取材に必要な7つの準備【最強コンテンツの作り方 第4回】
もはや、ネットで集めた二次コンテンツを大量生産する時代ではありません。情報洪水の時代だからこそ差別化を図り、ユーザーに信頼される価値の高いオリジナルコンテンツが求められているのです。
本連載「最強コンテンツの作り方」では、情報収集からインタビュー、取材、企画、文章の作成方法まで、ユーザーの心をつかむコンテンツの作り方をお届けします。 第4回は、取材にあたって必要な7つの準備についてご紹介します。
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目次
1 企画主旨
企画主旨は、コンテンツを作成するための憲法のようなものです。取材準備や実際に取材をしていく中で、主旨がずれたり、方向性を見失ったりしないための基本方針となります。
ここで一例を挙げましょう。
例えば、あなたは今、転職サービスの会社で「働き方改革」に関するメディアを運営しているとします。メディア名を仮に「WORK REVOLUTION」とします。
今回、このメディアで「パワハラ」をテーマに特集を企画してみます。
以上のように企画主旨が決まったら、取材の準備にとりかかります。チームで動く場合は、チームにも共有します。企画主旨が定まった時点で改めて企画会議やブレストを行い、細かい切り口や取材先候補を詰めていきます。
コンテンツ案の詰め方については、「いいアイディアを生むブレストの5つのルール」をご参照ください。
5W1Hを整理する
いつ(When)、どこで(Where)、誰に(Who)、何を(What)、なぜ(Why)、どうやって(How)取材をするか?
企画を考えるときは、テーマに合わせて5W1H(When、Where、Who、What、Why、How)を整理します。
<When(いつ)>
公開日から逆算して取材日程を決めます。取材は相手があって成立することですので、どこにも取材ができなかったということにならないように、少なくとも1ヵ月程度の猶予を確保しましょう。
<Where(どこで)>
取材場所がどこになるかは予算との兼ね合いもあるので、企画段階で想定しておくことが重要です。撮影がある場合は、できるだけロケハンをして、撮影現場の条件などを確認しておきます。ロケハンができない場合は、あらかじめ撮影現場のロケーションを調べておきましょう。
屋外なら天気や時間帯、屋内なら照明の種類や室内の広さなどを確認します。
<Who(誰に)>
パワハラがテーマであれば、企業のパワハラの当事者(加害者、被害者)、人事部、弁護士、NPOなど、企画主旨に沿った取材先候補を挙げます。
取材は相手に断られたり、スケジュールの都合が合わなかったりすることも多々あるので、余裕を持って多めの候補者をリストアップしておきましょう。人選については、松(取材が困難そうだができたらベストな候補)、竹(最低限押さえるべき候補)、梅(保険的に押さえる候補)と、3段階で候補者を用意します。
<What(何を)>
「取材候補者に何を聞くか?」が、コンテンツを作成する場合の主軸となります。「質問骨子=企画の構成」と考えてください。
質問はできるだけ多く作成して、取材候補と同じように、松(必ず押さえておきたい質問)、竹(話の流れや、松の質問で広がらなかったときの質問)、梅(時間に余裕があったり、思ったような話が聞けなかったりしたときの質問)と、3段階に分けて用意します。
取材対象者にも、取材依頼書と併せて、あらかじめ質問の骨子を渡しておくことをおすすめします。その場合は、最低限聞いておきたい、松の質問だけでいいでしょう。
あまり細かく、たくさんの質問を送っても先方は覚えきれませんし、読む気が失せてしまいますので、竹と梅の質問は送る必要はありません。
<Why(なぜ)>
「なぜ、この企画をやろうと思ったのか?」「なぜ、ここを訪れるのか?」「なぜ、この人に話を聞くのか?」など、なぜを再確認することは、企画意図の確認でもあります。
決めたテーマについて何を追求していきたいのか、下記のように可能な限りの疑問を洗い出してみましょう。
・なぜパワハラが問題視されるのか?
・なぜパワハラは起こるのか?
・パワハラが起こりやすい組織があるのか?
・パワハラをする人に正当性はあるのか?
・どこからがパワハラか?
・法律でできることはあるのか?
・法律が及ばない場合の解決策はあるのか?
<How(どうやって)>
「会って取材するのか?」「電話取材なのか?」「メール取材なのか?」「アンケートをとるのか?」「記事にするのか?」「動画にするのか?」など、取材方法や掲載方法などを決めます。
Howの内容によってスタッフのキャスティングや予算が大きく変わってきますので、あらかじめきちんと決めておきましょう。
2 予算
企画段階でおおよその予算が決まったら、予算の細かい配分を検討します。
例えば、50万円の予算であれば、どんな取材が可能かを検討します。ここでは便宜上、社内スタッフの稼働費(企画・編集など)は省き、外注費のみで考えます。企画・編集も外注する場合は、別途その費用もかかります。
<予算の配分例>
原稿料:20万円
撮影費:20万円
取材謝礼:10万円
合計:50万円
3 取材先候補
予算内でどの程度の取材ができるか目処が立ったら、具体的に取材先候補をピックアップします。
<パワハラ企画の取材先候補例>
■パワハラの実態について
・パワハラの疑似体験ができるイベント体験&主催者(1名)
・ブラック企業アナリスト(1名)
・パワハラ体験座談会(4名)
■パワハラの防止策について
・パワハラ対策をしている企業(2社)
・弁護士(2名)
取材先候補をピックアップしたら、予算内に収まるように絞り込んで調整していきます。
4 スケジュール
コンテンツの公開日から逆算して、いつからスタートして、いつ完成させるのか、制作過程のスケジュールを立てます。
<コンテンツ制作の流れ>
取材依頼→取材→原稿アップ→原稿チェック→原稿修正→公開
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5 取材依頼書
取材依頼の際に必要な取材依頼書を作成します。
取材依頼書は、取材をしたい理由と企画主旨をわかりやすく説明するものです。あまり細かく書いても読んでもらえませんので、できるだけ簡潔に要旨だけまとめて短く書きます。A4用紙1〜2枚に収まる程度で十分でしょう。
<取材依頼書に盛り込む内容>
■自己紹介
自社や扱うメディアについて説明します。
■取材主旨
なぜ取材をしたいのか、その理由と意図について説明します。
■取材条件
取材したい日程や拘束時間、原稿確認の有無や掲載日、取材謝礼など各種条件を明記します。
■質問骨子
どんな内容の話を聞きたいのかあらかじめ伝えておきます。事前に質問を伝えておくことで、回答の準備をしてもらえ、答えられない内容についてはあらかじめ教えておいてもらえます。
それでは、パワハラ対策をしている企業に対する取材依頼書の例を見てみましょう。
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6 アポ取り
取材依頼書と併せて、取材の可否を確認します。昔は電話をして、その後正式に書面をFAXするのが通例でしたが、最近はメールでの依頼が中心となっています。
取材先がメールアドレスや問い合わせフォームなどを持たない場合は、電話番号を調べて連絡をし、その後の段取りを確認します。電話をしても、最終的に書面は必要となりますので、迅速に進めるためにも、取材依頼書はあらかじめ用意をしておきましょう。
私自身の経験則では、取材を受けてくれる人は、大抵返答も早いものです。取材依頼から返答まで1週間以上空くような場合は、連絡がとれても大抵断られます。いつまでも粘って待たずに、1週間程度を目処に見切りをつけて、次の候補者にあたるようにします。締切りまでの時間があまりないときは、2〜3日で見切りをつけて、次のアポをとっていきましょう。
例えば、4件の取材を予定していて、6件取材の了承を得たら、2件は断ってしまって構いません。怖いのは、期限を過ぎても1件もアポが取れていない状況です。余裕を持って、できるだけ多めにアポ取りをしましょう。
7 ロケハン
一人にインタビューをするだけの取材であれば、ロケハンをする必要はありません。しかし、撮影が絡んだり、多くの人の話を聞いたり、一日がかりの取材の場合は、ロケハンは欠かせません。予算がなく事前にロケハンができない場合は、香盤表や絵コンテなど、段取りの詳細を取材先に渡しておいて、できるだけ突発的なトラブルやハプニングがないよう、準備をしておきます。
コンテンツとして、パワハラに関する再現ドラマを制作する場合の香盤表と絵コンテの例を紹介します。
<香盤表例>
<絵コンテ例>
以上、取材に必要な7つの準備について紹介しました。
最後に私が座右の銘にしているお気入りの格言を記しておきます。
「偶然は準備のできていない人を助けない」
ルイ・パスツール(フランスの細菌学者)
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