し、コンテンツの方針や体制を改善し続けることが大切なのです。
オウンドメディアで費用対効果を計測する3つの方法
オウンドメディアの費用対効果を測るには、主に下記3つの方法があります。
自社の事業課題を解決することに、つながる指標を設定しておきましょう。順番に解説します。
方法1 売上を指標にする
1つ目は売上を指標にする方法です。
はじめにオウンドメディアの運営費を計算し、そこからどれだけの売上を得ているかで費用対効果を算出します。売上だと費用対効果がわかりにくい場合は、ROIを計算しましょう。ROIは以下の計算式で求められます。
ROI=(売上-売上原価-投資額)÷投資額×100
▼算出方法の例▼
- 運営費:100万円
- 売上:120万円
- 利益:120万円-100万円=20万円
- ROI:20万円÷100万円×100=20%
上記の計算結果より、投資額の20%が利益になっていることがわかります。ただし、オウンドメディアで売上に結びつけるなら、数年は運用する必要があります。
短期的な効果ばかりを考えた目標を立てると、期待にそぐわない結果になってしまう可能性が高いです。そのため、自社にとって無理のない目標を立てましょう。
実際にオウンドメディアでかかる費用の種類は、下記の記事で詳しく解説しています。併せて参考にしてください。
方法2 問い合わせ・リード獲得を指標にする
問い合わせやリード獲得を、指標にする計測方法もあります。
オウンドメディアを運営した場合の問い合わせ・リード獲得コストと、別の媒体での獲得コストを算出し、比較します。リード獲得の場合、各媒体のリード獲得単価の相場は下記のとおりです。
媒体 | リード獲得の単価相場 |
オウンドメディア | 2,000円~1万円 |
ウェブ広告 | 3,000円~数万円 |
他社メディア掲載 | 5,000~1万円 |
セミナー・ウェビナー | 8,000円~1万円
※ウェビナーの場合0円の場合もあり |
展示会 | 8,000円~1万5,000円 |
例えば月に100件のリードを獲得できた場合、ウェブ広告とオウンドメディアそれぞれでかかったコストは次のようになります。
- ウェブ広告:3,000円×100件=30万円
- オウンドメディア:2,000円×100件=20万円
ウェブ広告よりも、オウンドメディアの方がコストを10万円安く成果を出せていることがわかります。
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方法3 その他を指標にする
利益が正確に測定できない場合、オウンドメディアの目的に応じて下記3つを指標にする方法もあります。
PV(ページビュー)数 |
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新規ユーザー数 |
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SNSのシェア数 |
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注意点として、「半年で月間5万PV」といった数値を指標にした場合に、実際にオウンドメディアの立ち上げから半年後に5万PVに達したとしても、費用対効果が合っていない場合もあります。
オウンドメディアで費用対効果を計測する場合の指標は、上記のようにさまざまです。自社の事業課題を解決できる指標を設定した上で、測定していきましょう。
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測定するタイミングは半年~1年後
オウンドメディアの費用対効果を測定するタイミングは、運用を開始してから半年〜1年後が適しています。
Googleの検索エンジンの順位は、コンテンツを公開してから2ヵ月〜3ヵ月で安定する傾向にあるためです。特にオウンドメディアを立ち上げて半年くらいは、良質なコンテンツを発信しても思うような成果が見られない可能性もあります。
運営にコストばかりがかかり、「このまま続けても見込みがないのでは?」と諦めたくなるかもしれません。実際に2019年12月の株式会社ベーシックの調査によると、オウンドメディアを運営していた企業の担当者(142名)の約23%が、半年未満で運営の停止を選択していました。
参考:BtoB企業のマーケティング担当者142名に聞いたオウンドメディア実態調査(株式会社ベーシック)
しかし、オウンドメディアは2〜3年を投資期間として、コンテンツ制作や導線の見直しを継続することが重要です。短期的な成果が出にくいことを社内でしっかりと共有し、現実的な指標で測定していきましょう。
参考:成果を出す担当者は知っている オウンドメディアのよくある課題と解決策(ナイル株式会社)
オウンドメディアで費用対効果を高める4つのポイント
オウンドメディアで費用対効果を高めるには、次の4つのポイントを押さえることが大切です。
順番に見ていきましょう。
ポイント1 運用目的を決める
まずは、オウンドメディアにどんな効果を求めるのか、運用目的を決めることが重要です。
運用目的を明確にしないまま闇雲にオウンドメディアを運用しても、成功につながりにくくなります。例えば、下記のような目的が挙げられます。
- 見込み顧客(リード)の獲得
- 商品・サービスの認知(ブランディング)
- 商品・サービスの成約
- 人材採用
運用目的を決めるときは、ひとつの目的に絞り込むことが大切です。いろいろな目的を達成しようとすると軸がブレてしまい、結果的に効果が薄れてしまいます。コンテンツのジャンルや方向性を統一するためにも、あらかじめ目的を定めておきましょう。
オウンドメディアをブランディングのために利用したい方は、ぜひ下記の記事もご覧ください。オウンドメディアを活用するメリットや注意点を解説しています。
ポイント2 中長期的な戦略を考える
2つ目のポイントは、中長期的な戦略を考えることです。
検索でのユーザー流入を主軸にした場合、成果が出るまでに半年〜1年程度はかかります。まずは、ユーザーニーズを満たす情報を発信し、自社の商品・サービスを知ってもらえるような導線を設置しましょう。
その上で、認知やリード獲得、購入を目指すことが大切です。例えば、次のような戦略が挙げられます。
- (BtoC)子育てに関するオウンドメディアの場合
⇒子育てグッズのECサイトや教育サービスへのリンクを、コンテンツ内に設置する
- (BtoB)会計ソフトに関するオウンドメディアの場合
⇒ホワイトペーパーやサービス資料のダウンロードリンクを、コンテンツ内に設置する
また、事前にROI(費用対効果)や目標CPA(コンバージョン1件あたりの広告費)を設定しておくことで、オウンドメディアが売上に貢献しているかどうかを確認できます。
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ポイント3 コンテンツの質を重要する
コンテンツの質を重視して、制作することも欠かせません。
オウンドメディアへのアクセスを獲得するには、SEO対策(ウェブサイトを検索結果で上位表示させるための取り組み)が必要です。
記事数が増えても、コンテンツの質が悪いと検索上位に表示されない可能性が高くなります。検索エンジンのインデックス(ページがデータベースに登録されること)対象にならないケースもあります。
質の高いコンテンツを制作するためには、次のような点を重視しましょう。
- 読者の疑問点を想定し、必要な情報を洗い出す
- 自社の商品・サービスが選ばれている理由や使われ方を理解し、コンテンツに反映する
- 執筆者の経験談など、競合が真似しにくい内容を盛り込む
ユーザーニーズを満たしている専門性の高い記事が多くなるほど、サイト全体に良い影響が表れます。コンテンツの中身を作り込んだ上で、公開していくようにしましょう。
ポイント4 既存コンテンツをアップデートする
4つ目のポイントは、既存コンテンツをアップデートすることです。
オウンドメディアのコンテンツは一度公開して終わりではなく、定期的に更新し続けることが欠かせません。Googleのアルゴリズムは変化しており、少し前に有効だった施策が新たなアップデートで効果がなくなってしまうこともあります。
新しいアルゴリズムに対応していくためにも、定期的に既存コンテンツをリライトしてアップデートしていきましょう。具体的には既存の記事に対し、下記のようなことを行います。
- 古い情報を最新情報に書き換える
- 読者のニーズを踏まえたタイトルや見出しに変更する
- 読者が必要としていない内容を削除する
競合コンテンツの内容をリサーチしつつ、ニーズの見直しや記事内容のリライトを行いましょう。
なお、以下の記事では、オウンドメディアを成果につなげやすいコンテンツの作り方について解説しています。併せてご一読ください。
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成功に繋がるオウンドメディアの準備を動画で解説しています!
オウンドメディアで得られる6つの効果
オウンドメディアを運営することで得られる効果には、次の6つがあります。
ひとつずつ解説します。
効果1 ブランディング
オウンドメディアによる効果のひとつが、ブランディング(商品・サービスの認知)です。
質の高い記事を一貫して発信することで、自社の商品・サービスのブランディングにつながる可能性があります。
競合と差別化できるような内容をコンテンツに盛り込むと、オリジナリティを出すことができ、ターゲットの記憶に残りやすくなるからです。
さらに、オウンドメディアを認知してもらうだけではなく、どんな企業なのか興味を持つ機会を作り出せるでしょう。
効果2 リード獲得
読者がオウンドメディアの記事を読み、問い合わせや資料ダウンロードをしてくれれば、リード(見込み顧客)獲得につながります。
そのためには、ターゲットの悩みを深く掘り下げて分析し、解決できるようなサービス資料やホワイトペーパーを用意することが大切です。
効果3 採用貢献
オウンドメディアで公開した質の高い記事がたくさんの人に読まれれば、企業の認知度が上がります。
そうすれば、採用への好影響が生まれる可能性が出てくるでしょう。記事を読んだ人が、オウンドメディアや企業のファンになってくれれば、求職のタイミングで関心を持ってもらえます。売上にはつながらないものの、採用面からの貢献度は大きいといえるでしょう。
効果4 広告費削減
オウンドメディアが検索エンジンで上位表示されれば、広告費をかけずとも集客することが可能です。
ウェブ広告は基本的にウェブサイトに1人送客するたびに費用がかかります。ですが、オウンドメディアであれば何人送客しても費用はかかりません。オウンドメディアで成果が出始めたら広告の予算を減らし、別の施策へと投資することもできるでしょう。
効果5 社内のナレッジ(知識)共有
オウンドメディアで情報発信をすることは、そのまま社内におけるナレッジ共有につながります。
外部に向けた発信ではありますが、その外部には「社内のメンバー」も含まれるからです。特に社員数が多くなるほど、ナレッジを共有する負荷がかかりやすくなります。
特定の人物だけが詳しい状態になると、業務が属人化する可能性もあるでしょう。オウンドメディアでナレッジを蓄積し、不明点があればすぐに閲覧できるようにしておくことで、業務効率化の向上が期待できます。
社内のナレッジ共有は社員教育の一環でもあるので、数値化は難しいものです。しかし、記事として公開できるレベルのナレッジが共有できるのは、オウンドメディアのメリットといえます。
効果6 資産化
オウンドメディアには、自社の資産にできるという効果もあります。
一度オウンドメディアを制作すれば、インターネット上に残り続けます。開設してすぐに効果が出なくても、長期的に継続することでアクセスを集め続けることが可能です。
そのため、すぐに効果が見られないからといって安易に閉鎖するべきではありません。長期的な視野を持ち、オウンドメディアを育てていく意識が大切です。
オウンドメディアの費用対効果を計測して改善し続けよう
オウンドメディアを運営する際は、費用対効果を把握しておくことが重要です。
自社が解決したい課題に合わせた指標を設定し、立ち上げから半年〜1年後に費用対効果を測定しましょう。
中長期的な視点を持ちながら良質なコンテンツを発信し、コンテンツの中身も定期的にアップデートし続けることが大切です。
なおナイルでは費用対効果の測定方法以外にも、オウンドメディアを成功に導くためのノウハウをまとめた資料を公開しています。
「高品質なコンテンツを制作するには、どんな体制を構築すれば良いか」なども解説していますので、ぜひ下記からダウンロードしてご覧ください。ダウンロードは無料です。
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