ECサイトに欠かせないKPIの基礎的な考え方とアクセス解析で計測する方法
最近では、ECサイト(ネットショップ)は無料で始められるASPもあることから、開設自体は敷居が低くなっています。しかし、その分、KPIを適切に設定し、その指標を達成しながら、売上を伸ばし続けるためには、どのような目標設定をするべきかということが、これまで以上に重要になってきています。
そこで本記事では、「KPIとか難しいなあ」と思われている方向けに、ECサイトにおけるKPI(運営における指標)の基本的な考え方を解説し、実際にサイトを運営する際に有効となる「行動可能な目標」の設定方法について具体的に紹介していきます。
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目次
KPIとは
KPIとは、「Key Performance Indicator」の頭文字をとった略語で、「重要業績評価指標」と呼ばれます。
似た言葉で、「重要目標達成指標」とされるKGI(Key Goal Indicator)があります。KPIはそれを規定する数字といえるでしょう。関係性は、KGI > KPI となります。
ECサイトにおいては売上がKGIになるのであれば、KPIはそれを達成するための指標になります。一般的には、売上の基礎となる数字である「メルマガ会員数」や「集客数」などを指します。
「KGIを達成させるために必要なKPIは◯◯と△△で数字は***だ」「設定されたKPIを達成すれば、KGIが達成できる」といった使われ方です。
(KPIという言葉を使う企業でも、KGIは使わないことがあります。設定の仕方や考え方は企業によりますので、ここでは言及しません。)
KPIは実践可能な行動指針
KPIを考える上で注意しなければいけないのは、KPIは実践可能な行動指針でなければいけないということです。
運営者が売上を伸ばすアイデアや戦略を持っていても、それらが実現不可能なものであれば、その考えは「画餅(絵に描いた餅)」にしか過ぎません。
だからこそ、限られた予算や人材、打ち手の中から、日々実践できる行動を吟味し、そこから導き出される「売上増加に有効」と思われる施策を想定して、目標値となる数字を導き出す必要があります。
目標設定の良い例、悪い例
- 【良い例】先月広告を出して100万円の売上があった。そこで「広告文を見直して前月比で15%増の売上を目指そう」という目標を立て施策を打つ。
- 【良い例】メルマガを発行すると1回につき10万円売上が見込める。そこで「メルマガ経由で来月は売上20万円を目指そう」という目標を立てる。
- 【悪い例】こだわりのECショップのため、商品のアイテム数はそうそう増やせない。それにもかかわらず「半年後までに登録商品数1万」という目標を立てる。(現実的に考えて無理な目標)
目標値はただ立てればいいのではなく、実現性が重要
上記のように行動可能なKPIであれば、あとは「どう行動するか」「どう精度を上げていくか」という考えに集中できます。KPIの設定は、「どんな行動がKPIに貢献して、どれくらいならば目標として許容できるのか」という事前のシミュレーションが重要なのです。
KPIを決める上で競合他社と比べて目標値を算出するケースもあるかもしれませんが、設定があまりにも現実離れしていると、無理な運用によるオペレーションのコストアップにつながったり、過度な広告投下に繋がりかねません。
(注:新規事業などで、特別な目標の立て方をしている場合などは別です。ここでは一般的な運用を前提に述べさせていただいています。)
アクセス解析でのKPI計測に必要なパラメーターの設定
ではここからは、アクセス解析に話を寄せていきましょう。
ECサイトはKGIを売上に置く以上、KPIは「売上をベースに数値で把握できるもの」のほうが社員やスタッフの士気が上がることは間違いないでしょう。
そうであれば、目標設定で重要となるのは、「目標達成に向けた行動が、売上に結びついたか」が分かるようにすることだといえます。
売上との相関が把握可能なパラメーターの設計
ここでは例として、「メルマガからの流入を増やす」「SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)投稿リンクからの流入を増やす」「ブログ記事内のリンクからの流入を増やす」など、取り組み可能で売上に結びつきそうなものを、KPIとして測定する前提で考えてみましょう。
URLにパラメーターを付与する
各媒体経由で商品がどれくらい売れたかを知るには、下記のように誘導するURLにパラメーターを付与することが有効です。
パラメーターを利用すれば、どんなチャネル(経路)からのCV(コンバージョン)なのかが把握できるようになります。パラメーターを把握するツールとしては、Eコマース設定されたGoogleアナリティクスが一般的にはよく使われています。
Googleアナリティクスでは、URLに上記のパラメーター(追加情報)が付与されたアクセスがあると、自動的にその分類でアクセスを記録してくれますので、これまでは不透明だった経路も適切に把握できるようになります。
パラメーターを付与したURL(元URLは http://aaa.jp )は、下記のようになります。
メルマガ本文内URLのパラメーター例
http://aaa.jp?utm_source=mag20151001&utm_medium=email&utm_campaign=10000over
ソーシャル投稿文内URLのパラメーター例
http://aaa.jp?utm_source=facebook&utm_medium=social&utm_campaign=201404
ブログ記事内のURLのパラメーター例
http://aaa.jp?utm_source=staffblog&utm_medium=ownedmedia&utm_campaign=writer-a
パラメーターの意味
- utm_source=リンク元名
- utm_medium=媒体名
- utm_campaign=カテゴリーや分類(自社で管理できるものを自由に設定可能。Excelなどで管理すると照らしあわせやすい)
参考:カスタム キャンペーン - アナリティクス ヘルプ(公式)
パラメーター設定の注意点
パラメーターで注意したい点は、utm_mediumは固定値であるということです。
そのため、Googleアナリティクスで適切に分類されるようにするためには、Googleが定めた文言を使わなければいけません。そして、その文言は1文字でも間違ってはいけないのです。
Googleの公式ヘルプに分類が推奨されています。参考にして、使い分けるのがよいでしょう。
参考:デフォルト チャネルの定義 - アナリティクス ヘルプ(公式)
アクセス解析の目標設定は必須
GoogleアナリティクスであればECサイトの目標設定は容易に立てることができます。Googleアナリティクスを使う場合は、アナリティクス設定 > ビュー > eコマースの設定 で設定します。設定するとはいってもボタンを「オン」にするだけで簡単に済みます。
そして、実際に商品が売れ始め計測が稼働し始めると、Googleアナリティクスでは図のような売上と媒体の相関をレポート表示します。
そのレポートを確認すれば「先週のメルマガは訴求が足りなかったかな」「ソーシャル投稿の頻度が足りなかったかな」などといったことが分かり、次の行動につなげることができるのです。
このようにECサイトのKPI計測では、行動可能なKPIを設定し、パラメーターなどの計測設定を行うことが重要な手順になるのです。
まとめ
ECサイトの売上アップにつながる運用ノウハウや事例は、ネットなどから容易に手に入るようになってきています。しかし、そうした知識や方法を実践して売上に結びつけ、改善を重ねて成果を積み上げていくためには、適切なKPIの設定と、それを計測可能にするツールを使った目標設定が重要になります。
サイトに訪れる顧客の嗜好やニーズはなかなか読み取れません。運営者が試行錯誤を繰り返すことでしか答えは見つかりませんが、その際に大切なのは、その試行錯誤の取り組みを数字で評価できるように設定しておくことです。
設定は面倒なものだと感じられると思いますが、上手く数字で見える状態になったあとは霧が晴れたような運用が可能になりますので、まだ設定されていない方は、ぜひ取り組んでいただければと思います。
当社でも、設定や分析の支援を行っています。お気軽にお問い合わせください。
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