今さら聞けない、タグマネジメント入門基礎の基礎
※本記事は、2015年公開当時の情報を基にした記事です。
タグマネージャーは、Googleアナリティクスだけでなく、広告タグをはじめとするタグやスクリプトを管理できるとても役に立つツールです。しかし、その利点やリスクなどは実際に運用実践してみないと、なかなか理解できないものです。
本記事では、初めてタグマネージャーに触る、もしくはこれから導入してみようかと検討している担当者に向けて、Googleタグマネージャーを中心に解説をします。参考になれば幸いです。
\UA終了迫る!GA4導入がまだの人は本資料を先にチェック!/
目次
タグマネージャーとは
Webマーケティングが発展していく中で、多くの効果測定用の技術が発展しました。一方、そうした技術は、Webサイトを管理するシステム担当者やマーケティング担当者に技術の習熟や運用といった負担の増大にもつながっていました。
例えば、何か1つ新しいタグをWebサイトに実装するためだけに、システム部門に検証を依頼し上司に稟議を立て、かつ実際の運用時に適切に管理するといったことです。そのため、マーケティング担当者の悩みはつきることがなくなってしまいました。
その課題を解決すべく登場したソリューションが「タグマネジメント」という考え方です。多くのタグを一元管理して、効率的にタグを管理し、積極活用しようというものです。
これまでも、外部ファイルとしてタグを一括管理していたWebサイトは存在していました。しかし、どうしてもシステムや技術に明るい人にのみ利用されるなど 限定的なものでした。
しかし、それを管理画面や簡単な画面操作だけで実現したのがタグマネージャーなのです。
タグマネージャーの普及
タグマネージャーが注目されたのは、Adobe Analyticsのエヴァンジェリストでもある清水誠氏が、2011年にその利便性に目をつけ啓蒙を始めたことがきっかけともいわれています。
そして、 2012年10月にGoogleから、Googleタグマネージャーが公開され、タグマネジメントという考え方が広がることになります。
Google以外のタグマネージャー
タグマネジメントの考え方自体は、これまでも外部ファイルという形で、個々のケースでは利用されていました。例えば、tag.jsといったテキストファイルを1つ作り、サーバーで管理すれば以降そのファイルを各Webページから読み込むだけで、全てのページでタグが展開することになります。
<scripttype="text/javascript" src="//tag.js"></script>
そのあとは、このtag.jsという1つのファイルに、さまざまな広告タグや効果検証用のスクリプトを追加・削除を行っていけば、効率的に管理できるのです。
しかし、この方法は技術的な敷居が高く、どうしてもコーディングのスキルが問われる管理方法でした。そこで、Googleがタグマネジメントを提唱し始めた頃から、各社から多くの解決策が提案され、現在に至ります。
タグマネージャーのメリット・デメリット
では、外部ファイルの運用とタグマネージャーの運用とでは、どのような違いがあるのでしょうか。実はタグマネージャーには単に利便性が向上する以外にも、多くのメリットがあるのです。
学習コストが下がる
タグマネージャーでは、管理画面の操作だけでタグを簡単に実装できます。とくに、GoogleタグマネージャーではGoogle社製のタグであればコードを書く必要さえありません。トラッキングコードという複雑なプログラムに触れることなく、設置から運用までが可能になります。
タグの改廃が容易になる
これまでもタグを一元管理していれば、ある程度集中的にタグを改廃できました。ただ、タグマネージャーを使えば、画面操作をするだけでタグを除去したり、特定URLだけで発動させたりすることなどが可能になり、運用のスピード感が増大します。
公開前のテストができる
多くのタグマネージャーでは、プレビューモードが実装されています。JavaScriptなど高度なプログラミングがなされたコードでは、簡易なミスであれば公開前にエラーチェックを自動的にしてくれます。障害をもつスクリプトを公開しなくて済みます。
変更履歴の管理が行える
履歴を残すことができます。そして、タグの設定にミスがあると分かれば、すぐに以前のバージョンに戻すことができます。そのため被害を最小限に留めることが可能です。
サイト表示の高速化
多くのタグを実装していた場合、それらが整理され最適な発行がされると、Webページ表示が高速化し、ユーザービリティが向上する可能性があります。実際に3倍以上もの高速化に成功した事例もあるほどです。
同様の設定はナレッジにできる
設定のインポートとエクスポートが可能です。自社でよく使う設定や変数などがあった場合、効率的に導入を進めることができます。信頼できるパートナーとは管理権限をコントロールして権限付与などすることで、より高度なタグ運用がチームでも可能になります。
リスクが集中する
一方、一度タグマネジメントのシステムが障害を起こせば全てのタグが機能しなくなります。ただ、これは外部ファイルでの管理でも同様のリスクです。そこでGoogleなど多くのベンダーでは、SLA(SLA(サービス品質保証)を打ち出しています。また、タグマネージャー管理者が悪意を持って運用してしまうと、Webサイト上であらゆることができてしまうのです。
システムに依存する
タグマネージャーで実行できないスクリプトは実装できないことになります。現在では多くのタグマネージャーが動作検証済みタグ一覧を公開し、使い勝手を向上させています。
高コストになるリスク
タグマネージャーは活用すればするほど、Webマーケティングにおいて重要なツールとなります。そのため価格上昇しても安易に運用を止められない、というリスクもゼロではありません。しかし、現在では競争が進みこのリスクもほぼない状況となっています。
Googleタグマネージャーの実装方法
Googleタグマネージャーの実装はとても簡単です。まず、Googleアナリティクス(ユニバーサルアナリティクス)やAdWordsなど利用したいサービスの登録をします。そしてGoogleタグマネージャーのアカウントを開設します。
Googleタグマネージャー導入の概要
- 運用したいタグを予め取得
- アカウント開設
- コンテナスニペットを取得・サイトに設置
- タグを登録
- 動作確認
- 公開・運用
GoogleアナリティクスやAdWordsなどでは、トラッキングコードや複雑なタグを控えておくことさえも不要です。必要最低限のIDなどを記録しておけば問題ありません。
コンテナスニペットの発行
Googleタグマネージャーでは、一元管理されるタグを「コンテナスニペット」と呼びます。いわゆるGoogleタグマネージャーのタグです。
Googleタグマネージャーで登録を進めますと、最終画面で上記コンテナスニペットが発行されるので、これを全てのWebページに貼り付けます。Webページを改修するのは、eコマーストラッキングなど複雑な場合を除いてこれだけになります。ただし、以下の注意点があります。
BODYタグ直下に貼り付ける
Googleタグマネージャーでは、BODYタグ直下に貼り付けることが推奨されています。Webページ上部ということで、たまにDIVタグ内に入れている大手サイトもみられますが、推奨はBODY直下です。
別途データを渡したいときは改修が必要
タグ管理の一元化を促進できるGoogleタグマネージャーですが、ECサイトのカート処理やログイン情報など動的なデータについては、コンテナスニペットの外にデータ受け渡し用のプログラムを追加する必要があります。
タグ動作の細かなタイミング処理は難易度が上がる
例えば、AというタグをGoogleタグマネージャーで実行させ、その後生じた数値データを、Bというタグで利用し処理させるという作業はじつは面倒です。
Aというタグを発動させ、Bというタグを発動させる、という順番までは簡単に制御可能なのですが、処理を待ってから次の処理をする、というシーケンシャル(連続的な処理)は実は高度な設定が必要とされます。
これは非同期といってタグ処理を非連続に並列で稼働させることで高速化させることとの等価交換です。厳密なタイミング管理については、専門家やエンジニアに相談するようにしましょう。
タグの登録
Googleアナリティクス(ユニバーサルアナリティクス)であれば、プログラムをコピー&ペーストする必要さえありません。Googleアナリティクス側で取得したUA-XXXXXXXX-1 といったプロパティIDを設定するだけでよいのです。
設定後は保存をクリックし、一旦登録を済ませます。また、似たような設定が複数必要な場合は、タグのコピーすることで運用を高速化できます。
ユニバーサルアナリティクス(UA)は2023年7月1日をもって利用できなります。
後継のGA4の情報については「サクッと分かる!Googleアナリティクス4」資料をご確認ください!
タグのプレビューと公開
タグ設定後は、一旦プレビューモードにし動作を確認します。Googleタグマネージャ画面右上の公開ボタンからメニューを展開すると、プレビューモードが選択できます。
プレビューモードで実際のWebサイトにアクセスすると、タグの稼働状況が確認できます。「Tags Fired」と表示されていれば大丈夫です。
無事タグの稼働状況を確認したら、Googleタグマネージャー管理画面でプレビューモード終了をクリックし、「公開」をするとタグ設置は完了です。
Googleタグマネージャー運用のコツ
Googleタグマネージャーではプレビューモードを活用することで、事前の動作検証が容易になります。特にコンバージョンタグの発動などは、本モードで検証を行うとよいでしょう。ゴールとするWebページで実際に発動しているかを確認できます。
また、イベントなど一瞬だけ発動させたいタグは、一旦別ウィンドウに展開するように設定しておくとよいでしょう。一瞬で終わってしまう処理も一旦別画面で稼働をさせれば残った画面のプレビュー欄でタグ発動が確認できます。
キャンペーンタグなど一定期間後不要になったタグは、配信するタイミングを除去すれば発動しなくなります。
このように、タグマネージャーは一旦導入してしまえば、システム改修やWebデザイナーの手を煩わせることなく高度なタグの運用が可能となります。
広がるタグマネージャー利用
タグマネジメントの手法は今後も広がっていくとみられています。効率化の事例なども徐々に増えてきています。
Google Tag Manager導入事例 | NRIネットコム
企業でもYahoo!では認定試験制度を開設するなど、裾野を広げる活動が活発化しています。
Googleでも、Googleタグマネージャーの認定パートナー制度が立ち上がり、国内でもすでに数社の企業が取得し話題となりました。
タグマネージャーを未実装の方も、この機会に導入を検討してみてはいかがでしょうか。そうすればUX向上のためのテストやツールの導入も容易になり高速なサイト運営も可能になるでしょう。
タグマネージャーの導入にご興味ある方はお問い合わせください。調査やアカウント設計・指示書作成など、タグマネジメントの導入を支援させていただきます。
事業成長に貢献するコンサルティングを提供いたします! SEOコンサルティングをはじめとする、各サービスの詳細、スケジュール、費用の目安を資料でご紹介しています!また「自社のWebマーケティングで悩みがある」「見積もりが欲しい」といった方は、お気軽に無料相談へお申し込みください!
関連記事