代表的なユーザビリティ定義「ヤコブ・ニールセン博士」と「ISO9241-11」の定義をまとめました

代表的なユーザビリティ定義「ヤコブ・ニールセン博士」と「ISO9241-11」の定義をまとめました

Webサイトを構築・運営する上で「ユーザビリティを考えましょう」という話を聞くことは多いと思います。しかし、「ユーザビリティとは何か」をうまく説明できる人は少ないのではないのでしょうか?本記事では、代表的な2つのユーザビリティ定義を取り上げて説明します。

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ユーザビリティとは

ユーザビリティ(usability)とは、一般には製品やソフトウェア、Webサイトなどの「使いやすさ」や「使い勝手」を表す言葉です。ただし、実際にはそれだけでは説明しきれない広い意味合いを持っており、複数の定義が存在します。(後述)

Webサイトのユーザビリティの良し悪しは、コンバージョン率やリピート率、離脱率、滞在時間、サイトに対する心的印象などに影響し、サイトのビジネス上のパフォーマンスを左右する要因となります。

代表的なユーザービリティ定義

代表的なユーザビリティの定義としては、国際規格のISO9241-11での定義や、ヤコブ・ニールセンによる定義が挙げられます。

ISO9241-11による定義

ISO(国際標準化機構)により、1998年に定められた国際規格です。

「ユーザビリティ」をユーザーがある製品を利用する際の「有効さ」「効率」「満足度」の度合いとして定義しています。

ユーザビリティ (usability): 特定の利用状況において、特定のユーザによって、ある製品が、指定された目標を達成するために用いられる際の、有効さ、効率、ユーザの満足度の度合い。

  • 有効さ (effectiveness): ユーザが指定された目標を達成する上での正確さ及び完全性。
  • 効率 (efficiency): ユーザが目標を達成する際に、正確さと完全性に費やした資源。
  • 満足度 (satisfaction): 製品を使用する際の、不快感のなさ、および肯定的な態度。
  • 利用状況 (context of use): ユーザ、仕事、装置(ハードウェア、ソフトウェア及び資材)、並びに製品が使用される物理的及び社会的環境。

http://www.usability.gr.jp/whatis/definitions/ より引用

例えば、あるユーザーがとあるECサイトで特定の書籍を探して購入するとします。

もし、ユーザーが書籍を探し出すことが出来なかったり、間違った本を買ってしまったりする可能性が高いならば、そのサイトは「有効性」に欠けている可能性があります。

また、目的の書籍を購入することが出来たとしても、その本を探すまでの検索行動や、購入時のフォーム入力等に不必要な時間をかけてしまっているとすれば、「効率」が欠けている可能性があります。

そしてサイトを利用している間に、その使いにくさや読み込み時間の長さ、説明文の不十分さ等に対しイライラしてしまったりしているならば、「満足度」を下げていると言えます。

このように、「有効さ」「効率」「満足度」の観点からユーザビリティを評価するようにしていることがこの定義の特徴です。

ヤコブ・ニールセン博士による定義

ユーザビリティ研究の第一人者であるヤコブ・ニールセン博士による定義です。下記の5つの要素が、ユーザビリティを構成するとしています。

  1. 学習しやすさ(Learnability):
    システムは、ユーザがそれをすぐ使い始められるよう、簡単に学習できるようにしなければならない
  2. 効率性(Efficiency):
    一度学習すれば、あとは高い生産性を上げられるよう、効率的に使用できるものでなければならない
  3. 記憶しやすさ(Memorability)
    ユーザがしばらくつかわなくても、また使うときにすぐ使えるよう覚えやすくしなければならない
  4. エラー(Errors)
    エラーの発生率を低くし、エラーが起こっても回復できるようにし、かつ致命的なエラーは起こってはならない
  5. 主観的満足度(Satisfaction)
    ユーザが個人的に満足できるよう、また好きになるよう、楽しく利用できなければならない

http://www.usability.gr.jp/whatis/definitions/ より引用

先ほどのECサイトで書籍を買う例で考えてみましょう。

サイトを見て、すぐに書籍の検索の方法がわからない、また目的の本を見つけてもその購入法がわからなければ、「学習しやすさ」に欠けている可能性があります。
(多くのサイトではそのようなことが起こらないように、検索ウィンドウを目立つ所に配置したり、「買い物カゴに入れる」「カートに入れる」等の購入を連想させる言葉を用いた導線を用意していると言えます。)

使い方を理解し、一度購入を完了したとしても、その後再び使う際に同じ手続き(フォーム入力等)を何度も繰り返す必要があるならば、「効率性」に欠けていると言えます。

また、しばらく時間をおいてから使用する際に、すぐに使い方を思い出せない場合は「記憶しやすさ」に欠けている可能性があります。

スムーズに購入手続きを終えられたとしても、そこで生じたエラーにより、最初の面倒なフォーム入力から行わなければならなくなったりすれば、誰でもそこで購入を辞めたくなるでしょう。

2つの定義の共通点

上記2つの定義とも、「ユーザーに無駄な負担をかけさせない」「ユーザーが満足する」ことをユーザビリティの重要な要素として捉えていると言えます。

Webサイトのユーザビリティが与える影響

Webサイトのユーザビリティは、コンバージョン率やリピート率、離脱率、滞在時間、満足度などに大きく影響を与えます。広告やPR、SEO等の集客を上手く行っていても、流入したユーザーがユーザビリティの悪さによりコンバージョンしないまま離脱しているならば、非常に勿体ない状況と言えるでしょう。

ユーザー視点に基づき、ユーザビリティの高いWebサイトを構築していくことが、よりサイトのパフォーマンスを高めるために重要となります。

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