Googleアナリティクス イベントトラッキング設定再入門
※本記事は、2016年公開当時の情報を基にした記事です。
Googleアナリティクスを使っていないというWeb担当者は今や少ないでしょう。しかし、「イベントトラッキング」という言葉を初めて耳にする人はまだ多いのではないでしょうか。
イベントトラッキングは、ユーザーの行動を計測できる便利な機能です。目標設定にも使うことができるため、応用範囲の広い計測設定であるのが特徴です。
今回は、イベントトラッキングを使うための基礎を解説します。
本記事ではユニバーサルアナリティクス(UA)の情報を解説していますが、UAは2023年7月1日をもって利用できなります。
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目次
イベントトラッキングとは
Googleアナリティクスは、タグを組み込んだWebページにアクセスされた時点でGoogleへデータが送信されます。そのデータが蓄積されることで集計できるようになる仕組みです。ただし標準では、「ユーザーの行動=ページ閲覧」という極めて限られた行動のみ、計測可能な状態になっています。
しかし現実のユーザーは、「ページをスクロールする」「リンクをクリックする」「フォームを入力する」「ページ遷移する」など、多くの行動をWebページ上で行いますので、これらを計測できないとすれば、非常にもったいないことになります。
そこで、その行動を、計測できる仕組みとしてGoogleアナリティクスに実装されている機能が「イベントトラッキング」です。
これは「イベント=様々な変化」を、「トラッキング=計測する」という機能になります。そして、イベントトラッキングは現在では多くのWebサイトで利用されて、改善に役立てられています。
イベントトラッキングのメリット・デメリット
では、ユーザーの行動を取得できるというイベントラッキングは万能なのでしょうか。この機能には、少なくとも以下のようなメリットとデメリットがあります。
データ送信の上限に注意
イベントトラッキングは、計測の設定こそ面倒です。しかし、一度設定してしまえばコンバージョンにも使えるなど、汎用性のある設定になります。こうした利点がある一方で、設定の手間や検証などの手間がかかります。この点がデメリットになります。
セッションあたり 500 ヒット。~(略)~ヒット数がこのいずれかの上限を超えると、以降のヒットはそれぞれ該当の日付中、セッション中は処理されなくなります。※2016年1月26日現在
ページビューと同様にイベントもデータ送信を伴います。このデータ送信を「ヒット」と呼びます。そして、ヒットの計測には上限があります。
例えば、クリックをイベントとして計測する時、あるセッションで500回クリックされたとします。するとクリック(イベント)のデータ送信も500回となり、すぐに上限に達してしまうのです。
この記事を読んでいる読者の方の中には500回のクリックというと多いように思われるかもしれません。しかし、平均ページビューが高く、リンク以外のクリックも計測しているサイトなどの場合は、すぐに上限に達してしまいます。イベントトラッキングがユーザーのさまざまな行動やページの状態を取得できて便利といっても、計画的に導入を進めるようにしましょう。
イベントトラッキングの導入
イベントトラッキングを導入するには、いくつかの方法があります。ここでは使用頻度の高い、Aタグをクリックされたときにイベント発生させる方法を見ていきましょう。
1.ga.js(非同期コード)
<a href="~" onClick="_gaq.push(['_trackEvent', 'カテゴリー', 'アクション', 'ラベル',値,opt_noninteraction]);">~</a>
例:_gaq.push(['_trackEvent', 'link', 'click', 'cv',1000,true]);
2.analytics.js(ユニバーサル アナリティクス)
<a href="~" onClick="ga('send','event','カテゴリー','アクション','ラベル',値,{'nonInteraction':1});">~</a>
例:ga('send','event','link','click','cv',1000,{'nonInteraction':1});
いずれもAタグをクリックしたら、「link」というカテゴリー名、「click」というアクション、「cv」というラベルで、値が1000というイベントが発生します。値は省略可能な項目で、任意の数値で構いません。
上記の例では、「cv(コンバージョン)」と命名されていますが、これは「成果達成したら1000円分の価値があるという意味付けで設定されている」ということを示しています。
計測したいAタグに実装したら、実際にテストクリックをしましょう。Googleアナリティクスを確認して「リアルタイム>イベント」で表示されていればOKです。
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nonInteraction について
ga.jsの「true」、analytics.jsの「{'nonInteraction':1}」は、いずれも「直帰率に影響しない」という定型句になります(これが無いとクリックされますとPVとEVENTで2回データ送信され、1ページしか見なくとも非直帰扱いとなります)。この定型句で「true」を反対の意味である「false」または、「1」を「0」にすると、直帰率に影響しないようにできますするようになります。
例えば、1ページ見て1クリックした時は、本来は「直帰」と計測されますが、もし「false」または「0」などと記述されていた場合には、直帰とはならなくなってしまうのです。このように、この定型句は扱い方によって直帰率に影響してしまうので十分に注意しましょう。※後述に加筆修正のお詫びを掲載しました。ご指摘ありがとうございました。
Googleタグマネージャ(GTM)での設定
なお、Googleタグマネージャ(GTM)を使ったクリック計測については、過去記事「スマートフォンの電話コンバージョン計測について」をご参照ください。
イベントトラッキングの実際の例
それでは、実際にイベントトラッキングの設定をしていきましょう。ここではユニバーサル アナリティクスの表記で解説していきます。
事例1:電話コンバージョン
最近では、スマホファーストでアクセスを考えるWebサイトは増えています。ユーザーの電話アクションが重要な場合、電話タップをゴールとして設定することはとても有益です。
そこで「電話する」に以下のようなイベントトラッキングを設定してみましょう。
- カテゴリー名 cv
- アクション tel
- ラベル (電話タップが発生したページのURL)
- 値 1000
<a href="tel:00-1234-5678" onClick="ga('send','event','cv','tel',location.href ,1000,{'nonInteraction':1});">電話する</a>
location.href について
「location.href」というのは、Googleアナリティクスでも使われている「JavaScript」というプログラム言語の1命令です。これは表示されているページのURLを自動で取得してくれる便利な定型句です。
電話タップが複数のページに設置されている時は、このような工夫をすることで、どこでタップされたのかがすぐに分かるため非常に便利です。
目標設定
目標設定は「アナリティクス設定>ビュー>目標>イベント:アクション「ラベル」コンバージョンの目標値としてイベント値の使用をチェック」という手順で行います。
すると、電話タップされることでコンバージョンがカウントされるようになります
また、目標値として値を利用するにチェックをしておくと、関与したページ以外でも影響したページに貢献度が算出されるようになるのでとても便利です。
実際のアナリティクスの画面では、「行動>サイトコンテンツ>すべてのページ『ページの価値』」で、コンバージョンに貢献した度合いが分かるようになります。
事例2:PDFダウンロード
リード獲得を目指したサイト運営であれば、資料PDFのダウンロードなどをコンバージョンすることはと、非常に役に立ちます。そして、PDFのダウンロードをコンバージョンにする際にも、イベントトラッキングを設定すれば、目標設定に適用できるので有益な手段となります。
<a href="doc2015.pdf" onClick="ga('send','event','cv','download',this.href ,5000,{'nonInteraction':1});">資料ダウンロード</a>
・カテゴリー名 cv
・アクション download
・ラベル (ダウンロードしたPDFファイル名)
・値 5000
今度はラベルを、「this.href」としてみました。こうすることで、クリックしたリンクURL自体を取得することができます。この場合は、PDFファイル名が分かるようになり汎用的に使えるようになるので便利です。
複数回CVする場合は注意
資料のダウンロードが多い時は注意をしてください。なぜならば、Googleアナリティクスには1種類のコンバージョンは1回のセッションにつき1回しかカウントしないという仕様があるためです。
例えば、資料ダウンロードが複数あり、平均的に2~3回のダウンロードが発生する場合、イベントとしては2~3回が計測されます。しかし、コンバージョンとしては1回しか計測されないのです。
これは仕様なので仕方ありませんが、「1回でもダウンロードされていればコンバージョン」とするのか「それぞれをちゃんとカウントしたいとするならば別のコンバージョンを設定して対応するのか」など、運用方針は事前に考えておきましょう。
なおタップの計測は、デバイスやブラウザに依存するところもあります。この方法で100%完全に取得できないケースもある、ということも理解しておきましょう。
まとめ
イベントトラッキングは、Googleアナリティクスでページビュー以外に、サイト改善の気づきを得られる重要なテクニックです。特に、「クリック」はユーザーの要求が具現化したものともいえます。
だからこそ、ぜひとも把握したいものです。ただし、その情報を収集する時にはデータ収集上限に十分に留意しながら、イベントの設定をしましょう。そして、イベントトラッキングをサイト改善に大いに役立てましょう。
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