【1対1】デプスインタビューとは?メリット・デメリットと実施時の流れを紹介
自社の課題を解決するために消費者の声を聞きたい場合、デプスインタビューが効果的です。デプスインタビューを利用すれば、1対1で消費者の本音を引き出せるため、自社で立てた仮説は正しいのかが判断しやすくなります。
本記事では、デプスインタビューのメリットや失敗しないためのポイントを紹介します。
デプスインタビューを行い、自社の抱える悩みを解決したい人は、ぜひ最後までお読みください。
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目次
デプスインタビューとは?
デプスインタビューとは、定性調査(対象者の言葉や行動を収集する方法)のひとつで、対象者とインタビュアーが1対1で実施する調査方法です。
デプス(depth)は「深さ」を表す言葉で、対象者の人となりや情報を深く引き出せるインタビューという意味を持っています。
デプスインタビューは、ひとつのテーマについてじっくり対象から話を聞ける方法なので、商品の開発や販売、改善のヒントを得る目的で行われます。
質問をすれば、対象者さえ気づいていないニーズに迫り、購買行動をするに至った背景を知ることができる方法です。また、対象者からの回答をもとに商品開発や販売、また販売中の商品改善に役立つアイディアが引き出せます。
デプスインタビューと他のインタビュー方法との違い
対象者から意見を聞く方法は、デプスインタビューだけではありません。
ほかのインタビュー方法との違いは、下記の表をご覧ください。
インタビュー方法 | 所要時間 | 特徴 |
デプスインタビュー | 60〜90分程度 | 1対1でインタビューを行う |
グループインタビュー | 120分 | 4人から8人といったグループでインタビューを行う |
エスノグラフィー(※1) | 3週間から1ヵ月程度 | 調査対象者の自宅に調査員も身を置いて行動を観察する |
まず、デプスインタビューとほかのインタビュー方法とでは、所要時間が異なります。また、1対1でインタビューをする必要があるため、多くのサンプルを集めるには何度も調査を行わなければなりません。
そのため、1回の調査で、多くのインタビュー内容やサンプルを集めたいときにはあまり適した方法ではないといえるでしょう。しかし、1対1で調査をする分、グループインタビューよりもより深い回答を得られやすいメリットもあります。
また、デプスインタビューとそのほかの調査方法では、目的も異なります。デプスインタビューの目的は、消費者が商品を購入するまでにどのような過程があったのかを理解することです。
そのため、消費者のニーズの把握はもちろん、開発中の商品の改善案などもインタビューで聞けます。
※1:エスノグラフィー(ethnography)とは、顧客と生活や行動を共にすることで、顧客のことを深く知るための調査手法のこと
デプスインタビューの活用例
デプスインタビューは主に、下記のような場面で役立てられています。
【デプスインタビューの活用例】
- 販売している商品について、消費者がどんな不満を持っているのか知りたい
- ペルソナやカスタマージャーニーを決めるために消費者の声を聞きたい
- 新商品の開発において、コンセプトが市場に適しているのか知りたい
- マーケティング方法を変えるために認知、購入、フォローの評価を知りたい
デプスインタビューは1対1で消費者から深く話を聞けます。ゆえに、自社の商品を販売したり販売手法を見直したりする際のヒントが得られるのです。
デプスインタビュー3つのメリット
デプスインタビューは、ほかのインタビュー方法と比べても、さまざまなメリットがあります。
どのようなメリットがあるのか、詳しく見ていきましょう。
【メリット1】人前では言いにくい質問にも答えてもらいやすい
グループインタビューは、他人もいるため遠慮して本音を言えない人も多くいます。
例えば、お金や病気のテーマなどは、他人に公開したくないと考える人も多いのではないでしょうか。加えて、ほかの参加者の意見に同調する人が多かった場合、反対してまで自身の意見を伝えるのは躊躇してしまうものです。
そのため、複数人のインタビューでは、一人ひとりの本音の部分まで聞くことが難しいこともあります。その点、デプスインタビューは1対1でインタビューを行うため、対象者の本音を引き出しやすいメリットがあるのです。対象者が安心して本音を話せる環境のほうが、誰も気づかなかった視点からの意見を話してくれる可能性が広がるでしょう。
【メリット2】1対1で行うため詳細な聞き取りが行いやすい
1対1でインタビューを行う場合、そうでない方法よりも詳細な聞き取りができます。
対象商品への意見、エピソード、体験談などについて深く聞くことで、対象者自身も気づいていなかった潜在的なニーズや要望を把握できることも考えられます。
グループインタビューのように周りの人に引っ張られることもなく、質問する時間も多いため、より深い意見が聞けるでしょう。
【メリット3】インタビューの内容をもとに改善すべき点が検討できる
最後に挙げるメリットは、インタビュー内容をもとに改善すべき点が検討できることです。
先ほどもお伝えしたとおり、デプスインタビューは1対1で行うため、対象者から本音や詳細な話を聞きやすい特徴があります。そのため、商品やサービスに対して不満に思っていることや改善して欲しい点など対象者からリアルな声や意見が聞けます。
グループインタビューと違い他者の意見に左右されることがないため、改善や改良を行いたいときには非常に役に立つインタビュー方法といえるでしょう。
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デプスインタビュー2つのデメリット
デプスインタビューは、対象者と深いやり取りができ、対象者の声を聞くには最適なインタビュー方法です。
ゆえに、開催者側のデメリットが生じるため、事前に把握しておきましょう。
それぞれ詳しく紹介します。
【デメリット1】ほかのインタビュー方法に比べて時間と費用がかかる
デプスインタビューは、通常1人あたり60〜90分ほどの時間が一般的です。
しかし、長くなると2時間以上かかるケースもあります。さらに、1人ずつインタビューをしなければならないため、1日や2日の短期間で終わることはほとんどありません。
特に多くのサンプルを集めなければならない場合は、1週間以上かかる点に加え、インタビューを行う会場を借りる費用も実施した日数に比例し多くかかってしまいます。
また、対象者にインタビューした後は、得た情報の分析をしなければなりません。情報量が多いと、時間と調査員の労力も重くなります。そのため、余裕を持ったスケジュールを立てる必要があるでしょう。
【デメリット2】1対1で行うためインタビュアーの力量が必要となる
デプスインタビューは、ほかのインタビュー方法よりもインタビュアーのコミュニケーション能力が必要になります。
なぜなら、対象者と1vs1で話す必要があるからです。デプスインタビューだけに限りませんが、インタビューに慣れていない相手の場合、開始直後はお互いに緊張していることも多いでしょう。
そのため、インタビューを成功させるには、対象者が安心して話せる雰囲気を作らなければなりません。加えて、対象者が自身でも気づいていないニーズを掘り起こすには、うまく話を聞き出すための共感力なども必要になります。
デプスインタビューを実施するときの流れ
ここまで、デプスインタビューのメリットデメリットについて紹介してきましたが、この章では、実際にデプスインタビューを実施するときの流れについて詳しく紹介します。
事前に準備するべきことも多いので、必ず把握しておきましょう。
【ステップ1】デプスインタビューを実施する目的を明確化しておく
最初に、デプスインタビューを行う目的を明確にしておきましょう。
なぜなら、目的が明確化されていない状態では、誰にインタビューしてどのような設問を設定するのが適切か判断できないからです。
例えば、下記のように目的があれば、目的から逆算して設問を設定できます。
【目的から逆算した設問例】
目的:販売している商品について、消費者がどんな不満を持っているのか知りたい
- 商品に対して使いづらい点はなかったか
- 商品に対して値段が適切だと思うか
- 商品に対して改善して欲しい点はあるか
このような目的が設定されていれば、目的を達成するために必要なことを聞き取っていけます。しかし、目的が明確化されていないと質問の途中で話がそれてしまったり、関係ない質問をしてしまったりするため、必要な声を聞き出せない可能性があります。
また、実施した事実だけで満足してしまうケースにもつながってしまうため、しっかりと目的を立ててからインタビューを実施しましょう。
【ステップ2】インタビューで聞き取る内容を決める
目的を明確にしたら、次はそのためにどのような質問をどの順番で聞くのかといったインタビューフローを決めましょう。
このときに重要なのは、ただ質問内容について考えるだけではなく、下記のような点も踏まえてインタビューフローを作成することです。
【インタビューフロー例】
- 優先するべき質問内容
- 各質問に使う時間
- 質問する順番
さらに対象者の反応や回答によっては、質問内容を追加したり深掘りする点を変えたり柔軟に対応するのがおすすめです。また、インタビューフローを決めたら、上司や社内の調査関係者へ質問内容に問題がないか確認や同意をもらいましょう。
【ステップ3】インタビュイー(インタビュー対象者)を集める
続いてインタビュイーを募集するために、スクリーニングを行い、条件に合う人を選びます。
デプスインタビューでは、概ね10〜15人ほどを募集するのが一般的です。また、このときにどんな人を集めるのかをきちんと決める必要があります。例えば、商品の改善をしたい場合は、下記の点を参考にするとよいでしょう。
【商品の改善をしたい場合の参考例】
- 利用者であるか
- 利用年数
- 自社ブランドへの精通度
- 他社商品と比較できる知識があるか
など
さらに、報酬のみを目的とするインタビュイーを集めないように、選定基準を伝えないようにすることも重要です。ほかにも、インタビュイーの積極性や過去の購買行動について話せる力があるかも条件のひとつになります。
そのため、募集時のアンケートには、選択式だけではなく記述式の質問も入れておくとよいでしょう。選定が終了したら、インタビュイーに連絡を取り、日程や必要事項の共有を行いましょう。
【ステップ4】インタビュイーにインタビューを行う
調査日になったら、インタビュイーにインタビューを行います。
一度のインタビューだけで60〜90分の時間が必要なので、効率を考え出来るだけ同じ日に実施できるよう日程を調整しましょう。調査の期間が長くなると、振り返りをするのが難しくなり、会場を借りる費用も高くつきます。
都合を合わせやすい土日に実施を検討したり、複数のインタビュアーを確保して同時に2、3人ずつインタビューを行えるように工夫するのがおすすめです。
デプスインタビューで失敗しないための3ポイント
デプスインタビューでは、限られた時間内で対象者の潜在的なニーズをつかんで、課題解決に役立てなければなりません。
実施後に「あの質問を行っておくべきだった」「必要なデータとなる声が足りない!」と、失敗しないためにもここからは、デプスインタビューで失敗しないためのポイントを3つ紹介します。インタビューを成功させるためにも、しっかりと確認しておきましょう。
【ポイント1】インタビュー内容に優先順位をつけておく
デプスインタビューでは、実施の目的を達成するため、時間が足りずに本当に質問したい内容が聞けない事態は避けなければなりません。
そのため、インタビューを行う目的に沿うかどうかも踏まえて、あらかじめ実施する質問に優先順位をつけた上で時間配分も決めておく必要があります。
例えば、目的の達成に近い重要な質問は、30〜45分程度しっかりと時間をかけ深堀りしつつ話を聞きます。必要な答えが聞き出せたところで、優先順位の低い質問をしていくといった流れにするとよいでしょう。
【ポイント2】インタビュイーに共感するなど、本音を話しやすい環境を作る
1対1のインタビューでは、できるだけ早くインタビュイーが本音を話しやすい環境を作ることが非常に重要になってきます。
緊張した中で本音を聞き出すのは、難しいことです。また、多くの時間があるわけではなく限られた時間しかないため、出来るだけ早く打ち解ける必要があります。
相手が安心して話せる環境を作るためには、自分の情報を開示したり、共感したりして自然な笑顔で応対したりしましょう。相手への興味関心があることを示しつつ共通の話題から話し始めれば、スムーズにインタビューを進められます。
インタビュー中は、インタビュイーが話す内容に共感して、常に聴き手に回るようにしましょう。また、こちら側から相手に考えさせる質問をしたり、聞きたい回答へ誘導したりするのは避けてください。
【ポイント3】臨機応変に質問を追加したり内容を変更したりする
デプスインタビューでは、必ずしも当初決めたインタビューフローに沿って質問する必要はありません。
なぜなら、同じ内容の質問を投げかけてもインタビュイーの反応はさまざまだからです。インタビュイーの反応や態度、回答内容によっては、質問を追加したり変更したりしましょう。
あくまでもこちら側の聞きたい内容について質問するのではなく、インタビュイーが気持ちよく話せるように対応するのがポイントです。
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デプスインタビューは仮説の検証などに効果的
「販売している商品の売上げが伸びていない」「新しく商品を開発したいけれど消費者が本音では何を望んでいるのかわからない」といった悩みがある場合に、デプスインタビューは効果的です。
デプスインタビューをすれば、課題を解決するために自社で立てた仮説が正しいのか判断できるようになります。また、1対1で行うインタビューであるため、ほかの人に意見が左右されるリスクもありません。
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