ペルソナに違和感を感じる理由と本当のユーザーを知る3ステップ
ユーザー理解のため、それなりの時間をかけて作ったペルソナやカスタマージャーニー。よくできていると思ったのに、「あってもなくても同じようなコンテンツが出来てしまった」「実際のユーザーとなんだか違う気がしてきた」ということも多いのでは。今回は、ユーザーを知るための3つのステップを紹介します。
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目次
「なんだか違う」の正体
一生懸命ペルソナを考えたのに「実際のユーザーとなんだか違う」と感じ、結局使わなかった。
一体なにが理由なのでしょうか? 一言でいうなら、「ユーザーの行動が描けなかった」ことではないでしょうか。例えば、「デモグラフィックはきちんと埋められて、実在しそうなユーザー像になったのに、行動イメージが湧かなかった」。これはユーザーの属性はきちんと理解できているのに、「なぜ、その行動をするのか?」というユーザーの心理、行動の意図が理解できていないことが原因です。
どんなに素晴らしく見えるペルソナであっても、シナリオが描けなければ価値がありません。シナリオを描くためには、単にデモグラフィックを埋めるだけでは不十分です。そのサービスやコンテンツを受け取る”ユーザーの本当の姿”を知る必要があります。机上の空論だけで構成されたペルソナは、えてして簡単に崩れ去ってしまうのです。
では、行動がイメージできるペルソナを作るために何をすべきなのか。マーケ担当者の頭の中だけで完結せずに、実際のユーザーの声に耳を傾け、「なぜそう思ったのか?」を知ることが必要です。次にその方法についてお話ししましょう。
ユーザーの本当の姿を知る3つのステップ
できるだけ、ユーザーの息づかいが聞こえてくるような、リアルな情報を知っていきましょう。最終的にユーザーの声を直接聞くことを目標として、3つのステップを積み上げていきます。
- ユーザーをよく知る社員へのインタビュー
- アンケート
- ユーザーへの直接インタビュー
一番重要なステップは「ユーザーへの直接インタビュー」ですが、いきなりユーザーに聞くのではなく、先に社員へのインタビューを行うのがポイントです。ユーザー像を事前にイメージできるようにしてから実際のユーザーと対面することで、イメージ通りの点、違っている点が浮かび上がり、ユーザー心理をしっかつかむことができます。
それでは、それぞれのステップについて見ていきましょう。
1.ユーザーをよく知る社員へのインタビュー
まず、営業マンや販売員など、常にユーザーと接している社員に話を聞きましょう。ユーザーを一番身近に感じている人たちですから、どんなユーザーが、どんな時に、どんな行動をとるのか、リアルに答えてくれることが期待できます。これまで顧客になってくれた人の詳細なエピソードや、これからアプローチしたい人のイメージなど、どんどん深掘りして聞くと良いでしょう。ユーザーに話を聞くよりも時間の調整がつきやすいので、最初に顧客イメージをつかむのに適しています。
社内メンバーですから、ユーザーには直接聞きにくいことも踏み込んで聞いてしまいましょう。実際にお手伝いしたお客様のマーケ担当者様は、「同じような属性を持つ人の中でも、なぜその人が顧客になっているのかが理解できた」「実際の顧客とのやりとりの例が、その人の価値観を反映していて参考になった。」などの感想を持たれていました。また、部署間での相互理解にもつながります。
「社員インタビュー」の注意点:バイアスを避ける
社員へのインタビューでどんなことが得られるのかを認識しておくことが重要です。顧客のことはよく知っている一方、「Webサイト」についてよく知っているとは限りません。そのため「このサイトのユーザーは誰に設定するのがよいか?」「どのような戦略でユーザーと接点を持つべきか?」といった、戦略に関わる問いでは適切な答えを引き出せない可能性があります。あくまでユーザーを知るための質問に集中すべきでしょう。
また、直接ユーザーの声を聞いているわけではなく、人のフィルターを通している点は注意が必要です。人によって付き合う顧客も違えば、抱いているイメージ、付き合うスタンスも異なります。余計なバイアスに振り回されないようにするため、できれば複数の社員の客観的な情報を得ると良いでしょう。
2.ユーザーへのアンケート
次に、社員インタビューで得られたユーザー像に合う人を探すため、アンケートを実施します。
インタビュー候補者を選定するのであれば、年齢や性別、家族構成などのユーザー属性の他に、条件にあったユーザーかどうかを判断するための質問を用意します。「スマートフォン向けのチャットアプリの使い方」についてのインタビュー候補者を探したいなら、「スマートフォンを利用していること」「チャットアプリを利用していること」がわかる質問が必要でしょう。
「Questant」や「CREATIVE SURVEY」「Fastask」など、オンラインでアンケートを実施できるサービスもいくつか存在しますが、ユーザーへのインタビューも見据えるのであれば、「アスマーク」のようなアンケートだけでなくインタビューにも答えてくれる人を選べるサービスがより効果的です。
「アンケート」の注意点:設計がすべて
アンケートを実施する際、質問項目の設計が最重要です。
どんな情報があればインタビュー対象者として適切と判断できるかを考えておく必要がありますし、また質問に対して意図と異なる解釈がされないよう注意しなければなりません。例えば漠然と「スマートフォンの使い方を教えてください」という質問をしたとします。この質問では「アプリのことを聞かれている」や「利用タイミングについて聞かれている」など、様々な解釈ができてしまいます。
こちらの意図と回答者の解釈が異なると、想定した回答が集まらず、インタビュー候補者を絞ることができません。「アプリについての利用状況についてお聞きします」「電車の中での利用状況についてお聞きします」などの条件を明記し、欲しい回答が得られるようにしましょう。
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3.ユーザーへの直接インタビュー
アンケートを通して候補者が選べたら、いよいよユーザーへの直接インタビューです。インタビューでは、気になったことをその場で深掘りして聞くことが出来ますし、あいまいな点があれば、具体的に聞けるので情報の精度も上がります。しぐさや表情、服装、身振り手振りなどもユーザーを知る重要な手がかりとなります。何より、「ターゲットユーザーそのもの」が目の前にいることで圧倒的にイメージが鮮明になります。
実際に弊社でインタビューをお手伝いしたお客様からは、「ある程度想定された答えでも、ユーザーの声として聞くことができ、さらに深掘りできたことは収穫だった。」「これまで知らなかったユーザーの行動や考え方に触れ、プロジェクトの軌道修正のイメージが湧いた。」「インタビューに同席したメンバーのユーザーに対する意識が変わり、みんな改善意欲を持ってプロジェクトに取り組めるようになった」といった感想をいただきました。
「ユーザーへのインタビュー」の注意点:リクルーティングと時間制限
インタビュー対象者の「リクルーティング」が重要かつ、難しいポイントです。本当のターゲットと異なるユーザーを採用してしまうと、どんなに質問を工夫しても必要な情報は得られません。また、時間制限にも注意が必要です。意中の人が見つかったとしても、インタビューできる時間は限られています。本当に聞きたいことは何か、優先度をつけた上で時間配分を考えると良いでしょう。
参考事例
ユーザーテスト(行動観察)を活用した潜在的課題の発見事例「東京インターナショナルスクール アフタースクール」 | 住友商事株式会社
「いぬのきもち ねこのきもち」ユーザーテスト(行動観察)を活用した潜在的課題の発見事例 | 株式会社ベネッセコーポレーション
「知ったつもり」にならないことが一番重要
極論すれば、担当者や制作者がユーザーに対する深い理解を共通して持っていれば、ペルソナもカスタマージャーニーマップも必要ないのです。冒頭に紹介した「使えないペルソナ・カスタマージャーニーマップ」は、「ターゲットってだいたいこんな人だろう」という安易な思い込みをもとに、項目だけを埋めてしまうことによって発生します。
実際にユーザーを深く知る手法を試してみると、7割くらいは思っていた通りなのですが、残りの3割で予想に反した新鮮な驚きが得られます。こうした細部の心理理解が、より深掘りされたコンテンツ施策、マーケティング施策に反映されます。「知ったつもり」を排してユーザーを知ろうとすることが、マーケティングの第一歩ではないでしょうか。
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