サービスの継続率を高める8つの方法!目安や下がる要因、重要性も紹介
事業を安定させるには、顧客の継続率(リピート率)を高める必要があります。継続率が低いと顧客が定着せず、新規顧客の獲得にコストをかけ続けねばならないため、収益性やビジネスの成長スピードを落としてしまう恐れがあります。
そこで本記事では、継続率が上がらずお困りの方へ向けて、継続率の目安や向上につながる具体的な方法を紹介します。
なお、ナイルでは新規顧客の獲得から定着まで、マーケティングに関する幅広い支援を行っています。まずはお気軽に無料相談をお試しください。無料相談・問い合わせフォーム
目次
継続率とは
まずはじめに、継続率とはどういった意味で、なぜ重要なのかを解説します。以下、順番に見ていきましょう。
継続率の意味
継続率とは、特定の商品やサービスを購入した顧客のうち、その後も同じものを繰り返し利用(=リピート購入)する顧客の割合のことです。SaaSなどの継続利用型ビジネスでは「リテンションレート(既存顧客維持率)」
一般の小売では「リピート率」と呼ばれることもあります。
例えば、新規顧客100人のうち、40人の顧客が継続して購入すると継続率は40%と計算されます。(詳しい計算方法は後述します)
なお、よく似た指標に「解約率」があります。下記の記事で解約率の種類や低く抑えるコツを紹介しているので、あわせてご確認ください。
継続率の重要性
【継続率を重視すべき主な理由】
- 顧客満足度の改善に役立ち、収益の安定や事業の成長につながる
- 広告コストを削減できる
継続率はいわば「顧客が商品やサービスに満足しているか」を確認する指標です。例えば、継続率が低く、
初回~短期利用で終わる顧客が多い場合は、商品やサービスの品質に改善の余地があると考えられます。
継続率を見ながら、サービスの機能やカスタマーサポートなどを強化することで、顧客の定着が期待できます。結果、収益の安定や事業の成長につながりやすくなるわけです。
また、継続率は広告コストにも大きく影響します。
継続率が低い場合、売上を維持するためには、離脱した顧客の分だけ新規の顧客を集めねばなりません。新規顧客の獲得コストは、既存顧客を維持するコストの約5倍とされるため(参考:フレデリック・F・ライクヘルド「1:5の法則」)、広告費が急増するリスクがあります。
一方で、継続率を高め、顧客の維持ができれば、離脱者が減る分、広告コストの節約が可能です。節約した費用を商品やサービスの品質向上に投資すれば、さらに継続率が上がる可能性もあるなど良いサイクルに入っていくことが期待できます。
このような理由から、継続率の向上はマーケティングにおいて重要です。
継続率の計算方法
【継続率の計算方法】
- 継続率 = (再購入した顧客数 ÷ 新規顧客数) × 100
継続率を計算する際は、一定期間ごとに計算するのが一般的です。例えば、あるサービスの新規顧客数が3,000人で、1ヵ月後には900人の顧客が継続して利用していたとします。この場合の継続率は、以下のとおりです。
【新規顧客3,000人で1ヶ月後の継続顧客900人の場合】
- (900 ÷ 3000) × 100 = 30%
良好な継続率の目安
継続率の目安はサービスの業態ごとに異なり、取り扱っている商品やサービスのジャンルによって上下します。
以下、例を見ていきましょう。
ウェブのサブスクリプション型サービスの場合
まずウェブのサブスクリプション型サービスの場合です。
米国HubSpot社によると、BtoCのSaaSビジネスでは92%以上、契約額が月あたり約1,000ドルを超える高額なBtoBのSaaSビジネスの場合は98%以上で許容できるとされています。
実際にNetflix(ネットフリックス)やSpotify(スポティファイ)のようなBtoCサービスでは月間継続率95%以上、AdobeのようなBtoBのSaaSでは年間継続率で約90%という高い数字が出ています。
【出典】HubSpot「How to Calculate Churn Rate in 5 Easy Steps [Definition + Formula]」
(解約率をもとに計算)
いずれも米国の有名企業の実績であり、必ずしもこの数字でなければ悪いというわけではありません。あくまで目安としてご覧ください。
一般の小売やサービスの場合
一方で、サブスクリプション型ではない、一般の小売商品などになると、上述したBtoBのSaaSなどと比べて、継続率が低くなります。例えば、ECビジネスモデルにおける主なジャンルごとのリピート率は以下のとおりです。
ジャンル | リピート率の目安 |
化粧品・健康食品 | 50% |
旅行サービス | 45% |
食品・飲料 | 40% |
ファッション・アパレル | 35% |
PC・家電 | 25% |
【参考】ferret「ECのリピート率はなぜ伸びない?改善させる5つの施策」
繰り返し頻度高く使用するサービスや日用品は継続率が高く、買い換えの頻度が低く単価が高い場合は継続率が低い傾向があるといえます。
継続率が下がる主な要因
ここからは、継続率の改善について解説します。まずは継続率が下がる主な要因を整理しましょう。以下のとおりです。
このなかで特に見落としがちなのが、3つ目の「サービス利用者の支援に問題がある」場合です。
サービス利用者の支援とは、問い合わせ対応を通じて顧客の疑問や不満を解決する「カスタマーサポート」や、商品の利用方法・操作方法などをわかりやすく伝える「テクニカルサポート」などを総称したものです。
なぜサービス利用者の支援が大切かというと、表面化していないだけでサービスに対して不満を持っているユーザーは意外と多いとされているからです。(「サイレントカスタマー」と呼ばれる理論によれば、顧客の96%は不満を表に出さないとも言われています)
企業が提供しているサービスの価値を、利用者が何の支援も受けずに100%体感することはなかなか難しいものです。ただサービスを提供するだけでは、本来の料金設定に見合うだけの価値を感じてもらえず、料金を割高に感じられて継続率を下げてしまいかねません。
長く利用を継続してもらうためにも、サービス改善だけではなく、サービス利用者の支援まで行うことをおすすめします。
継続率を向上させる具体的な8つの方法
では、具体的に継続率を向上させるためにはどうしたらいいのでしょうか。以下、8つの施策を概要で紹介した後、特に大切なものを4つにしぼって詳しく具体的に解説します。
継続率を向上させる方法
要点 継続率を向上させる主な施策一覧
まずは継続率を向上させる主な施策を一覧にして紹介します。このような施策をする必要がある、ということをまずは押さえておきましょう。
方法 | 概要 |
顧客のニーズを把握する | 解約原因・継続要因の両方を把握し、顧客のニーズを把握。不満解決や満足度のアプローチを明確にする。 |
カスタマーサービスを充実させる | フォロー体制やアフターサービスを充実させ、細かく迅速にサポート。顧客により良いユーザー体験を提供する。特に丁寧でわかりやすいサポートコンテンツの実行が重要。 |
コンテンツを常に改善する | 新機能の追加など商品やサービスの改善を行い、顧客のニーズに応え続ける。 |
A/Bテストを実施して改善を繰り返す | サービスの機能やデザインの比較実験を行い、より継続利用してもらいやすい方に寄せる。 |
解約防止の仕組みを構築する | 解約を考える顧客の問題を解決し、解約を未然に防ぐ仕組みを構築する。 |
定期的に利用者とコンタクトをとる | メールマガジンやプッシュ通知機能などで頻繁に利用者とコンタクトをとり、忘れらないようにする。 |
クーポン配布やキャンペーンを実施してリピートを促す | リピート購入限定・会員限定など、クーポン配布やキャンペーン実施で継続購入を促す。主にBtoCで有効。 |
バンドル契約を導入する | 定期購入や年間契約などバンドル(まとめ)契約を導入する。単月契約よりも価格を抑えることで契約しやすくする。 |
もしも実施していない方法がある場合は、ぜひ導入をおすすめします。やり方がよくわからない場合は、以下のバナーから無料相談までお気軽にご連絡ください。
方法1 顧客のニーズを把握する
継続率を高める上で、まず欠かせないのが顧客のニーズ分析です。顧客のことを考えずに商品やサービスを開発・改善する、いわゆる「プロダクトアウト」一辺倒では、ニーズを踏み外してしまうことも多く、解約につながってしまいます。そのため、顧客の意見を積極的に取り入れる「マーケットイン」の思考を持つようにしましょう。
具体的には、データ分析による顧客のニーズ把握が重要です。これにより「なぜ解約されたのか」「なにが決め手となってリピート購入してくれたのか」など、顧客の行動が見える化され、継続率を高めるために必要な対策が判断できるようになります。
一例ですが、以下のような施策を取り入れると、分析がしやすくなります。ぜひ参考にしてください。
顧客のニーズを把握する主な方法
【顧客のニーズを把握する主な方法】
- メールマガジンなどで利用者アンケートを行い、満足している点を聞く
- ヘビーユーザーに1対1のデプスインタビューを行い、利用状況や評価を伺う
- 解約受付時に、解約理由や不満を答えてもらう(継続型サービスの場合)
- アクセス分析で機能の利用状況を見る(ウェブサービスの場合)
方法2 カスタマーサービスを充実させる
方法の2つ目はカスタマーサービスの充実です。上述したように、企業が提供しているサービスの価値を、利用者が何の支援も受けずに100%体感することはなかなか難しいものです。「よくわからない」「使えない」と思われれば長期の継続は困難ですから、適切な価値を感じてもらえるよう、利用者の支援を行いましょう。
特に重要なのが、顧客が商品やサービスを初めて利用する際、もしくは利用方法がわからないときに参照する「サポートコンテンツ」です。方法1で紹介した顧客のニーズをもとに、どのようなサポートコンテンツを用意すべきかを検討すると良いでしょう。
一例ですが、SaaSのようなサービスであれば、下記のようなものが定番です。
顧客に喜ばれるサポートコンテンツの例
【顧客に喜ばれるサポートコンテンツの例】
- 操作方法・使用方法を解説するチュートリアル動画・記事
- 利用事例や成功事例の公開
- ステップメール(シナリオメール)による活用情報の配信
- 電話やオンラインミーティングによる1to1サポート
ただし、顧客のなかにはサポートコンテンツを好まない人もいます。そのため、閲覧を強制するのではなく、スキップ機能を実装するなど「見なくてもよい」選択肢も用意しておくのがおすすめです。
特に電話やミーティングでのサポートは顧客に心理的負担がかかる場合もあり、かえってわずらわしく思わせてしまうリスクもあります。顧客ごとにニーズは異なりますので、適宜必要な支援を提供できるよう、柔軟性を持った運用を心がけるとよいでしょう。
方法3 解約防止の仕組みを構築する
解約を防止する仕組みを構築するのも重要な施策の1つです。
解約防止といっても、会員制サービスでよく見るような「電話のみで解約を受け付ける」「退会申請のページのリンクをわかりづらく配置する」といった、解約をしづらくする施策ではありません。(ちなみに、この方法はおすすめできません。なぜなら、ハードルを上げるだけの場合は顧客に嫌悪感を与えてしまい、再び購入する可能性を著しく落としてしまうリスクをはらんでいるからです)
ここでお伝えしたいのは、サービス以外の価値を提供したり、リマインドを発信したりして解約したくなくなる(=継続したくなる)ようにすることです。
具体的には、以下のような方法です。
解約を防ぎ、継続率を向上させる仕組みの例
【解約を防ぎ、継続率を向上させる仕組みの例】
- 利用頻度が低い人に対して、メールやプッシュ通知で声がけ。利用促進をする
- 会員コミュニティや相談フォーラムなど、サービスそのもの以外の価値を提供する
- クレジットカードの有効期限をリマインドする
特に、クレジットカードの期限切れで請求に失敗した場合は、そのまま解約してしまう顧客も見られます。有効期限が近づいた際にリマインドを送信することで、解約を防止できる可能性があります。リマインド送信もツールを使用すれば自動化をすることも可能ですので、従業員の負担を増やさないよう、適宜ツールも取り入れつつ、仕組みの構築を検討をしましょう。
方法4 定期的に利用者とコンタクトをとる
最後に紹介するのが、顧客と定期的にコンタクトをとり、商品やサービスを忘れられないようにすることです。顧客が商品やサービスを気に入って、自発的に利用・継続をしてくれれば理想ですが、企業側から働きかけないと離脱してしまうユーザーも一定数います。そのまま解約されないよう、こまめに利用者に連絡を入れ、利用を促すようにしましょう。
施策の例としては以下のようなものが挙げられます。
解約を防ぎ、継続率を向上させる仕組みの例
- メールマガジンやダイレクトメールを配信する
- スマートフォンにプッシュ通知を送信する(SaaSなどのアプリツールの場合)
- SNSでの情報発信
特に取り入れやすいのが、メールマガジンやダイレクトメールです。SaaSなどの継続利用サービスであれば、初回利用の直後や利用から一定期間過ぎた後に送信し、お役立ち情報、利用状況をうかがうアンケートなどを送付します。ECなどの小売りであれば、クーポンを配布してリピート購入を促したりするのも有効です。
顧客の心理状態を分析し、パーソナライズされた内容を送信することで顧客は「自分のことを考えてくれている」と感じ、継続率の向上につながります。
また、SaaSなどのサービスでスマートフォン向けアプリも配信している場合には、プッシュ通知機能を設定するのもおすすめです。顧客がアプリのプッシュ通知をONにしていれば、メールマガジンやダイレクトメールよりも目にする機会が増えるため、より利用者にリマインドを効かせやすくなります。
継続率を向上させて事業を安定させよう
継続率を向上させるためには、顧客のニーズを把握した上で、カスタマーサービスを充実させたり、解約を防ぐ仕組みを構築したりすることが重要です。継続率を向上することで収益の安定化を図り、事業の成長につなげましょう。
ナイルでは新規顧客の獲得から定着まで、ウェブマーケティングに関する幅広い支援を行っています。まずはお気軽に無料相談をご利用ください。
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