マーケティングとは?代表的な手法やプロセス、成功させるためのポイントを紹介

マーケティングとは?代表的な手法やプロセス、成功させるためのポイントを紹介

「仕事で“マーケティング”という言葉をよく使ってはいるけれど、いまいち意味がわかっていない……」

本記事では、そのような方へ向けて「マーケティングの概念」や「代表的な手法」「マーケティングの歴史」などを紹介します。

これを機会に、「マーケティング」という用語について再確認してみてください。

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【そもそもの確認】マーケティングとは?

マーケティングとは、顧客満足から売上につなげるためにあらゆる施策を講じることです。。

経営学の大家であるピーター・ドラッカーも「マーケティングの目的は、販売を不要にすることだ」と提言しています※。

この言葉の意味は「顧客を理解して、顧客に合った商品を提供できれば、自然に売れるようになる」ということを意味します。

【参考】:ピーター・F・ドラッカー:マネジメント[エッセンシャル版] - 基本と原則.ダイヤモンド社 ,2001.

マーケティングの意味や手法は時代によって大きく変わってきました。

例えば、インターネットが普及する前は「マスメディア」を活用した手法が主流でした。しかし、インターネットが普及した近年では「ウェブマーケティング」が中心になってきています。

このように、マーケティングの「意味」や「手法」は時代によって変わりますが、その「目的」は不変です。

いつの時代もマーケティングは、組織としての「売上を上げる・知名度を上げる・利用者を増やす」ことなどを目指して行われてきました。

なぜマーケティングが必要なのか

マーケティングが必要な一番の理由は、「自社の商品」を知ってもらうためです。

マーケティングをしなければ、「ほとんどの人がその存在を知らない」という、ただ商品を作っただけの状態になります。

「知られていない」のは、「存在しない」のと同じです。いくら優れた商品を開発したとしても、知ってもらわなければ誰にも届けることができません。

マーケティングは、自社の商品を知ってもらうために必要な活動なのです。

代表的なマーケティングの手法

一口にマーケティングといっても、実施される手法は幅広いです。

オンライン・オフラインにかかわらず、組織として「売上を上げる・知名度を上げる・利用者を増やす」ことなどを目指して行われる活動は、すべてマーケティングです。

ここでは、代表的なマーケティングの手法として、以下のものを紹介します。

6つの代表的なマーケティング手法(いいねやハートマークがパソコンから飛び出し、ターゲットを定めて宣伝をしている男性)

1. デジタルマーケティングとウェブマーケティング

デジタルマーケティングとは、「デジタル化した情報を活用したマーケティング」のことを指します。

一方でウェブマーケティングは、デジタルマーケティングの領域の中でも「自社のウェブサイトやECサイトを中心に活用する手法」です。

【ウェブマーケティングは、デジタルマーケティングが包括するひとつの施策の図】

デジタルマーケティングの円の中に、ウェブマーケティングの円が入っている図

つまり、デジタルマーケティングのほうが、ウェブマーケティングよりも広い概念です。

具体的にいうと、ウェブマーケティングではウェブサイトやECサイトへのアクセス状況を分析したり、SEO・SNS・メールマガジン・ウェブ広告などを用いて集客したりします。

もうひとつのデジタルマーケティングでは、上記の手法に加えて、リアル店舗への来店データや販売履歴、IoTデータの活用なども対象です。

このデジタルマーケティングとウェブマーケティングについては、下記の記事でも紹介していますので、併せてチェックしてみてください。

2. コンテンツマーケティング

コンテンツマーケティングは、有益なコンテンツを発信しながら、顧客を獲得する手法のことを指します。

発信するコンテンツの例は、下記のとおりです。

【コンテンツマーケティングの種類】

  • ウェブ記事
  • ホワイトペーパー
  • 動画
  • セミナーやウェビナー

など

コンテンツマーケティングの取り組み方や成功させるためのポイントについては、下記の記事をご参照ください。

ちなみに、有益な情報を発信し続けることでユーザーに自社のことを知ってもらおうとする手法は「インバウンドマーケティング」と呼ばれます。

これに対して、「アウトバウンドマーケティング」という言葉もあり、こちらは広告やDM、テレアポなどでユーザーへ直接的に情報を与えていく手法です。

ユーザーと直接コミュニケーションをとる手法は、「ダイレクトマーケティング」ともいわれます。

3. メールマーケティング

メールマーケティングとは、その名のとおりメールを用いてコンテンツを提供するマーケティング活動のことです。

メールマーケティングの種類としては、以下のようなものがあります。

【メールマーケティングの種類】

  • メールマガジン
  • ステップメール
  • ターゲティングメール
  • 休眠発掘メール

など

4. SNSマーケティング

SNSマーケティングとは、TwitterやInstagramなどのSNSを使って集客したり、ブランドイメージを確立したりすることです。

このSNSマーケティングの一環として、各SNSでフォロワーが大勢いるような影響力のある発信者に自社の商品を紹介してもらうこともあります。これが、「インフルエンサーマーケティング」です。

SNSマーケティングは、各SNSの特徴をつかんだ上で施策を実施すると効果的です。主要なSNSの特徴は、以下のとおりです。

SNSマーケティング
名称 特徴
Facebook
  • 日本では30代~40代の利用率が高い
  • 基本的に実名でアカウント登録している
  • 世界で利用しているSNSの中で一番利用者が多い
  • Facebookページで企業情報を記載できる
  • 広告の出稿ができる
Twitter
  • 主に10代~20代の利用率が高い
  • リツイート機能で情報の拡散を狙える
  • 匿名でアカウント登録ができる
  • 複数のアカウントを作成でき、用途に応じて使い分ける人も多い
  • 広告の出稿ができる
Instagram
  • 10代~30代の利用率が高い
  • 写真や動画が中心のSNS
  • ライブ配信を行い、Instagram利用者とのやりとりができる
  • 匿名でアカウント登録ができる
  • 広告の出稿ができる
LINE
  • 全世代で利用率が高い上、利用者自体も多い
  • コミュニケーションのインフラ的存在になっている
  • スマートフォン1台につき1アカウントのみ登録できる
  • 自動チャットツールがある
  • 広告の出稿ができる
YouTube
  • ほぼ全世代で利用率が高い
  • 動画配信がメインのSNS
  • 広告の出稿が可能で、動画やバナーなど出せる広告が多い
  • ライブ配信があり、利用者とリアルタイムでやりとりできる
  • 人気の高いYouTuberに商品やサービスのレビューなどを依頼できる
TikTok
  • 主に10代の利用率が高い
  • 短い動画を主体としたSNS
  • おすすめの情報が自然に流れてくるため、新しい情報も認知されやすい
  • 動画の投稿だけではなく、ライブ配信もできる
  • 動画を主とした広告の出稿ができる

【参考】令和3年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書(P72)|総務省

SNSで集客する際のポイントについては、下記の記事もぜひ参考にしてください。

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 5. マスマーケティング

マスマーケティングとは、テレビ・新聞・雑誌・ラジオなどのマスメディアを活用して、自社の商品を不特定多数のユーザーへアピールする手法のことです。

自社のことについて知ってもらうほか、ブランドイメージを確立するためにも用いられます。

このマスマーケティングは大勢のユーザーへアピールできる分、コストは大きくなる傾向があります。

6. 展示会マーケティング

展示会マーケティングとは、展示会やイベントにブースを出店して、「リードの獲得」や「自社商品の認知度アップ」を目指す手法のことです。

展示会やイベントには、その分野に関心の高い来場者が集まります。

自社のことに興味を持ってもらいやすく、短い期間に多くの見込み顧客との接点が持てるため、効果の高い手法だといえます。

マーケティングのプロセス4ステップ

マーケティングは通常、4つのステップを踏んで実施されます。

ここでは、それぞれの工程の詳細を見ていきましょう。

マーケティングのプロセス 4ステップ(仕事の方向性、成功への正しい方法を選択するためにビジネス上の意思決定をする。ビジネス調査の予測、計画ビジネス戦略と分析、ランディングページテンプレート、コンテンツ戦略、ターゲット分析を双眼鏡で除くビジネスマン)

ステップ1 市場調査をする

マーケティングの第一歩は、「顧客が求めているものを知ること」です。

そこでステップ1として、下記のような手法を用いて定量的・定性的な情報を集めるリサーチを実施します。

【定量的・定性的な情報を集めるリサーチ法】

  • ウェブサイトへのアクセス分析
  • リアル店舗のデータ分析
  • 顧客へのアンケートやインタビュー
  • 社内の営業担当への聞き込み 

など

ステップ2 戦略設計をする

2つ目のステップは、「戦略設計」です。

ここでは、市場調査で集まったデータをもとに、「誰に」「どのような価値を」「どのように提供するのか」という戦略を立てます。

戦略設計の際によく用いられるフレームワークとしては、以下の6つがあります。それぞれの手法について詳しく見てみましょう。

【戦略設計で活用するフレームワーク】

  • 3C分析
  • 4P分析
  • STP分析
  • SWOT分析
  • ペルソナ分析
  • カスタマージャーニーマップ

フレームワーク1 3C分析

3Cは、以下の3つの頭文字を取った言葉で、自社を取り巻くビジネス環境を把握するためのフレームワークです。

【3C分析】

  1. Customer:市場・顧客分析
  2. Competitor:競合分析
  3. Company:自社分析

この3C分析ではまず、「市場の変化」や「自社のターゲットとなる顧客のニーズ」を把握するところから始まり、その上でライバルとなる企業の動きを観察します。

3C分析の詳しい方法については、下記の記事をご覧ください。

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3C分析は、1982年に大前 研一氏によって提唱されました。

【参考】大前 研一:Mind of the Strategist.McGraw-Hill,1982.

フレームワーク2 4P分析

4P分析は、以下の4つの観点から自社の商品を分析する手法です。

【4P分析】

  1. Product(商品):どのような商品を市場に提供するのか
  2. Price(価格):商品をいくらで提供するのか
  3. Place(提供場所):商品をどのように市場に提供するのか
  4. Promotion(宣伝):商品の販促はどのように行うのか

    この4P分析をすることで、自社の商品の特性や適切な販売方法などが見えてきます。4P分析の詳細については、下記の記事をご参照ください。

    4P分析は、1960年にエドモンド・ジェローム・マッカーシー氏によって提唱されました。

    【参考】E. Jerome McCarthy:Basic marketing, a managerial approach.R.D. Irwin Homewood, Ill,1960.

    フレームワーク3 STP分析

    STP分析は、「Segmentation(セグメンテーション)、Targeting(ターゲティング)、Positioning(ポジショニング)」の3つの頭文字から取った用語です。

    STP分析では、「セグメンテーション」「ターゲティング」「ポジショニング」の順に分析を進めます。

    まず、「セグメンテーション」とは、市場を細分化することです。この段階では、自社の商品を「誰に」届けるのかを決めるため、市場を「地域」「年齢」「価値観」などの切り口でジャンル分けをします。

    続いて行う「ターゲティング」とは、セグメンテーションで細分化した市場でどこを狙うのかを決めることです。

    そして最後の「ポジショニング」では、ターゲティングによって定めた市場における自社の立ち位置を決めます。

    競合に対して「価格の安さ」で勝負するのか、「商品の質」をアピールするのかなどを検討します。

    以上のようにSTP分析をすることで、自社が有利に戦える場所が見えてくるのです。

    STP分析は、1970年代にフィリップ・コトラー氏によって提唱されました。

    【参考】フィリップ・コトラー:コトラーのマーケティング講義.ダイヤモンド社,2004.

    フレームワーク4 SWOT分析

    SWOTは、「Strength(強み)」「Weakness(弱み)」「Opportunity(機会)」「Threat(脅威)」の頭文字を取った言葉です。

    このSWOT分析では、下図のように自社の事業を「プラス要因・マイナス要因」「内部環境・外部環境」の2軸で分析します。

    SWOT分析
    プラス要因 マイナス要因
    内部環境 Strength(強み)
    自社の長所
    Weakness(弱み)
    自社の短所
    外部環境 Opportunity(機会)
    自社にとってプラスになる事象
    Threat(脅威)
    自社にとってマイナスになる事象

     

    SWOT分析をすることで、今の事業の改善点がわかるとともに、将来的なリスクも見えてきます。

    SWOT分析は、1960年代から1970年代にアルバート・ハンフリーによって提唱されたといわれています。

    【参考】SWOT分析(Wikipedia)

    フレームワーク5 ペルソナ

    ペルソナとは、自社の商品のターゲットとなる顧客のモデルのことで、下記のような項目を詳細に設定します。

    【ペルソナの設定項目】

    • 名前
    • 年齢
    • 性別
    • 収入
    • 価値観
    • 家族構成
    • 生活スタイル 

    など

    マーケティング活動を行う際は、ペルソナを定めることで「ユーザーは何に悩んでいて、どのような情報や解決策を求めているのか」が考えやすくなります。

    これによって、より効果的な施策が打てるようになるという効果があります。

    ペルソナの設定方法や具体例などについては、下記の記事を参考にしてみてください。

    フレームワーク6 カスタマージャーニーマップ

    カスタマージャーニーマップとは、下図のように顧客が自社の商品を購入するまでの行動や思考の流れを可視化したものです。

    カスタマージャーニーマップの例 顧客が購買(成約)のゴールにたどり着くまでにとった道のりの図

    カスタマージャーニーマップを作成することには、下記の3つのメリットがあります。

    【カスタマージャーニーマップのメリット】

    1. 顧客がとる行動の背景を理解できる
    2. チーム内で顧客への共通認識が持てる
    3. マーケティングプロセスのどこに問題があるのかが見えやすくなる

      このカスタマージャーニーマップについてさらに詳しく知りたい方は、下記の記事も併せてご一読ください。

       


      ご質問は、以下のバナーよりお気軽にご連絡ください。

      \本記事に関するどんなことでもお答えします!/

      ステップ3 手法の選定をする

      戦略の設計が完成した後は、「マーケティング手法の選定」です。

      ここでは、よく使われる代表的な手法として下記の5つを紹介します。

      【マーケティング手法の選定】

      1. マス広告
      2. ウェブ広告
      3. オウンドメディア
      4. メールマガジン
      5. イベント・展示会

        手法1 マス広告

        マス広告とは、「テレビ・新聞・雑誌・ラジオ」などのマスメディアを用いた広告のことです。

        全国の幅広い層へアプローチできて影響力が大きい反面、コストは高くなる傾向にあります。

        マス広告の1つである「テレビCM」については下記の記事で紹介しています。ご興味のある方はご覧になってみてください。

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        手法2 ウェブ広告

        ウェブ広告とは、インターネット上に広告を出すことです。

        広告の種類には、以下のものがあります。

        【ウェブ広告の種類】

        • リスティング広告
        • ディスプレイ広告
        • SNS広告
        • YouTube広告、動画広告 

        など

        ウェブ広告については、下記の記事でもお伝えしています。

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        手法3 オウンドメディア

        オウンドメディアとは、自社で運営するメディアのことです。

        ウェブマーケティングにおける文脈では、「企業の運営するブログ」を指すことが一般的です。ナイルでも「ナイルのSEO相談室」というオウンドメディア(当メディア)を運営しています。

        「ナイルのSEO相談室」のTOP画面キャプチャ出典:ナイルのSEO相談室(ナイル株式会社)

        現代では、インターネット上で自社の商品に関する情報を発信することが主流となっており、オウンドメディアを運営している企業は多いです。

        このオウンドメディアについてさらに詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。

        手法4 メールマガジン

        マーケティングの手法として、メールマガジンも挙げられます。

        登録者に対して定期的にアプローチすることで購買意欲を高められます。自社が開催するイベントやセミナーへの参加につなげることも可能です。

        下記の記事では効果的なメールマガジンの作り方を紹介しています。ご興味のある方はチェックしてみてください。

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        手法5 イベント・展示会

        自社の商品を知ってもらうためには、イベントや展示会にブースを出すのも一手です。

        参加者と交流する中で商品のアピールができますし、名刺交換をすれば将来顧客になりうるリード獲得にもつながります。

        なお、近年はインターネット上でイベントや展示会が開催されることもあります。

        下記の記事では、イベント・展示会を含めた「オフラインでリードを獲得する手法」を紹介していますので、ご興味のある方は併せてご覧ください。

        ステップ4 効果検証をする

        マーケティングの最後のステップは、「効果検証」です。

        マーケティング活動はやりっぱなしにせず、効果の検証をすることが大事です。

        「どれほどの効果があったのか」「コストはどれくらいかかったのか」「費用対効果はどうだったのか」などを検証し、その結果を次の施策へ反映させます。

        そうすることでマーケティング活動の質が徐々に上がっていき、売上を上げる・知名度を上げる・利用者を増やせるようになります。

        マーケティングの変遷

        マーケティングの意味や手法は、時代に合わせて変化するものです。

        ここでは、過去にどのようなマーケティングの変遷があったのかを紹介します。近代マーケティングの父と称されるフィリップ・コトラーが提唱する、下記5つの分類に沿って見ていきましょう。

        5つの年代による、マーケティングの変遷(成功した戦略とアイデアを時系列で解説するプロジェクトマネージャー)

        マーケティング1.0(~1960年代):製品が中心

        1960年代まで、企業の目的は「商品を安く売って、利益を最大化すること」であり、消費者のニーズはあまり考えられていませんでした。

        その背景としては、消費者の需要に供給が追いついていなかったことがあります。この頃は、価格が安ければ、それだけでモノが売れた時代でした。

        マーケティング2.0(1970~1980年代):消費者が中心

        1970~1980年代になると、マーケティングとして「消費者のニーズを満たすこと」が考えられるようになりました。

        ここではじめて、「消費者を中心に考えるマーケティング」に変わります。

        これは産業技術の進歩により、安いコストで大量に商品を製造できるようになっていたことが背景としてあります。

        同じような商品が市場にたくさん出回るようになりどんぐりの背比べとなった中で、「どうすれば自社の商品が消費者に選ばれるのか」を考える必要が出てきた時代でした。

        マーケティング3.0(1990~2000年代):企業価値を重視

        1990~2000年代になると、商品を買ってもらうために「企業の価値」をアピールする必要が出てきました。

        その背景には、環境汚染や貧困格差、少子高齢化などの「社会問題の顕在化」があります。消費者は、「社会のために、自分は何ができるのか」といった社会貢献を考えます。

        商品を選ぶ際にも世界をより良いものにしようとする「社会的な価値の高い企業」から購入するようになりました。

        そのため、各企業は自社の商品を選んでもらうために、「環境への配慮」や「発展途上国への支援」などの社会活動に力を入れて、企業価値の向上にも努め始めます。

        【参考】フィリップ・コトラー:コトラーのマーケティング3.0 ソーシャル・メディア時代の新法則.朝日新聞出版,2010.

        マーケティング4.0(2010年代):自己実現を重視

        2010年代に入ると、「自己実現」がマーケティングのキーワードになります。

        この自己実現とは、アメリカの心理学者であるアブラハム・マズローが提唱した「欲求5段階説」における、最上位の欲求のことです。

        マズローの欲求・5段階説
        段階1 生理的欲求(Physiological needs):食事や睡眠など、生きていくための欲求
        段階2 安全欲求(Safety needs):身の危険のない、安全な暮らしがしたいという欲求
        段階3 社会的欲求(Love and belongingness needs):仲間と一緒にいたいという欲求
        段階4 承認欲求(Esteem needs):他人に認められたいという欲求
        段階5 自己実現欲求(Self-actualization needs):自分らしく生きたいという欲求
        マズローの欲求・5段階説(Maslow's Hierarchy of Needs:1番上が自己実現欲求(Self-actualization needs)の5段階ピラミッド図)

        消費者は購入した商品を使って、「なりたい自分になる」ことを求めるようになりました。

        これにより、企業側は商品の性能や機能だけを伝えるのではなく、商品を手に入れた後の姿や生活までアピールする必要が出てきます。

        例えば、自動車メーカーなら「マイカーを手に入れて、家族みんなで快適なドライブを楽しみながら笑顔でいる様子」のテレビCMを流します。

        すると視聴者は、「この車を手に入れると、家族団欒で幸せな時間を過ごせるようになる」などをイメージするといった感じです。

        また、この時代に入るとスマートフォンなどが普及して、買い手である消費者自らが情報発信を始めます。

        これにより、「口コミをチェックしてから購入の検討をする」など、消費者の購買行動にも変化が生じました。

        そのため、商品をただ購入してもらうだけではなく、顧客とコミュニケーションをとるなかで自社や自社商品のファンになってもらい、ほかの人におすすめしてもらうことが重要になりました。

        【参考】

        マーケティング5.0(2020年代):最新テクノロジーを活用

        2020年代になった現在、マーケティングにビッグデータやAIなどの最新テクノロジーを活用する動きが出てきました。

        テクノロジーを活用すれば、大量のデータを短時間かつ精度高く分析できます。その分析結果をマーケティング施策に反映させることで、より効果的な活動が可能になりました。

        【参考】フィリップ・コトラー:コトラーのマーケティング5.0 デジタル・テクノロジー時代の革新戦略.朝日新聞出版,2022.

        マーケティングを成功させるための4つのポイント

        マーケティングを成功させるためのポイントとしては、下記の4つが挙げられます。

        それぞれのポイントの詳細を見ていきましょう。

        マーケティングを成功させる!4ポイント(プロジェクト開始のコンセプト。プロジェクト管理、ユーザー行動、データ分析などさまざまな機能がパソコンから飛び出す図)

        ポイント1 施策が本当にビジネスに貢献しているのか冷静に確認する

        1つ目のポイントは、「施策が本当にビジネスに貢献しているのか冷静に確認する」ことです。

        マーケティングの施策を実施して「SNSでフォロワーが増えた」「サイトの閲覧数が伸びた」などの結果が出ると、感情的にはとても嬉しいものです。

        しかし、実際のところフォロワーや閲覧数がただ増えただけでは、企業としての売上は増えません。

        集めた人に対して、問い合わせや資料のダウンロード、購買や申し込みをしてもらって、初めてビジネスに貢献したといえます。

        マーケティングの現場では、フォロワー数や閲覧数など目先の数字にとらわれがちですが、「本当に問い合わせや購買につながる集客ができているのか」「集めた人をコンバージョンへ誘導できているのか」といった視点は忘れないようにしてください。

        ポイント2 「自分たちがどう思うか」より「ユーザーがどう思うか」を考える

        ポイントの2つ目は、「自分たちがどう思うか」より「ユーザーがどう思うか」を考えることです。

        ミーティングなどでは、「これをやったら面白そう」「この企画はバズりそう」など、主観的な視点で施策を考えてしまうことが多々あります。

        「自分たちがワクワクすること」がダメなわけではありませんが、「ユーザーがどう思うか」という客観的な視点を抜きに考えるのはおすすめできません。

        マーケティングは自社の売上や認知、利用者数の向上などのために行われるものであり、そのためにはユーザーの心を動かさなければなりません。

        そのため、「自分たちがどう思うか」よりも「ユーザーがどう思うか」を念頭に置く必要があります。

        そこで、他社の事例や自社の過去施策などを参考にして、どのような施策の反応が良かったのかをしっかり確認するようにしましょう。

        可能であればユーザーにヒアリングをして、求めている情報を聞き出すことも効果的です。

        ポイント3 ターゲットに合わせた戦略を立てる

        「ターゲットに合わせた戦略を立てる」ことも、マーケティングを成功させる大事なポイントです。

        不特定多数に向けたマーケティング活動は「誰に何を届けたいのか」がぼやけてしまうため、結果的に誰にも響きません。

        効果的なマーケティングをするには、まず「自社の商品をどのような人に届けたいのか」というターゲットを具体的に絞ることが肝心です。

        その上で、「どうすればターゲットに自社商品の魅力が届くのか」を考えるようにしてみてください。

        ポイント4 顧客データを活用する

        最後のポイントは、「顧客データを活用する」ことです。

        顧客データは、宝の山です。特に下記のような情報は、新しい顧客を獲得するために大いに参考になります。

        【参考にする顧客データ項目】

        • 自社の商品はどのような人に買われているのか
        • どんな経緯で購入してもらえたのか
        • どのように使われているのか 

        など

        このようなデータを収集するために、顧客へのアンケートやヒアリングを積極的に行うようにしてください。

        また、顧客と直接やりとりをする機会がある、社内の営業担当者やカスタマー対応担当者へ聞き込みをすることも効果的です。

        これらを実施することで、自社の顧客の「年齢」や「興味関心」などの傾向が見えてきて、新しい施策や取りこぼしていそうなターゲット層の発見にもつながります。

        マーケティングで売れる仕組みを作ろう

        効果的なマーケティングを行うためには、知識やノウハウが必要不可欠です。

        本記事で紹介したマーケティングの概要を、ぜひ自社マーケティング活動の参考にしてみてください。

        また、それぞれの項目では、関連の深い別の記事も紹介しました。各項目の内容について詳しく解説していますので、理解を深める際の一助としてご活用ください。

        ナイルではマーケティングのお手伝いをしており、特にウェブを用いた領域に力を入れています。

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        編集者情報

        ナイル編集部
        ナイル編集部

        2007年に創業し、約15年間で累計2,000社以上の会社にマーケティング支援を行う。また、会社としても様々な本を出版しており、業界へのノウハウ浸透に貢献している。(実績・事例はこちら

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