解約率はどこまで考慮すべき?計算方法や低く抑えるコツも解説

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解約率はどこまで考慮すべき?計算方法や低く抑えるコツも解説

解約率は、サブスクリプション型商材など継続的なサービスの収益性を測るための重要な指標です。
この記事では、解約率の概要や重要な理由、低く抑えるコツとあわせ、解約率の計算方法や目安もお伝えします。

なお、ナイルではマーケティングに関する無料相談をお受けしています。解約率を低く抑えたい方は、お気軽にお試しください。無料相談・お問い合わせフォーム

解約率(チャーンレート)とは

まずは、解約率の考え方を以下の順に解説します。

  • 解約率の意味
  • 解約率が重要な理由

解約率の意味

解約率(チャーンレート)とは、サービスを解約する顧客の割合のことです。
その割合は、解約者が多ければ高くなり、少なければ低くなります。サービスの健全性の指標とされるほか、顧客の満足度やサービスの品質を測る際にも利用されます。

解約率を改善するためには、「無期限の自動更新」か「期限を区切っての更新か」を区別して対応するのが重要です。

例えば、Office365(Microsoft社)やAdobe Creative Cloud(Adobe社)など、サブスクリプション型のSaaSのような無期限で自動更新されるサービスの場合は、顧客がサービスに価値を感じなくなった時点で解約が発生します。解約を防止するには、顧客の満足度に目を向けて、日ごろの利用頻度を落とさないようにする対策が求められます。

一方でコンサルティングや運用代行など、契約期間を区切って更新するサービスでは、更新時に継続すべき理由が明確でないと解約されてしまいます。そのため、事前にクライアントと課題を共有するなど営業的な対策が必要です。

より詳しい対策は後述します。すぐに読みたい方は、こちらからジャンプしてください。

解約率が重要な理由

解約率の計測が重要ないちばんの理由は、解約率を把握しないことで顧客の離れやすさが見えづらくなり、その結果、収益が減少してしまうからです。

例えば、会員100人に対して月の解約率が10%だと、翌月には10人会員が減ってしまいます。
月額1万円のサービスだと10万円も収益が下がる計算です。仮に5%に抑えられれば減収額も5万円で済むわけですから、会員制サービスの収益を伸ばすためには解約率の改善が欠かせません。

また、解約率が低い状況で集客に力を入れても、利用者を獲得した先から解約が発生するため、増収が見込めないというのもあります。

収益性が低ければサービス維持が難しくなったり、改善に予算をかけられなかったりと事業衰退につながる懸念もあります。上記の背景により、解約率を抑えることはとても重要です。

解約率の種類と計算方法

解約率の計算方法には、以下2つの種類があります。それぞれ説明します。

【解約率の種類と計算方法】

  • 種類1 カスタマーチャーンレート
  • 種類2 レベニューチャーンレート

      種類1 カスタマーチャーンレート

      カスタマーチャーンレートとは、ユーザー数をもとに計算する解約率のことです。
      1年、半年、四半期、1ヵ月などの期間内に解約したユーザー(※)の割合を計算します。

      (※「サービスの利用を辞めた人」だけではなく「有料プランから無料プランに切り替えた人」も含まれます)

      カスタマーチャーンレートの計算方法は、以下のとおりです。

      【カスタマーチャーンレートの計算方法】

      期間内に解約したユーザー数 ÷ 解約前のユーザー数 × 100

      例えば、解約前のユーザー数が1,000人で、期間内に解約したユーザー数が20人だった場合は下記のように計算します。

      20人(解約したユーザー数) ÷ 1,000人(解約前のユーザー数) × 100 = 2%(解約率)

      カスタマーチャーンレートは、提供サービス・プランともに1つのみなど、サービスの価格が一律の場合によく使われます。
      また、登録しているユーザー数を元に計算するため、BtoC向けのサービスで利用されることが多いです。

      種類2 レベニューチャーンレート

      一方、設定した期間内の収益をもとに計算した解約率のことをレベニューチャーンレートと言います。
      収益にどのくらい影響が出ているのかわかるため、同じサービス内に複数のプランを設定している場合によく使われます。

      レベニューチャーンレートの計算方法は、以下のとおりです。

      【レベニューチャーンレートの計算方法】

      (単価 × 期間内に解約したユーザー数) ÷ 期間内の総収益 × 100

      例えば、ある2つのサービスがあり、どちらも期間内に解約したユーザー数が同じだったとしましょう。
      レベニューチャーンレートで比較すると、以下のような違いを明らかにすることが可能です。

      サービスAの場合

      サービスBの場合

      ・単価:月額2,000円
      ・1ヵ月に解約したユーザー数:50人
      ・期間内の総収益:5,000,000円
      ・レベニューチャーンレート:2%
      ・単価:月額5,000円
      ・1ヵ月に解約したユーザー数:50人
      ・期間内の総収益:5,000,000円
      ・レベニューチャーンレート:5%

      レベニューチャーンレートはサービスBのほうが高いため、現状ではサービスBの解約率が収益に大きく影響していることがわかります。

      ユーザー数をもとに計算するカスタマーチャーンレートだと、上記の違いには気がつけません。
      このように、レベニューチャーンレートは、人数ではなく利益への影響を調べたいときに活用できます。サービスや料金体系が複数あるときによく用いると良いでしょう。

      良好な解約率の目安

      米国HubSpot社によると、BtoCビジネスのSaaSでは2%~8%圏内BtoBビジネスでは2%未満が良好な解約率(カスタマーチャーンレート)とされています。

      具体的な有名企業の例としては以下のとおりです。

      サービス名

      ジャンル

      解約率

      サービス名 ジャンル 解約率(月間)
      Netflix(ネットフリックス) 映像配信/BtoC 3.30%
      Hulu(フールー) 映像配信/BtoC 5.20%
      Spotify(スポティファイ) 音楽配信/BtoC 3.90%
      Peloton(ペロトン) フィットネス/BtoC 1.41%
      Adobe(アドビ) デジタルツール/BtoC,BtoB 10%(※年間)

      【出典】HubSpot「How to Calculate Churn Rate in 5 Easy Steps [Definition + Formula]」

      業界やサービス内容によって適切な指標は異なりますが、これらの例も参照することで、自社の解約率が適正かを判断できます。参考情報としてご覧ください。

      解約率を低く抑える4つのコツ

      ここからは解約率を低く抑えるコツを、以下4つにわけて紹介します。

      【解約率を低く抑える4つのコツ】

        • コツ1 適切なターゲットに商品・サービスを届ける
        • コツ2 顧客の声にしっかり向き合う
        • コツ3 顧客対応の品質を向上する
        • コツ4 更新時期が近づくまでに継続する価値を伝える

      コツ1 適切なターゲットに商品やサービスを届ける

      解約率を低く保つためには、適切なターゲットに商品・サービスを届けることが重要です。

      なぜなら、ニーズとサービスの価値が噛み合わなければ解約につながるからです。(例えば、特定の利用者層に特化したサービスの場合、キャンペーンで見境なく利用者を集めてもミスマッチからすぐに解約をされてしまいます)

      あくまで一例ですが、以下のように属性にわけて解約率を分析すると、どのような人・企業に契約してもらえると解約率を下げられるのかがわかります。

      属性分けの例

        • 性別、年齢、職業などの個人情報
        • SNS、ウェブサイトなど契約時に経由したチャネル
        • 契約のきっかけとなったキャンペーン
        • BtoBであれば業界や、事業の規模

      解約率がより低い顧客にターゲットを絞り、商品・サービスを届けられるよう、販促手法を選びましょう。

      適切なターゲットの見極め方法については、以下の資料も役立ちます。資料は無料でダウンロードのうえ、ご活用ください。

      コツ2 解約の原因を明確にする

      解約された理由を理解し、それにもとづいて対策を練るのも有効です。

      なぜなら、解約された原因を特定し解決しなければ、現在の顧客も同じ理由で離れてしまうリスクがあるからです。

      解約原因を探るときは、カスタマーサポートへの問い合わせ履歴や、CRMツール(顧客との関係性を管理するツール)を分析調査する手法がよく使われます。

      例えば以下のようなイメージです。

      顧客の行動

      原因や対策の仮説

      料金の問い合わせ後に解約が発生する ・料金に不満があるのではないか?
      ・料金体系が適切か見直すべきでは?
      FAQページがよく見られている ・UIがわかりづらいのではないか?
      ・ガイドが不足していないか?
      サービスの利用頻度が少ない ・機能やコンテンツの価値が低くないか?
      ・顧客のニーズにあったサービスを用意すべきでは?

      このように、顧客の反応や行動をもとに仮説を立てて、改善策を検討・実行することで、解約率を下げられる可能性があります。

      コツ3 顧客対応の品質を向上する

      解約率を低く抑えるなら、顧客対応の品質を向上しましょう。
      商品やサービスに問題が無くても、顧客対応への不満によって解約されるケースがあります

      例えばサポートに問い合わせしてもなかなか回答が得られなかったり、回答が来ても丁寧な対応ではなかったりすると

      「サービスが悪い」と判断されてしまいます。

      そのため、商品を不備なく提供するだけではなく、どういった顧客フォローが求められているかまで理解をし、対応できるよう備えることが大切です。

      例として、以下があります。

      顧客フォローの例

        • 1対1で担当者をつけて、Slackなどのチャットツールで支援する
        • 定期的に電話やZOOMでヒアリングを行う
        • オンボーディングやステップメールなどの自動配信コンテンツを準備する

      顧客に安心してサービスを利用してもらうための施策には、いろいろなものがあります。予算や体制によってできる・できないはありますが、可能な限り、サポートの品質改善に努めるようにしましょう。

      コツ4 更新時期が近づくまでに継続する価値を伝える

      コンサルティング契約など、契約期間を区切って更新するサービスで重要なのが「継続する価値を伝えること」です。

      契約期間のあるサービスでは、1年おきなど決まったタイミングで更新を迎えます。時期が近づいてからあわてて継続のお願いをしても、予算を用意するだけの妥当性がなければ解約されてしまうため、早めに継続に向けた提案をしておくことが重要です。

      例えば、8月が更新時期の場合は、5~6月頃から面談などでアプローチをはじめます。
      具体的には、これまでに実現した成果を整理して報告したり、現状の課題や、今後も引き続き実施すべき戦略を提案したりして、継続する価値を感じてもらいます。

      マーケティングとあわせて営業的な要素も関わってくるため、営業チームとも連携して面談を進めると良いでしょう。

      補足 過度な解約阻止はトラブルにつながるので注意

      BtoC向けのサービスで解約率を下げる手段の1つに、解約をしづらくするというものがあります。
      例えば「解約申請ページを目立たせなくする」「解約は平日のビジネスタイムに電話でしか受け付けないようにする」などが典型例です。

      巷でよく見られる手法ですが、こうしたユーザビリティを意図的に悪くしての解約阻止は、悪評やトラブルにつながるためおすすめできません。

      たしかに解約のハードルを上げれば一時的に解約率を下げることはできるでしょう。しかし、顧客の不満につながるため、悪い口コミが広がって炎上する、再契約がまったく期待できなくなるなど、信頼を大きく損ねる結果につながります。

      顧客の満足度が向上した結果、解約率を低く抑えられるのが一番です。
      解約しづらい状況を作るのではなく、解約されないようにサービスの改善、機能のアップデート、対応品質の向上などで満足度を上げるアプローチをしましょう。

      解約率を下げて収益を伸ばそう

      今回は、解約率の考え方や重要な理由、低く抑えるコツについて解説しました。

      サブスクリプションなどの継続利用が前提のサービスでは、解約率を下げることがとても重要です。利用者が解約している理由を見極め、サービスやサポートの改善を行い解約率を下げていきましょう。

      なお、ナイルではマーケティングに関する無料相談が可能です。解約率を含めた自社の課題を抱えている方は、以下のバナーからお気軽に問い合わせください。

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      編集者情報

      ナイル編集部
      ナイル編集部

      2007年に創業し、約15年間で累計2,000社以上の会社にマーケティング支援を行う。また、会社としても様々な本を出版しており、業界へのノウハウ浸透に貢献している。(実績・事例はこちら

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