【後悔しないために】そのサイトリニューアル、本当に必要?
こんにちは!ナイル株式会社でSEOやサイト運営のコンサルティングを担当している青木です。
最近、「サイトリニューアルに失敗してしまって……」という相談をあまりに多く受けます。
私自身これまで数十社のサイトリニューアルに携わった経験があるため、とても他人事とは思えず、話を聞いていてお腹が痛くなりました。
実はサイトリニューアルには「多くの人が引っかかる落とし穴」があり、それを知っておくだけでも多くの失敗を避けられるものです。
今回の記事では、同じ悩みを抱えている方に少しでも参考になればと思い、ライターのAさんからいただいた質問への回答風景を紹介できればと思います。
回答者 青木 創平 ナイルSEO研究所所長・SEOコンサルタント。大規模データベース型サイトなどの技術的に複雑なSEOのプロジェクトや、サイトリニューアルに多く携わる。ECサイトやBtoBのサービスサイトを得意とするSEOスペシャリスト。 質問者 Aさん 企業のWeb担当者兼ライター。メディア運営はしているが、サイトリニューアルの経験はない。 |
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目次
リニューアル時はサイトでの施策が一時的にストップする
青木
私は、「デザインを今っぽくしたい」「サイトの雰囲気を変えたい」という思いで安易にサイトリニューアルをした結果、「何週間経っても検索順位が戻らない……」と悩む方を何十人も見てきました。
Aさん
せっかくリニューアルしたのに、結果が出ないのはつらいですよね。
青木
毎日、「順位よ戻ってくれ」と祈り続けるのですが、その願いは検索エンジンに届かないことも多いです。そこで今回は、そんな不幸な人たちを減らすために「サイトリニューアルを検討する際に、必ず覚えておいてほしいこと」をお伝えします。
Aさん
ぜひ、よろしくお願いします!楽しみです。
青木
まず認識しておいてほしいのが、「リニューアル中は、サイトでの施策がストップする」ということです。
リニューアルの最中は制作会社さんが作業をするので、自社ではしばらくサイトをいじれないことが多いです。さらには、大規模なサイトリニューアルは自社のWeb担当者のリソースがどうやっても大幅に削られます。
余裕のあるWeb担当者がたくさん会社にいればいいのですが、現実的にはそんなことはありませんよね……。
その結果、「新しいコンテンツの公開」や「問い合わせフォームの変更」などの施策が休止してしまうわけです。
Aさん
確かに、そこは盲点でした。施策が止まる期間は、どれくらい見積もっておけば良いですか?
青木
公開作業とその後の実装確認だけであれば、2~3週間くらいが多いかと。とはいえ、リニューアルの検討自体はかなりスムーズにいったとしても、全体で2〜3ヵ月はかかりますし、現実的には、半年ほどかかるケースのほうが多いです。
Aさん
思ったよりも長いですね。
青木
もちろん全ての期間で施策がストップするわけではありませんが、リソースを注ぎ込んでまでサイトリニューアルをするかどうかは、事前によく考えておくべきです。リニューアルする時間や予算を、既存の施策に割いたほうが良いケースも多いですからね。
\疑問や不明点はお気軽にご連絡ください!/
サイトリニューアルは基本スケジュールどおりに進まない
青木
しかも、スケジュールどおりに進まないことも多いんです。
Aさん
それは、どうしてなんですか?
青木
単純に、「タスク」や「確認すること」がとても多いからです。サイトリニューアルのタスクは多いため、「ほんの少しの遅延」でもそれが積み重なり、大きな遅延が発生します。
また、誰か一人の確認が遅れただけでも、そこがボトルネックになって全体がストップして大きく遅延してしまう。そんなケースも少なくありません。
実際、関わるメンバーも多いため、病気やケガなど、思いがけない事情で誰かしらの遅延が発生してしまうことも考えておくべきなのです。
青木
あとは、私の経験的に、なぜかサイトリニューアルには「イレギュラー」がよく起こるんです。
これまで何十社とサイトリニューアルに関わってきましたが、だいたいイレギュラーなことが起きていますし、ほかのコンサルタントからも同じようなことを聞きます。
Aさん
どういうイレギュラーな対応があったのでしょうか?
青木
例えば、「予定していなかったデザインや機能を途中で追加する」などですね。
リニューアルを進める中で「やっぱりこんな機能も欲しい」と天からの声が届き、タスクが増えていくパターンです。
Aさん
上層部からの依頼が増えるのは、サイトリニューアルの“あるある”なんですね。
青木
ええ。イレギュラー対応をしているうちにどんどんスケジュールは後ろ倒しになって、当初は2〜3ヵ月で終わるはずが半年先、さらには1年先に……なんてことになります。
Aさん
でも、リニューアルすることを告知していたら、スケジュールは間に合わせざるを得ませんよね?
青木
そこが問題なんです。よくあるのが、サイトリニューアルのプレスリリースの日程が決まっているケースですね。
そこに無理に間に合わせようと作業した結果、「とりあえずの完成を優先し、予定していた機能の実装は後回しにする」といった事態が起きます。
Aさん
とりあえず、「スケジュールに間に合わせること」が第一優先になってしまうということですね……!
青木
はい、なのでサイトリニューアルの予定日が近づくと、「一旦完成まで進めておいて、公開後にまたあらためて検討できたら……!」「次のタイミングで実施しましょう」といった発言が社内で飛び交うようになります。
Aさん
締切に囚われていると、サイトリニューアルの本来の目的を見失いそうですね。
青木
そのとおりです。「問い合わせ数を増やすこと」を目指していたはずなのに、いつの間にか「期限内に完成させること」が目的になっています。
サイトリニューアルの現場では、そんなことが非常に多いのです。
「スケジュールどおりに進行しないと困る」は避けるべき
Aさん
サイトリニューアルの目的を見失わないためには、どう対策すれば良いのでしょうか?
青木
「スケジュールに遅れが出ても問題がないように調整しておくこと」です。公開日を、「必達目標」にしないこともおすすめします。
Aさん
リニューアルの際は、「スケジュールは進行に応じて変更する可能性があります」と関係者にしつこく伝えて、認識を合わせておくと良さそうですね。
青木
はい。さらに、スケジュールは「今年中に必ずリニューアルする」といった必達目標にしないよう、早い段階で社内の合意を得ておくのがおすすめです。
Aさん
よく理解できました!ただ、社内のプロジェクトだと、「上司にスケジュールを共有したから、間に合わせないといけない」ことが結構あるんですよね。
青木
その対策としては、事前に上司の方にこの記事を読んでもらうと、リニューアルのスケジュール設定に理解を示してくれるはず……です。
それでも難しければいったん青木までDMなどで良いのでこっそりご連絡ください。外部だからこそできることもあるので、何かしらサポートします。
Aさん
それは助かります!
青木
そもそも、サイトリニューアルで一番目を向けるべきなのは、上司などの「社内メンバー」ではなく「ユーザー」のはずです。
ユーザーは、「いつリニューアルされたか」なんてほとんど気にしません。Aさんは、よく使うサイトで「リニューアルが遅れているなぁ」と感じたことはありますか?
Aさん
いえ、一度もないですね。そもそも、リニューアルの予定があったことすら知らないケースが多いです。
青木
むしろ、スケジュールに無理に合わせてリニューアルしたことで「使いづらいサイト」になることのほうが問題です。
「前のサイトのほうが良かった」と感じさせてしまうと、ユーザーがサイトから離れる原因にもなりかねません。
リニューアルすると元のサイトには戻しにくい
青木
ここまでお話したとおり、サイトリニューアルは施策が止まる上に、なかなかスケジュールどおりにもいきません。
無理にスケジュールに間に合わせようとすると、目的を見失ってしまいます。しかも、「一度リニューアルすると、元のサイトには戻しにくい」のです。
Aさん
え?元に戻したいなら、戻せば良いと思うのですが……!
青木
実際はそうもいきません。ここで足を引っ張るのが、「サンクコストバイアス」です。
Aさん
サンクコストバイアスって「今までかけたコストがもったいないから、引き返せなくなる」って心理のことですよね?
青木
はい。サイトリニューアルには多くの部署・メンバーが参加し、膨大な時間と労力をかけます。
そのため、リニューアル後に検索順位が戻らなくても「みんな頑張ったし、後少し時間が経てば順位は上がっていくはず!」という祈りの気持ちになりがちです。
Aさん
あー、私もそうなるかもしれません。
青木
こうしてみんなで祈ることしかせず、「やっぱり、リニューアル前に戻そう」という判断はなかなか……できないものなのです。
動画でもサイトリニューアルの注意点を解説しています!
サイトリニューアルすべきかの検討方法2ステップ
Aさん
青木さんの話を聞いていると、サイトリニューアルなんてやらないほうが良いような気がしてきました……。
青木
いやいや、もちろんリニューアルをしても良い状況はありますよ。以下の2ステップで判断してみてください。
【サイトリニューアルの検討方法2ステップ】
- ステップ1 改善したい指標を明確にする
- ステップ2 サイトリニューアルの必要性を確認する
ステップ1 改善したい指標を明確にする
青木
まずは、「サイトリニューアルを通じて、何の数値を改善したいのか」を明確にしましょう。改善したい指標を明確にせず、「デザインを刷新したい」などの抽象的な目的でサイトリニューアルをするケースは多いです。
しかし目的が抽象的だと、リニューアルの必要性を判断できなくなってしまいます。詳しくは、ステップ2でお伝えしますね。
Aさん
「改善したい指標」って、例えばどんなものが挙げられますか?
青木
代表的な指標は、以下のとおりです。
【改善する指標項目】
- 問い合わせ数
- 検索順位
- サイトを通じた社員の採用率
- 商品・サービスの購入率/転換率
- 受注率
- 有効商談化率
- サイト運営に要する作業時間
など
ステップ2 サイトリニューアルの必要性を確認する
青木
改善したい指標が明確になったら、「その指標はサイト全体のリニューアルせずに改善できないのか」を検討しましょう。
例えば、指標が「問い合わせ数」の場合には、「問い合わせフォームの改善」や「フォームへの導線の変更」だけでも改善できる可能性があります。
Aさん
「本当に、サイト全体のリニューアルが必要なのか?」という視点ですね!
青木
サイト全体のリニューアルは、あくまで指標を改善するための一手段です。一部の修正だけで改善できるのであれば、それに越したことはありません。
そのほうがコスパが良いですし、「リニューアルに伴い施策が一時的に止まる」期間も短くなりますからね。
Aさん
逆に、それでも全体リニューアルを実施するのは、どんなケースなのでしょうか?
青木
「結果的に、サイト全体のリニューアルとして進めたほうが早い」ケースです。
小さい個別改善を10個やるより、一気にサイト全体を変えた方が効率的だと判断できる場合には、サイト全体のリニューアルを実施します。
Aさん
例えばどのようなケースでしょうか?
青木
例えば、サイトからの資料ダウンロード数を増やすために「資料請求フォームの改修をしよう」という話が挙がったとします。
加えて、同じく資料ダウンロード数を増やすために「資料一覧ページのデザイン変更」「全ページへのリンク追加」「ブログのリライト」など、色々な箇所を変更したい希望があるとします。
このような場合には、各施策を個別で進めるよりも「資料ダウンロード数改善プロジェクト」として、全体で管理するほうが楽になります。
Aさん
たしかに個別に進めると、進捗管理シートがたくさん作られてややこしくなったり、「今何が終わっていて、何が残っているのか」が曖昧になったりしそうです。その結果、一部の施策はなあなあになって忘れ去られてしまう……なんて悲劇も起きそうですね。
青木
そうなんです。それなら、1プロジェクトとして1つの進捗管理シートに集約したほうが管理しやすいですし、施策が忘れ去られることもなくなります。あとは「Aを変えたことによって、Bも変えないと。そうしたらCの調整も必要だ……」のように連動する施策は同時に進めた方がよいですね。
青木
このように、個別改修を1つのプロジェクトとしてまとめた集合体がサイト(全体の)リニューアルなのです。もちろん、「会社のタグラインを大きく変える」などブランディングの観点からサイトリニューアルを実施する場合のように、これに当てはまらないこともありますけどね。
Aさん
ありがとうございます。「改善したい指標を明確にする」「リニューアルの必要性を確認する」の2ステップ、覚えておきます!
とはいえ、具体的に検討を進めるには「改善すべき指標があっているのか」「指標は明確でも、どこを改修すべきか」などの自信がない点が多く出そうで……。
青木
そんなときこそ、ナイルへお気軽にご相談ください。私のほかにも、貴社の悩みや希望に沿って専門のコンサルタントが丁寧にお答えいたします。
また、ナイルでは「サイトリニューアルでSEO上、絶対に気をつけるべき11のポイント」も公開しています。
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とサイトリニューアルでは、ハラハラすることも多いかと思います。だからこそ正確な情報を把握することが必要です。資料の具体的な内容については、ダウンロードの上、ご確認ください。
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