「コンピレーションメディア」「コトバDMP」など出版社発の取り組みが盛んに。6月のコンテンツマーケトピックス

「コンピレーションメディア」「コトバDMP」など出版社発の取り組みが盛んに。6月のコンテンツマーケトピックス

画像引用元:http://www.garage.co.jp/ja/pr/2017/06/20170628.html

2017年7月号

こんにちは。コンサルタントの五木田です。
この記事では、コンテンツマーケティング周りで6月に話題になったニュースやトピックを取り上げます。

日本初「コンピレーションメディア」がローンチ

7月コンピレーションメディアの全体像

画像引用元:http://www.kodansha.co.jp/upload/pr.kodansha.co.jp/files/pdf/20170126dk2.pdf

コンピレーションメディア「HOLICS」が6月28日に公開されました。
運営元のDK Mediaはデジタルガレージと講談社の合弁会社です。

コンピレーションメディアとは、雑誌コンテンツをデジタルデバイス向けに再編集し掲載する、新形式のメディアです。講談社出版の雑誌が持つコンテンツを利用し信頼性の高い情報を発信します。

デジタルガレージと講談社、雑誌の優良なコンテンツとAI技術を組み合わせたコンピレーションメディア「HOLICS」を開設

Content Hub編集部より

「情報の信憑性」や「著作権」などキュレーションメディアの問題点を払拭するため、DK Mediaでは下記のような仕組みづくりをしているそうです。


1. 参画する雑誌が、信頼性と適切な著作権処理に関して責任を持っているコンテンツを活用
2. データと AI を活用して、コンテンツを客観的に評価する仕組み
3. 雑誌編集ノウハウを持つ DK Media 編集部員(コンピレーター)が、責任を持って編集
4. 信頼できるコンテンツを、ユーザーごとに個別最適化して配信

紙媒体のコンテンツが再編集・掲載されることで、信頼できる情報がWeb上に増えていくのは喜ばしいことです。メディアとしての伸長・マネタイズがどうなっていくか、注目していく価値があるでしょう。

小学館「コトバDMP」を開発

7月コトバDMP

画像引用元:https://www.shogakukan.co.jp/sites/default/files/manual/20170609.pdf

小学館がデータマーケティング基盤「コトバDMP」の開発を発表しました。
同社が保有する月間 2.2 億 PV/5 千万 UUのコンテンツや言語解析技術を活用し、ユーザーの興味関心を解析します。

2.2億PV/5千万UUのメディア・コンテンツ群データを活用した データマーケティング基盤「コトバDMP」開発のご案内

Content Hub編集部より

「ユーザーの関心事」は企業にとっても、大きな関心事でしょう。
DIGIDAYの取材によると、「テストマーケティングの結果、通常のタイアップと比較して、2〜3倍の集客を達成することができた。」とのことです。
このようなデータドリブンな施策開発は、まずは大量のデータを持っていることが重要。出版社や大手企業などが積極的にテストしていくことで、これまで見えていなかったヒントが見えてくるようになるでしょう。

SpecteeとAP通信社が提携を発表

SNSの情報をリアルタイムに集めて報道機関に配信するSpecteeが、AP通信社との提携を発表しました。
AP通信社のAP Video Hubはユーザー投稿型の報道用素材提供プラットフォームです。そこへSpecteeで集まった映像を提供し、日本国内だけでなく世界に映像配信を行います。

AP 通信社と動画配信に関する事業提携 〜 世界に向けて動画コンテンツ配信開始

Content Hub編集部より

先月の記事でもSpecteeのニュースを紹介しました。SNSに投稿された事件・事故の情報をもとにAIが記事作成をする特許取得のニュースです。

SNSは情報がリアルタイムに更新されるので、警察などからの発表よりも前にニュースが世の中に出回ることもあります。
注意したいのは、フェイクニュース対策です。画像・動画認識の技術は進んでいるとはいえ、最終的には人の目が必要なケースがまだ多いのではないでしょうか。
SNSを活かした情報提供が、信頼性も含めて確立されれば、恩恵を受ける人も増えてくるでしょう。

Instagramでステマ対策。「タイアップ投稿」表示の機能追加

Instagramは、企業とのタイアップ投稿を明示する機能を発表しました。
企業と投稿者に報酬が発生するPR投稿に対して「XXX(ブランド名)とのタイアップ投稿」と表示できるそうです。

Instagramにおける、ビジネスとクリエイターの協業関係の透明性を向上

Content Hub編集部より

トレンダーズの調査によると、調査対象者の約7割が「SNSをきっかけに物を買ったり、イベントに参加したりした経験」があるそうです。

7月トレンダーズ調査画像引用元:http://www.trenders.co.jp/wordpress/corporate/wp-content/uploads/2017/06/trenders20170613.pdf

その中でもインフルエンサーによるプロモーションの影響力は高くなっています。
しかしPR表記の有無は投稿者に依存する場合が多く、ステルスマーケティングとの線引きが曖昧になっていました。
Instagramとしてはステマに対応するための新機能だったわけですが、BuzzFeedの取材によると「この機能を使うかはユーザー次第」とのことです。果たしてどれだけ情報の透明化が進むのでしょうか。

「ブランドがメディア化し、メディアがブランド化すべき」

「ブランドがメディア化し、メディアがブランド化すべき」:資生堂・執行役員 音部大輔氏

DIGIDAYで掲載された記事です。
AIDMAやAISASといった購買プロセスは、それぞれAttention(注意)からInterest(興味)という流れがありました。
しかし情報が溢れ「コモディティ化」している現代では、「そもそもInterestがなければ気づいてもらいにくい。IはAと同時か、ひょっとすると前にある。」と言います。
そのためブランド自体がメディアとなってユーザーのInterestを喚起すべき、という内容です。

Content Hub編集部より

ユーザーのInterestを引く内容といってもバズネタである必要は全くありません。万人受けを狙うのではなく、むしろコアなファンを作ることを考えてみましょう

「ブランドの原義は品質の保証であった。名の通ったブランドであれば、使ってみる前に相応の品質を期待できる。「情報」はコモディティ化したうえに、消費するまで内容の質がよく分からない。コモディティ化した市場ではブランドは役に立つ。」

記事にこう書かれているように、多くの人は自分が好きなサービスがあればそれを「わざわざ」選びます。
逆に100万人にリーチできても、通りすがりのユーザーにとってそれは「数ある情報の中のひとつ」でしかありません。
コアなファンを満足させるか、結びつきの薄いユーザーをたくさん集めるか。どちらの方が価値がありそうでしょうか?

「ファンを作れるような情報なんて持っていない」「自社の強みが分からない」と思われるかもしれません。しかし、企業理念・文化・現場や顧客からの声・自社愛が強い従業員など・・・どの企業にも何かしらのこだわりはあるはずです。
そのポイントこそが、他社との差別化ポイントになります。
そのブランドだからこそのこだわりの発露が、メディアがブランド化するということであり、ブランドがメディア化するということの意味なのではないでしょうか。

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編集者情報

ナイル編集部
ナイル編集部

2007年に創業し、約15年間で累計2,000社以上の会社にマーケティング支援を行う。また、会社としても様々な本を出版しており、業界へのノウハウ浸透に貢献している。(実績・事例はこちら

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