いいライターはどうやって手配する?【最強コンテンツの作り方 第5回】
もはや、ネットで集めた二次コンテンツを大量生産する時代ではありません。情報洪水の時代だからこそ差別化を図り、ユーザーに信頼される価値の高いオリジナルコンテンツが求められているのです。
本連載「最強コンテンツの作り方」では、情報収集からインタビュー、取材、企画、文章の作成方法まで、ユーザーの心をつかむコンテンツの作り方をお届けします。
第5回は、いいライターをキャスティングする方法についてご紹介します。
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ライターをキャスティングする5つの方法
テキストをベースにするコンテンツを制作する場合、当然ライターが必要になります。では、ライターはどうやってキャスティングすればいいのでしょうか。
おもに次の5つの方法があります。
1 知人からの紹介
まず、知り合いからライターを紹介してもらう方法があります。
普段、ライターと仕事をしている人とのパイプがあれば、紹介をしてもらうのが最も安心な方法です。どんなライターを必要としているか、要望もくみ取ってくれるし、紹介されたライターも信頼している人の顔をつぶさないように心掛けます。
ただ、ライターを紹介する側は、ライターに喜ばれるような仕事でなければ紹介したがりません。また、紹介したばかりに、自分がそのライターに頼んだ仕事がおろそかになることを懸念します。
ですから、この方法を用いるには、あなたと紹介してくれる人とのあいだに、信頼関係があることが大前提となります。
2 要望するライターが書いていそうなメディアから探す
雑誌であろうがウェブメディアであろうが、日頃からライターを確保しておくことが非常に大切です。
私が以前、雑誌の編集をしていたときは、常に雑誌や書籍を読んで、気に入ったライターを見つけるようにしていました。テーマが決まってから探すのではなく、担当している雑誌に合いそうなライターを毎月数名ずつ新規開拓することを自分に課していました。
現在は、ライターみずからブログやSNSなどで情報発信をしていることも多いので、昔と比べると、とてもコンタクトしやすくなっているといえるでしょう。
ただ、ウェブメディアの普及によって、ライターの数は増えたように感じますが、同時に質の低いライターが急増していることも事実です。
富士山に例えるなら、頂点にいるトップクラスのライターは昔も今も同じようにいますが、クラウドソーシングを中心にレベルの低いライターが裾野にどんどん増えているのです。
ウェブメディアでは、特にライターが玉石混交なので、ウェブ担当者は効率良くライターの質を見極める目が求められます。
3 ブログから探す
現在は、ブログをやっているライターは少なくありません。では、どうやっていいライターを見つければいいのでしょうか。
noteやアメーバブログ(アメブロ)、はてなブログなど、CMSを提供しているブログであれば、人気ランキングやジャンル別に探せますので、比較的効率良くライターを見つけることができると思います。
4 募集をかける
自社のメディアを運営しているのであれば、そのメディアでライターを募集するといいでしょう。
応募してくるライターは、少なくともそのメディアを知っており、関心もあるので、主旨や意図を説明しやすいというメリットがあります。
ただ、ブランド力がなかったり、立ち上げたばかりだったり、ほとんど知られていなかったりするメディアの場合、応募者がたくさん来ることはあまり期待できません。
私の友人が運営するあるメディアでは、一度の募集で60名くらい応募があるそうです。月間7,000万PV以上の、ある程度知名度のあるメディアです。しかし、最終的に使えるライターは、60名中ほんの数名しかいないそうです。私自身も、時々自分のブログでライターを募集するのですが、プロのレベルに達しているライターは30人に1人程度です。
質の高い売れっ子ライターはそもそも忙しいので、メディアによほどの魅力がない限り、応募をしないものです。また、たとえ原稿料を相場より高くしても、メディアや企業自体に知名度や魅力がなければ、あまり質の高いライターは集まりません。
5 クラウドソーシングで探す
私の経験では、クラウドソーシングでしか書いたことがないライターで、まともに原稿を書ける人はほとんどいません。クラウドソーシングで募集する仕事は、記事1本あたり100~1,000円など、非常に単価が安いため、プロのライターはほとんどいないと思っていいでしょう。たとえ登録していても、原稿料が非常に安いため、いいライターが仕事を受けることはないのです。
中には、クラウドソーシングをライターになるためのステップアップと考えている人もいます。しかし、クラウドソーシングでは、基本的に指導する編集者もディレクターもいないので、ライターとしてのスキルが上がることはあまり期待できません。間違ったフォームでいくら練習をしても、上達しないスポーツと似ています。むしろ、悪い癖だけが身に付き、上達するのが難しくなるのです。
また、「安いからたくさんの記事を書いてもらえる」と考え、クラウドソーシングを利用する企業もいますが、百害あって一利なしです。SEO対策として、大量の記事を配信する企業を今も見かけますが、たとえSEOの効果があって流入が増えても、クオリティの低い記事ばかり掲載すれば、企業のブランド価値をおとしめるだけで、何もメリットはありません。
適当にキーワードだけを織り込んだ1本1,000円の記事を毎月100本配信するのであれば、品質の高い1本10,000円の記事を10本配信すべきなのです。
\疑問や不明点はお気軽にご相談ください!/
タイプ別でライターを選ぶ
ライター選びに無駄な時間と労力を費やさないためにも、ライターのタイプを見極めておくといいでしょう。
あなたが携わるメディアに合わせて、効率良くライターをキャスティングするには、以下の4つの選択肢があります。
・専門家ライター
・一芸突破ライター
・職人ライター
・専属ライター
順番にそれぞれ見ていきましょう。
専門家ライター
専門家ライターとは、専門分野・得意分野を持ち、経験豊富なタイプです。ウェブ担当者にとっては、扱いたいテーマに適切なライターをキャスティングさえしてしまえば、あとはさほど手間はかかりません。
例えば、経済に強いライターを探すとします。経済といっても流通の話なのか、企業経営の話なのか、金融の話なのか、貯金の話なのか、さまざまあります。「流通→食品→生鮮食品」と細かくブレイクダウンして、生鮮食品について書いてもらいたければ、生鮮食品について、知識も経験もネットワークも豊富なライターをキャスティングしたいでしょう。
そのためには、まず情報アンテナを高く張って、常に質の高い専門家ライターを探さなければなりません。専門知識を持っているがゆえに、当然、原稿料の単価は高くなります。しかし、たとえ原稿料が安くても、影響力があったり、評価が高かったりするメディアであれば、書いてくれることもよくあります。ライターとしては、自身のブランディングになるからです。
あなたがもし専門家ライターを探したいのであれば、まず良質で知名度の高いメディアから探すといいでしょう。
一芸突破ライター
一芸突破ライターとは、文章力は多少つたなくても、着眼点や切り口がユニークなので、書き慣れると化けるタイプです。
若い人のほうが、のびしろがあることが多いですが、年配の人でも心配はありません。違う分野で何かを成し遂げた人であれは、それがすでに武器になっているので、ライターをやっても開花する可能性が高いといえます。
私自身、これまでイラストレーターやカメラマン、企業家など、ライターを本業にしていない人たちに寄稿を依頼したことは何度もあります。年配の人も少なからずいます。
一芸に秀でたプロたちは、たとえライター経験がなくても、「誰に(who)、何を(what)、なぜ(why)、どうやって(how)」伝えるかを明確に認識しています。どんな職種であろうと、どんなコンテンツだろうと、どんな商品だろうと、どんなサービスだろうと同じです。文章力は、ウェブ担当者が修正・整理・指導していけばいいのです。
逆にいえば、「誰に(who)、何を(what)、なぜ(why)、どうやって(how)」という幹を明確に定められないと、ウェブ担当者がいくら道案内や助言をして、枝葉だけいじってもどうにもならないのです。
例えば、以前、私はサッカーを専門に書く、あるライターと仕事をしていました。サッカーに詳しいライターを探していたとき、ブログを読んで声をかけさせていただきました。私が目をつけたのは、彼の「視点」です。ある事象を切り取る視点がおもしろかったのです。そのライターは、プロのサッカー選手を目指していましたが、大学生のときに足をケガしてプロをあきらめたそうです。現在はウェブ制作会社に勤務しながら、サッカー業界にどんな形でもいいから貢献したいと考え、ブログで記事を発信していました。
そのライターは物書きとしての経験はほとんどなく、特別な訓練も積んでいませんでした。しかし、やはり「誰に(who)、何を(what)、なぜ(why)、どうやって(how)」伝えるかを、常に考えています。なぜなら、彼には「サッカー業界に貢献をしたい」というビジョンがあったからです。
職人ライター
特に専門性を持っているわけではありませんが、都度与えられたテーマを意欲的に勉強するのが、職人ライターです。
職人ライターは、幼少期から本やマンガや映画などのコンテンツに数多くふれている人が向いていると、私は考えています。
彼らの共通点は、「ストーリー」を重んじるということです。エンターテインメント性の高いコンテンツに多くふれているので、どんなコンテンツがユーザーに喜ばれるのか肌感覚で身に付いています。また、表現方法などのスキルも、数多くのコンテンツにふれてきているので引き出しが多くあります。
最近のライターには、本をほとんど読んだことがないという人も少なからずいます。ウェブメディアで多くの文章にふれているかもしれませんが、その多くには「文脈」がありません。ウェブメディアはテレビに近く、即物的で情報の断片を数多く切り取ることを得意とします。読み手が普段、本や雑誌を読まなくなるのは、時代の流れでしょう。しかし、ライターという情報発信者が本や雑誌を読まないと、ストーリーの構築や「文脈」を読み解くことができなくなってくるのです。
情報の断片をつなぎ合わせて、まとめ記事を作成することはできるかもしれません。実際にウェブメディアには、そういう仕事がたくさんあります。しかし、私がライターに原稿執筆を依頼して、最も苦労するのは、彼らが「文脈」を読めないことです。どんなにキャリアを積んでいても、「文脈」が読めないライターは数多くいます。
よく「地頭がいい」という言い方がありますが、それは単に記憶力がいいということではなく、「文脈を理解する力=つなぎ合わせる力」があるということだと思っています。「文脈力」とは、一見バラバラに分断された関係のない要素をつなぎ合わせ、ひとつのストーリーに落とし込んでいく力といえます。
ウェブメディアには、そういう「文脈」を読み解く力を鍛えるようなコンテンツがなかなかありません。そういう意味で、本や雑誌、マンガ、映画などは、「文脈」とストーリーの集大成です。
もし、あなたが依頼したいと思ったライターが、専門家でも一芸突破でもない職人ライターであれば、どんな本や雑誌、マンガ、映画が好きで、これまでどんな作品を、どれだけ読んだり観たりしてきたか、ぜひ尋ねてみてください。あなたが知らないことでもいいのです。そのライターが、あなたにどれだけわかりやすく興味が持てるように説明できるかが、ライターとしての資質を見極めるカギなのです。
専属ライター
どんな会社も、商品やサービスを提供しています。つまり、ある商品やサービスのプロであり、専門家です。
これまで紹介した、専門家ライター、一芸突破ライター、職人ライターを探すのに苦労しているとすれば、みずからライターを育成して、専属にしてしまう手段もあります。
職人ライターのところで説明したように、文章力は後から訓練でいくらでも上達させることができます。専門ライター予備軍の「金の卵」は、安い原稿料でも「育ててくれる」ウェブ担当者とは喜んで仕事をしてくれます。
ウェブ制作会社や編集プロダクションなどにライターを依頼する場合は、企画、編集、テーマ選定などが入ってくるため、3,000字程度の記事制作でも30,000~50,000円はかかります。しかし、そんな予算はないという企業も少なくありません。
専属ライターを育成する場合は、求人告知を出してもいいですし、オウンドメディアやソーシャルメディアで募集してもいいでしょう。
あなたの会社の商品やサービスのことを最も知っているのはあなた自身です。しかし、あなた自身がライターとして原稿を書くのは現実的ではありません。そのような場合、専属ライターに自分の取材をしてもらい、記事を書いてもらうのです。大量生産のどこにでもある記事に価値はありません。価値があるのは、あなたの会社しか持っていない情報なのです。
例えば、あなたの会社がボディソープを売っているとします。つまり、ボディソープのプロです。美肌ケアがウリかもしれませんし、バスタイムの過ごし方に詳しいかもしれません。あるいは香りが一番のウリかもしれません。そんなあなたの会社の専門的な話をさまざまな切り口で考え、ライターにあなたやあなたの会社の職人さんなどに取材をしてもらいます。
そして、仮に1本5,000円で2,000字の記事を、1回の取材で10本、つまり総額50,000円で、専属ライターに書いてもらうのです。長期的視点に立てば、クラウドソーシングなどを使って、1,000円の記事を50本制作するより価値の高いコンテンツができることは、言うまでもありません。専任にすることで、そのライターはあなたの会社やその業界に精通し、書けば書くほど記事の質は高くなっていきます。
以上、ライターの特性とその見極め方について紹介しました。それぞれのライター特性に応じた付き合い方をすれば、質の高いコンテンツを効率良く作っていくことができると思います。
なお、ナイルでは、専門家ライター、職人ライターといっしょにコンテンツを制作していますので、ライターの手配にお悩みの方はお気軽に以下よりご相談ください。