内製・外注どっちがいい?インハウスSEO担当者が語る業務の実態

「インハウスでSEO施策を進めたいけど、どんな業務があるのか、どれだけ大変なのかわからない…」と、お悩みのWebマーケティング担当者の方は少なくないでしょう。
そこで今回は、ナイルのさまざまなメディアでインハウスSEOに取り組む3名に集まってもらい、内製・外注それぞれの業務範囲やメリット、依頼先との上手な付き合い方について、リアルな経験をもとに語ってもらいました。
これからインハウスSEOに取り組もうとしている方や、運用のヒントを探している方に役立つ内容になっていますので、ぜひご覧ください!
自社でSEOに取り組みたいとお考えの方へ
ナイルでは、SEO体制を貴社内に構築するSEO内製化・インハウスSEO支援が可能です。貴社の状況を把握し、段階的な支援を行うので、無理なくインハウスSEOを実現できます。サービス資料では内製化の流れや事例・実績、料金プラン例を紹介しています。SEO体制の悩みをプロに相談したい、見積もりが欲しいといった方は、お気軽に無料相談をお申し込みください!
<話を聞いたのは、この3名!>
宮澤 徹(DX&マーケティング事業部 事業CSO)
過去に事業会社(人材系、旅行系)のメディアでインハウスSEOを担当。現在は支援側として活躍中
伊藤 隆史(メディア&ソリューション事業部)
アプリ情報サイト「アプリブ」のインハウスWebマーケター
金子 光(DX&マーケティング事業部)
ご覧の「ナイルのSEO相談室」編集長
目次
インハウスSEO担当者の1日の業務内訳は?
インハウスSEO担当者と一言でいっても、企業によって、Webサイトによって、その業務内容や時間を割いている業務は異なります。
まず、インハウスSEO担当者それぞれの、1日の業務の内訳を紹介しましょう。
宮澤の場合:他部署との連携からマネージャー業務など、幅広く対応
<宮澤の1日の業務内訳(事業会社勤務時代)>
私が前職や前々職でインハウス担当をしていたときは、人材系や旅行系のWebサイトのSEOだけでなく、Webマーケティング全般に関わっていました。
毎朝、KPI状況を確認し、経営層や事業部へ報告。その後は、各プロジェクトの進捗確認や調整を進めていましたね。
エンジニアや各プロダクトチームと連携して施策を進めるのも重要な役割。
SEO視点で他部署の改善施策をチェックして、悪影響が出ないよう調整することも多かったです。
また、マネジメント業務も兼任していたので、かなり幅広く動いていましたが、外部のコンサルティング会社とも連携していたこともあり、ちょうど良いバランスで回せていたと思います。
伊藤の場合:分析業務が中心。常に複数の施策を抱えている
<「アプリブ」伊藤の1日の業務内訳>
僕は分析中心の業務が多くて、1日のうち約4分の3は検証結果の分析に時間を使っています。
その結果を元に次の改善案を考えたり、ライターさんに依頼してリライトしたり…というのが日常です。
常に8件ほどの施策が進行中で、さらに次に控えている施策が4件くらいあるので、毎週ひたすらサイクルを回している感覚ですね。
分析して、施策を洗い出して、効果検証をして、また次へ…の繰り返し。こうした積み重ねでサイト全体を育てているイメージです。
金子の場合:コンテンツ制作業務が中心。分析をした上でPDCAを回す
<「ナイルのSEO相談室」金子の1日の業務内訳>
僕は月に30本ほど記事のリライトや新規公開をしているので、コンテンツ関連の業務が半分くらいを占めています。
キーワードリサーチから構成案の作成、ライターさんへの依頼、初稿チェック、公開作業まで、記事が完成するまでの全工程に関わっているんです。
もちろん、SEO分析や実績のチェックは欠かさず行い、公開済みの記事は優先度や効果を見ながらリライトして、成果が出た施策を横展開する形で新規記事を作成しています。
記事数が1,000本を超えているので、効果のある施策を効率良く回すことが大事ですね。
「SEO相談室」の運営以外に、メールマガジンや広告などほかのマーケティング施策にも携わっています。
内製で行っている業務の範囲、内製するメリット・デメリット
続いて、各メディアでどの業務を内製で行っているのかを聞いてみました。
宮澤の場合:時間をかけて取り組む施策は、自社で細かい調整ができる内製がベスト
私が前職、前々職でインハウスSEOを担当していた頃は、KPI設計やキーワード調査を内製で進めていました。
特にキーワード調査は一度やって終わりではなく、数千万のデータを調べて精査し、最終的に10万キーワードに絞って日々追うなど、かなりの時間と労力が必要だったので、そこは内製でまかなっていた形です。
さらに、社内の他部署と連携して、施策の調整や進行を行うのも大事な役割でした。
内製のメリットは、責任感を持って施策を設計できること。ただ、その分、調整することも多く、関係各所との折衝が大変でしたね。
また、Webサイトのリニューアルプロジェクトも担当していたので、年単位で内部構造の見直しやリンク設計を行うなど、かなり大規模な対応もやっていました。
正直、SEOコンサルティングを依頼していなくてもできたかもしれませんが、実際に自分たちがやろうと思ったものが正しいかどうか迷ったときなど、第三者視点での確認はやっぱり必要でしたし、成果の出やすさの面でも違うんですよね。
なので、外部の意見も取り入れながら進めていました。
伊藤の場合:記事制作やリライトを内製することで、施策を回すスピードが保てる
「アプリブ」では、施策の実行部分、特に記事制作やリライトをすべて内製で回しています。
内製のメリットは、スピーディに施策が進められて、細かい調整にもすぐ対応できること。
外注だと認識のズレや手戻りが発生しやすく、スピード感が落ちてしまうんですよね。
分析や改善案の検討も内製でやっていますが、SEOの市況感やアルゴリズム変動などの情報は、外部の専門家の知見も参考にしています。
ただ、内勢のデメリットとしては、泥臭い分析作業が多く、データ整理や集計に時間がかかる点ですね。
そこをどう効率化するかが今の課題です。
スピード感を持って仮説検証を繰り返すには、やはり内製が合っていると思います。
金子の場合:社内の専門家と連携することでコンテンツの質が向上
「ナイルのSEO相談室」では、現在すべての記事制作を内製で行っています。
以前は外注していたこともあったのですが、誤字脱字や事実確認に手間がかかり、修正指示のやりとりが発生して、かなり非効率だったんです。
制作本数が多い分、工数やクオリティ管理の負担は大きかったですね。
そこで最近、部署内で体制を整えて、完全に内製化したんです。
SEOに詳しい社内の編集者やコンサルタントと連携して、一次情報を盛り込んだ質の高い記事が作れるようになりました。
結果として、最近はリリースした記事がほぼすべて順位を上げていて、かなり手応えを感じています。
ユーザーのためになる記事をスピーディに作って成果を出せるのは、内製ならではの強みだと思っています。
外注している業務の範囲、外注のメリットは?
業務は内製しているものばかりではなく、足りない部分を外部の専門家に依頼している場合もあります。
ナイルの場合は、社内の他部署の知見を借りるケースが少なくないようです。
宮澤の場合:SEOコンサルティング会社に依頼したことで、施策の成功確率が向上
私は前職、前々職でSEOコンサルティング会社に依頼していました。
正直、自分たちだけでもSEOを進められる部分は多かったのですが、やっぱり他社の事例や最新トレンドを幅広くキャッチアップするのって、なかなか時間的に難しいんですよね。
なので、コンサルティング会社から得られる情報は、自分たちの業界以外の成功事例や失敗例も含めてとても参考になります。
特に、競合サイトや異なる業界がどう動いているか、といったマーケット全体の視点は社内だけでは補えない部分でした。
提案内容は自分たちが考えていたものと重なることが多いからこそ、議論することが多くてコンサルタントの方は大変だったと思いますが(笑)、いっしょに正解を探っていけたのが良かったと思います。
伊藤の場合:リソースが足りない部分、知見が足りない部分は外注に頼る
アプリブの場合は、開発まわりを業務委託の方にお願いしています。
うちのCMSは独自仕様なので、外部の方にお願いするとキャッチアップに時間がかかるデメリットはあるんですが、それでも日々の細かい改修が多いので、タスクがたまらないよう外部の力を借りています。
どうしても作業が多いので、リソースが足りない部分を補えるのはありがたいです。
あとは、記事のアイキャッチ画像を社内の別事業部のデザイナーさんにお願いして、品質の底上げを目指している最中です。
さらに、アルゴリズムの動向などの情報収集は、別事業部のSEOコンサルタントにサポートしてもらっています。
専門家から精度の高い情報をもらえると、施策の打率や成果も高められるので助かりますね。
金子の場合:他部署の専門家の知見を借りることで、より精度の高い施策を実行
「ナイルのSEO相談室」の場合は、いわゆる外注とは言えないかもしれないのですが、社内の他部署に所属するさまざまな専門家の手を借りています。
今は記事制作を内製で回していますが、分析や施策方針の確認など、第三者の視点が必要な部分は、社内のアナリストやコンサルタント、広告運用のプロに相談しているんです。
特にありがたいのは、コンバージョン改善や構成案の精査といった部分で、適切なアドバイスをもらえること。
自分一人の判断だとどうしても偏ってしまうので、複数の視点を取り入れて、より精度の高い施策を進められるのが大きなメリットですね。
しかも、社内のメンバーなのですぐに相談できて、論理的な回答が返ってくる環境が整っているのは本当に心強いです。
成果につながる依頼先とのうまい付き合い方
Webサイト運営の業務を外部に依頼するにあたって、より自社の負担を軽くしたり、より良い成果につなげたりするためには、どのように依頼先とコミュニケーションを取るといいのかについて、3人に聞いてみました。
宮澤:私は事業会社側のSEO担当を経験した後に、今は支援側としてコンサルタントをしているので、両方の立場を知る者として大事だと感じるのは、どれだけ本音で会話ができるかですね。
事業側としては成果を求めるのは当然ですが、実はそれだけじゃなくて、上司への提案の壁打ち役になってほしいとか、SEOの組織体制をいっしょに考えてほしいというニーズもあったりするんです。
だからこそ、事前に「何を期待しているのか」「どんな関係性で進めたいのか」を外注先に共有して、お互いが言いたいことを言える環境を作れるとベストですね。
パートナーが気兼ねなく提案してくれて、事業側も遠慮せず頼れる。そんな信頼関係が築けるのが理想です。
金子:依頼先の方には、ただタスクを渡すだけじゃなくて、その背景や目的もセットで伝えることを意識していますね。
例えば、記事をお願いするライターさんにも「この記事で狙いたいセッション数」や「資料ダウンロード数」など、具体的な数字や目標を共有しています。
ただ原稿を書いてもらうだけじゃなく、その先にどんな成果を目指しているのかを理解してもらうことで、ライターさんから「こんな構成にしたほうがいいのでは?」という提案をもらえることもあるなど、より良いアウトプットが生まれるんです。
なので、こちらからの情報提供も惜しまないようにしていますね。
伊藤:僕が大切にしているのは、まず自分たちのメディアが抱えている課題をちゃんと整理して、どこを解決したいのかをクリアにすること。
これができていないと、依頼先が適切かどうか判断できないですし、結果として期待外れのサポートになってしまうことがあります。
そして、依頼先の方とも、なるべく社内のメンバーに近い感覚でコミュニケーションが取れるといいですよね。
そこは施策を回すスピードや質の両方を高められるポイントになるので。
渡せる情報はなるべく渡すようにして、同じチームとして成果を目指せる関係性を作るのが大切だなと思っています。
すべてを内製化するのではなく、必要に応じて外注も利用しよう
メディアを運営するために、やらなければならないタスクは数多くあります。
そのため、すべてを内製で完結させようと無理をするのではなく、リソースが不足している部分や、自社だけでは得づらい知見が必要な領域は、外部の専門家をうまく活用することが成果への近道になります。
内製にも外注にも、それぞれメリット・デメリットがあるからこそ、自社の課題や目標を整理した上で、最適な進め方を考えることが重要。
両者の強みを組み合わせ、効率良く施策を進められる体制を整えていきましょう。
なお、ナイルでは、2,000社以上のSEOをはじめとしたWebマーケティングの支援を行っています。
内製化に向けたサポートも可能ですので、メディアの運営にあたって悩みがある方は、ナイルの無料相談をご利用ください。
自社でSEOに取り組みたいとお考えの方へ
ナイルでは、SEO体制を貴社内に構築するSEO内製化・インハウスSEO支援が可能です。貴社の状況を把握し、段階的な支援を行うので、無理なくインハウスSEOを実現できます。サービス資料では内製化の流れや事例・実績、料金プラン例を紹介しています。SEO体制の悩みをプロに相談したい、見積もりが欲しいといった方は、お気軽に無料相談をお申し込みください!