【雑記】 SEOはいつになったら終焉をむかえるのか

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【雑記】 SEOはいつになったら終焉をむかえるのか
土居 健太郎(どい けんたろう)

著者情報

取締役 人事本部 本部長|土居 健太郎
2009年入社。SEO事業責任者、メディア責任者を経て2019年より人事本部を立ち上げ今に至る。著書に「10年つかえるSEOの基本」がある。

「SEO崩壊」みたいな、令和にもなってまだやってたのか的なタイトルの記事が流れていて腹筋崩壊していたところ、なんか書きなよと言われたので7年?8年?ぶりにSEOの記事を書いています。

ちなみにその記事は検索やSEOどころかGoogleの話題もほとんど出てこない、新しい生成AIサービスをいろいろ紹介する記事だったようなので、「せめてSEOの話をしろよ」以外に言いたいことは特にありません。

SEOは1~2年に1度くらいのペースで終了する

この業界に関わりはじめたのが大体15年前とかになりますが、その時代から変わらず、おおよそ1~2年に1度くらいの頻度でSEOが終了するお知らせが出ます。

今のところ、特に終了する気配が見られないまま、SEOというジャンルの仕事やビジネスニーズは残っています。

もちろん、15年前とSEO実務やSEOビジネスの中身については跡形もないくらいには変わっていますが、検索トラフィックとSEOのビジネスにおける重要性・注目度そのものは、むしろ年々増しているように感じます。

SEOが終わってほしい人は昔から多い

SEOは、ある程度そのアルゴリズムに則っていろいろうまいことやると自社に有利な検索結果にできる、みたいな側面があります(それがSEO)ので、やろうとしてもうまくやれなかったり、何も気にせずに好きなコンテンツづくりだけをやっていたい人たちからすると、SEOをうまくやってるサイトは邪魔だし、SEOという手法そのものに嫌悪感がある人はいます。

またそれ以前に、スパムとか詐欺まがいなサイトも詐欺サイトもSEOの評価ハックをしっかり利用してしまっているので、そういう意味でも嫌われて然りな部分は否めません。

なので、「SEOが終わる」みたいなネタを出せば食いつく人も多いし、新しい何かが出てきたのでSEOは価値がなくなるみたいなことをテンプレ的に流していれば、別角度からそういう新しいものが好きな人が食いつくことも合わせて記事として最低限のPVは取れるので、ある意味メディアとしても気楽に作れるコンテンツだろうと思います。

過去に何度かSEOが終了したきっかけ

せっかくなので、「SEO終了のお知らせ」「SEO●亡」みたいな話が過去に出てきたきっかけと、その後どうなったかについてを簡単に思い出してみます。

例1:パーソナライズド検索により、従来のランキングシステムが意味をなさなくなるのでSEOが不要になる

はるか昔、Googleがパーソナライズ文脈をがんばってた時代の、「時代はパーソナライズの時代で、従来型のアルゴリズムで決められた一般的なランキングを良くするためのSEOはもう終わる」みたいな話です。

現実には、ユーザーが検索結果を勝手にパーソナライズされることをそもそも期待してなくて、全然指標が良くならないとか、実際にパーソナライズド検索結果がそこそこ以上に使い物にならなかったとか、いろいろな事情があったのだと思いますが、少なくともそこから間もなくしてSEOではほとんど話題にならなくなりました。

参考:We sat in on an internal Google meeting where they talked about changing the search algorithm — here’s what we learned

今生きているのは、「実機確認はちゃんとシークレットブラウザでやろうな」くらいの話です。

例2:SNSの普及によりSNSで情報を探して、Googleで検索する人が減るからSEOが不要になる

2011年頃に腐るほど見た話ですが、特にその後Googleの検索数が減ることはありませんでした。

また別の文脈ですが、さまざまなソーシャルシグナルが検索結果のランキングに直接反映されることも(活用しようといろいろ試みたりはしてたでしょうけど)ありませんでした。

若い人はほとんど知らないだろう話題ですが、2011年に当時のGoogleの肝入りプロジェクトである独自ソーシャルメディア「Google+」も、リリースしてわりとすぐに話題にならなくなり、最終的にはサービスも終了しています。

SNSによってGoogle検索する人がいなくなる、ソーシャルグラフを活用すれば従来のSEOアルゴリズムに頼るよりも信頼の置ける情報に常にアクセスできる…このような言説が実現することは、今に至るまで起きていません。

ただし、その当時言われていたこととは関係なく、スマホの普及によってユーザーがSNSや動画プラットフォームに流れた結果、Google検索向けのコンテンツ制作よりもそうした別プラットフォームに最適化されて作られたコンテンツの流通量が相対的に増えているのは事実です。

少なくとも、検索結果の仕様としてAIの回答が出てくるとか、検索結果がURLリストじゃなくなる(実際はそうはならない)とか、チャットUIでAIの回答が得られるとか、そういう細かい機能的な話よりは、検索対象にしたいコンテンツそのものがGoogle検索の領域外で作られるようになっていることのほうが、影響が大きいトレンドなのではないかなと思っています。

例3:アルゴリズム変更によって低品質コンテンツ中心のサイトが殲滅され、良質なコンテンツが自然に評価されるのでSEOが不要になる

12年ほど前、日本にパンダアルゴリズムが導入されたあたりで出ていた話ですが、残念ながらまったくそういう結果にはなっていません。

代表的な例としては、2016年のキュレーションメディア問題によって微妙な(ここでは、信頼度の低い、正確でない、無責任な)コンテンツがSEO評価ハックによって検索結果に評価されまくった結果が社会問題になり、ニュースにも多く取り上げられることになりました。

今でも「コンテンツの中身さえ良ければそのコンテンツが上位表示される」からは程遠い状態で、今後もそうはならないのです。

例4:リンクスパム系のSEOがアルゴリズム+スパム対策によって殲滅され、コンテンツ評価を中心にまともなサイトが自然に評価されるのでSEOが不要になる

これも10年以上前ですが、収益性の高い検索キーワードでのSEOがもっぱらリンクスパム中心の殴り合いで成り立っているような時代に、そうしたリンクスパム撲滅に向けたアルゴリズムの調整や、手動対応オペレーションが強化され、不正にリンクを駆使してサイトの評価を水増しする手法が事実上オワコン化し、その抱き合わせ的なノリで、SEOそのものも「オワコン」といわれていた時期がありました。

もちろん、昔流行ってたような不正なリンク評価操作は実質的な効力を持ちにくく、実務上のコスパがまったく合わないので、今はやってる人はほとんどいないと思います。

とはいえ、SEOにおけるリンクの比重、それは平たくいえば「サイトに対する第三者評価」の比重ということですが、むしろ2024年現在でも相当な比重が置かれている評価指標で、検索流入やSEOを考える上で決して欠かせない要素であることは、当時からまったく変わっていません。

余談ですが、今から10年ほど前のネタで、リンクを評価材料としない検索結果を試そうとしたことがあります。

やってみたら、単にスパムに汚染されまくっていて使い物にならなさすぎる検索結果が出来上がったので、サイトの評価にリンクを使わないのはどのみち無理だよね、のような話もありました。

参考:バックリンク評価なしの検索結果をGoogleは作っているか?

…など。

少なくとも、これまで新しいサービスやプラットフォームが普及しても検索を代替するようなものは過去ずっと出てきておらず、またGoogleの情報処理技術やランキングシステムがいくら改良されても「良いコンテンツを作ってちゃんとサイトを運営していさえすれば評価される」などという、SEOが終了するたびに期待されていたような結果には2024年になってもまだまだ程遠く、ほかと比べて有利な評価をより効率的に得るために何ができるか、というSEOの苦悩は今後しばらく続くことになるとは思います。

※しばらく現場から離れていたので、ネタが古いとかはご容赦ください。

生成AI技術の発達によってGoogle検索とSEOはどうなるのか

では、昨今の「生成AIとSEO」という文脈ではどうでしょうか。

例えば、GoogleのAI Overview(AIによる概要)みたいなのもSEOの世界では話題になりますが、正直なところ、これはSEOの文脈ではそこまで気にしなくていいと思います。
というか、全体的に生成AIが検索と直接バッティングする範囲自体が限定的なものでしょう

もちろん、検索と関係なくAI領域は当面の各社の注力領域になると思いますので、そういう意味での興味や期待は持っていて然りと思いますが、その技術をGoogle検索に混ぜようとしても、実際にユーザーの利用指標が良くなるポイントはある程度限られるため、そこまで積極的に全部混ぜようとは思ってないだろう、みたいな捉え方をしています。

例えば、AIによる概要機能が改良されたとして、それは「インフォメーショナルクエリを中心に検索結果に回答が表示される機能として、すでに存在している強調スニペット表示などとユーザー便益がどこまで大きく変わりますか?」とか、「世の中の検索ユーザーは、どこまでこの機能が拡張された検索結果を望んでいるんですかね?」みたいな話が焦点になって、最終的には「便利な機能として検索システムに標準搭載されましたね、あると便利ですね」くらいの感じで、次第に話題にならなくなっていくイメージはあります。

その中で、例えば検索に対して信頼できるドンピシャなアンサー(コンテンツ)が出てきにくい検索で、生成AIがいい感じに気の利いた回答出してくれる…とかならば、それはとても便利なことで、良い補完関係だと思います。

しかし、そうでもないところにまでガンガンAIによる概要やレコメンドを表示してくるような意向はないんじゃないかなと考えます。

ましてや、コンテンツ掲載元へのリンク誘導をなくして、検索結果を丸ごと生成AIのコンテンツにして回答します、などといったことは、検索サービスのビジネスのエコシステム的な意味とか、その他いろいろも含めて当面あり得ない方針だろうと思います(少なくともGoogle検索では)。

現実には、競合検索エンジンのBingに対して、AI領域でGoogleが大きく遅れを取るわけにはいかないとか、そういう大人の事情も多分に含まれてる領域だと思いますし、(AIではなく検索プロダクト側が)本心でどこまでこの路線をがんばろうとしてるのかは正直疑問です。

生成AIは検索を代替するのか?

最後に、検索サービス外で生成AIによる質問回答サービスが次々と生まれているが、それは検索を代替するか?についてですが、例えば「豚こま肉と玉ねぎとジャワカレーの中辛が家にあるから、それで作れるうまいカレーのレシピを出せ」みたいな、従来のGoogle検索だと少しキツそうな質問でも、狙った通りしっかりリュウジのバズレシピから至高のカレーのレシピをメインで参照した上で、絶妙に大事なポイントを外したレシピを提示してくる(水400mlに対してジャワカレー1箱など)、みたいなことは今でもできています。

なので、そういう使い分けで生成AIによるコンテンツが検索行動の中で補完的に活用される幅は今後少しずつ広がっていって一定の利用者が定着すると思いますし、その中で一定のトラフィックやビジネスが発生することも出てくると思います。

このように、例えば「今日のコーディネートを考えるなら、GoogleじゃなくてTikTokやインスタ見るよね」みたいな感じの棲み分けは、生成AIツールに対しても一部で発生すると思いますが、全体の検索総量とかSEOがどうのこうのという話に及ぶような影響に至ることはなかなか考えにくいなと思います。

どのみち、生成AIツールを検索ツールの代替サービスとして捉えるのはいろいろな意味で少し無理があるので、基本的には新しい技術、新しいソリューションとしてウォッチしておくべき対象だと思います。

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編集者情報

加藤 直子(かとう なおこ)
加藤 直子

編集プロダクションで一般情報誌の記事制作、各種ムック本の制作などを担当したのち、音楽情報マガジン、ウェブメディアの編集部に所属。 ナイルに勤務後は、主に女性向けメディアのコンテンツ制作を担当。 ユーザーが「そうなんだ!おもしろい!」と感じられる企画を通して、事業としても成果の出る記事づくりを心がけている。

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