SaaS企業で結果を出すためのマーケティングのポイントや手法を解説
近年、ソフトウェアの導入シーンでよく耳にするようになった「SaaS」。SaaS市場には、スタートアップを中心に多くの企業が参入し、BtoB、BtoCを問わずあらゆる領域がレッドオーシャンとなっています。
今回の記事では、SaaS市場で勝ち抜くためのマーケティング施策について解説します。
マーケティングのポイントや具体的な手法について細かく紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
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目次
【そもそもの確認】SaaSとは
SaaSとは、「Software as a Service」の意味で、頭文字をとり「サース」または「サーズ」と呼ばれています。
SaaSは、クラウド上のソフトウェアをインターネットを通じて利用するサービスのことを指し、代表的なものとしてはGmailやPhotoshop、Salesforceなどがあります。
多くのサービスでは、サブスクリプション方式を取っていることが特徴です。
SaaS企業におけるマーケティング5つのポイント
SaaS企業でマーケティングを実施する際には、下記5つのポイントが重要です。
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
ポイント1 ターゲットを明確にする
マーケティングのファーストステップとして、まずはどのような人や企業をターゲットにするのか明らかにしておく必要があります。
SaaSのマーケティングではリード獲得を行うことが一般的ですが、この際にターゲットから外れたリードを集めても契約につながる可能性は低いためです。
このとき、ペルソナ(「性別」「年齢」「職業」などを細かく設定した人物像)を設定しておくと、チーム内でターゲットのイメージを共有しやすくなります。ペルソナの具体的な設定の手順は、以下のとおりです。
- ユーザーをよく知る社員へインタビューする
- ユーザーへアンケートを実施する
- ユーザーへ直接インタビューする
ペルソナの設定方法について、詳しくは下記の記事をご覧ください。
ポイント2 導入期はサービスの認知に注力する
サービスを始めたての「導入期」では、自社サービスがまだ世間に認知されていません。
そこで、自社のサービスは「どのような魅力があるのか」「どのような課題を解決するのか」を、オウンドメディアやSNS、広告などを通じて発信していく必要があります。
ここで注意すべきなのは、「具体的に何ができるサービスなのか」や「発注したらどのような動きになるのか」について明確に伝えることです。よくある失敗例として、世界観やブランディングを意識するあまり、これらが上手く伝わっていないことがあります。
また、BtoBのSaaSでは「ユーザーの導入事例」を増やすことも有効です。導入を検討しているユーザーは、大手企業や似た業種での事例を見ることで、安心して契約できるようになります。
ポイント3 フェーズに合わせてアプローチを変える
ユーザーは自社のサービスを知ってから実際に申し込みをするまで、「認知→検討→比較・検討→決断」という段階を踏んでいきます。
そこで、各フェーズでアプローチを変えることで、成約に至る可能性を高めることができます。
具体的なアプローチ方法は、以下のとおりです。
まず「認知段階」では、ユーザーは自身の課題に気づいておらず、漫然と情報収集をしています。そこで課題を認識してもらうためのコンテンツを提供したり、飛び込み営業やテレアポで直接説明することが有効です。
続いての「検討段階」では、ユーザーは課題を把握して解決しようとしています。ここでは、課題の解決策を「オウンドメディア」や「セミナー・ウェビナー」などを通じて伝えます。
「比較・検討段階」は、ユーザーが課題解決のための発注先を選んでいるステップです。自社を選んでもらうために、資料を提供したりイベントに出展したりしてアピールしてみてください。
最後の「決断段階」では、ユーザーは発注先を確定させるための社内稟議を通す必要があります。ここでは、上層部の承認が得られるように、メールマガジンなどを通じて情報提供することが効果的です。
以上のように、マーケティングでは、各段階のユーザーの状況に合わせてアプローチを変える必要があります。
ポイント4 ツールを有効活用する
リードジェネレーションやリードナーチャリングを実施する際は、ツールを活用すると効率が上がります。
まず、リードジェネレーションで使えるツールの例としては、「営業リスト作成ツール」があります。これは、リード候補の企業の情報を自動収集してリストを作成してくれるものです。営業リスト作成ツールを活用すれば、網羅的なリストを短時間で作れます。
リードナーチャリングには、MAツールを使うことがおすすめです。MAツールでは、見込み顧客の管理ができて、メールの自動送信機能が付いているものもあります。MAツールを活用することで、マーケティングを効率的に行えます。
ポイント5 社内の体制を整える
SaaS企業のマーケティングにはさまざまな手法があり、成果を出すためにはユーザーの状況ごとに適切なアプローチをしていく必要があります。
正しい判断をするためには、マーケティング部門に優秀な人材を集めて、熱意を持って取り組まなければなりません。
また、マーケティング部門は営業部門との連携を密にすべきです。マーケティング部門で獲得したリードは、営業部門へバトンタッチして商談⇒契約まで持っていくことで、初めて売上になります。このため、両部門の連携が取れていないと、会社全体としての成果は向上しません。
以上のように、マーケティングで結果を出すためには、社内の体制を整えることが非常に重要です。社内にマーケティングのノウハウがない場合には、コンサルティング会社に依頼するのも一手ですので、必要に応じて検討してみてください。
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SaaS企業におけるマーケティングの手法
ここでは、SaaS企業におけるマーケティングの手法を紹介します。
「リードジェネレーション(見込み顧客を獲得する)」と「リードナーチャリング(見込み顧客の購買意欲を向上させる)」の2つのフェーズがあります。
リードジェネレーションの手法5選
リードジェネレーションとは、リード(見込み顧客)を獲得することです。
最終的に自社のサービスを使ってもらうため、顧客になる可能性のある人・企業の情報や連絡先を手に入れるところから始めます。
具体的なリードジェネレーションの手法としては、以下の5つがあります。
SEO | 特定のキーワードで検索結果の上位に表示されることを狙う。自社サイトに流入したユーザーに問い合わせや資料ダウンロードを促し、連絡先を獲得する。 |
SNS | SNSで情報発信をする。自社の発信に反応してくれたユーザーやアカウントのフォロワーがリード候補になる。 |
ホワイトペーパー | 自社のノウハウをまとめた資料を配布する。ユーザーが資料をダウンロードする際に、名前やメールアドレスを入力してもらうことでリードを獲得する。 |
広告 | テレビやタクシーでCMを流したり、リスティング広告・SNS広告などのウェブ広告を配信したりする。広告を見た人からの問い合わせや資料ダウンロードによって、リードを獲得する。 |
イベント・セミナー | 自社のサービスに関するイベントやセミナーを開催する。参加の申込をしてもらう際にリードを獲得する。 |
リードナーチャリングの手法5選
リードナーチャリングは、見込み顧客に対して情報提供をしながら、自社のサービスに対する購買意欲を向上させる施策です。
リードジェネレーションによって獲得した見込み顧客にナーチャリングを行い、契約につなげます。具体的には、以下の5つの手法があります。
メールマガジン | 見込み顧客に対してメールで情報提供をしながら、購買意欲を高める。 |
オウンドメディア | オウンドメディアに自社のサービスの魅力を紹介するコンテンツを掲載する。 |
イベント・セミナー | 見込み顧客へイベント・セミナーの告知をする。参加者に対して、自社のサービスをアピールする。 |
リターゲティング広告 | 一度自社のサイトへアクセスしたユーザーに表示される広告のこと。見込み顧客に自社のサービスを思い出してもらう効果がある。 |
SNS | 自社のSNSのフォロワーに対して情報発信をしながら、購買意欲の向上を狙う。 |
SaaS企業におけるマーケティングでKPIとされる指標
KPIとは、企業の最終目標を達成するまでの進捗状況を測るための指標のことです。
SaaS企業ではよく、下記の指標がKPIに設定されています。
それぞれの指標について、詳しく見ていきましょう。
CAC(顧客獲得単価)
CACとは「Customer Acquisition Cost」の略で、「顧客獲得単価」を意味する言葉です。
1人の顧客を獲得するためにかかった人件費や広告費などのコストを表し、下記のように計算します。
CAC=営業費やマーケティング費など新規顧客獲得のためにかかったすべての費用÷新規顧客獲得数
例えば、1ヵ月間にかけた費用が100万円で、20件の顧客を獲得できた場合、CACは「100万円÷20=5万円」となります。
CACについてさらに詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。
LTV(ライフタイムバリュー)
LTVとは「Life Time Value」の頭文字をとった言葉で、「顧客生涯価値」を意味します。
これは、顧客が自社と契約してから解約するまでの間にもたらす利益を表した指標で、下記のように計算します。
LTV=契約1件あたりの収益×年間の平均売上契約数×継続購買年数
仮に月額1万円で利益率が50%のサービスを提供していたとして、ある顧客が3年契約してくれたのであれば、LTVは「(1万円×50%)×12ヵ月×3年=18万円」となります。
LTVについては下記の記事でも解説していますので、併せてご参考にしてください。
Unit Economics(ユニットエコノミクス)
ユニットエコノミクスとは、顧客1人あたりの採算性(投資した額より多くの利益を得られているか)を示す指標のことです。
計算式は、以下のとおりです。
ユニットエコノミクス=LTV(顧客生涯価値)÷CAC(顧客獲得単価)
LTVが18万円でCACが5万円だったとすれば、ユニットエコノミクスは「18万÷5万=3.6」となります。一般的には、ユニットエコノミクスが3以上あれば健全な経営だといわれています。
KPIについての詳しい資料もぜひ、ご覧ください。ダウンロードは無料です。
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SaaS企業のマーケティング事例
ここでは、SaaS企業のマーケティング事例として、弊社ナイルがお手伝いをした「アドビ株式会社」と「freee株式会社」の2社の取り組みを紹介します。
ぜひ、自社でマーケティングを実施する際の参考にしてください。
事例1 アドビ株式会社
まず紹介するのは、MAツール「Adobe Marketo Engage」を提供するアドビ株式会社のマーケティング事例です。ツールの販売を促進するため、SEOに力を入れて集客の強化を図りました。
サイト分析と競合キーワード分析から丁寧に行った結果、検索数の多い「MA」というキーワードの自然検索結果で1位を獲得するなど、検索順位が軒並みアップします。
最終的には、SEOでのリード獲得数は約150%アップ、SEO経由の商談件数も130%ほど向上することに成功しました。
この事例についてさらに詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。
事例2 freee株式会社
続いて紹介するのは、クラウド会計ソフトを提供するfreee株式会社の事例です。
同社では、SEOとして既存のコンテンツのリライトを実施しました。
リライトの結果、月間検索ボリューム100万のキーワードで1位獲得に成功し、検索流入数が約7倍に向上しています。
この事例の詳細は下記の記事にまとめていますので、興味のある方はご覧ください。
SaaS企業でマーケティングを成功させよう
どんなに素晴らしいSaaSを開発したとしても、ユーザーに届かなければ価値は生まれません。
そのため、サービスの開発と同じくらいマーケティング戦略も重要だといえます。本記事で紹介した内容を参考にしていただき、マーケティング戦略に役立ててください。
また、ナイルではBtoBマーケティングについて資料をご用意しております。今すぐできる施策とBtoBマーケティングの実態をまとめています。
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