検索ボリュームがないキーワードでSEOを行う必要があるのかという話

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検索ボリュームがないキーワードでSEOを行う必要があるのかという話

SEOの相談をうける中で、「検索ボリュームがない/少ないキーワードの対策ってどうしたらいいの?」「そもそも対策する必要ってあるの?」といった質問をいただくことがしばしばあります。今回は、そんな「検索ボリュームが少ないキーワード」に対してのSEOの考え方について整理したいと思います。

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検索ボリュームがないキーワードは対策しなくてよいのか?

そもそもSEOとは、特定のキーワードの上位表示という話ではなく、「検索されたキーワードに対し検索結果上でできるだけ多く露出することで、ユーザーとの接触機会を増やすための取り組み」なので、ユーザーが検索しうるキーワードは可能な限り取りに行くべきだと考えています。

たしかに、検索ボリュームは対策キーワードの優先度決めに役立ちはしますが、「検索ボリュームがない=誰にも検索されない」ということではないですよね。

とは言え、すべてのキーワードを優先順位も何もなく、全部対策していきましょう!というのはあまりに乱暴なので、検索ボリュームが少ないキーワードについての向き合い方をまとめてみました。

「検索ボリュームがない」ということの捉え方

単純に検索ボリュームがないと言っても、

  • コンテンツとしてのニーズがあるのか、ないのか
  • データに反映されないレベルのボリュームだからデータが出ないだけなのか

と言うことを考える必要があります。

前者でいうと、「○○町 バイト」といったようなキーワードは、その街に住んでいて、アルバイトの仕事を探している人がいる限り、コンテンツとしてのニーズはありますよね。

後者の場合でいうと、Googleアナリティクスなどの流入データを見てみると、キーワードの流入自体はあるけれども、それがキーワードツールのデータとしては数値が出ないキーワードはたくさんあります。なので、ツールの数値だけをアテにするのではなく、検索ニーズをしっかり考える必要があります。

151130_バイトボリューム
例えば、上記は「東京×バイト」と「忠岡町×バイト」の検索ボリュームです。(*忠岡町は大阪府にある日本一面積の小さな町です。)

東京とのかけあわせキーワードと比較すると、忠岡町とのかけあわせキーワードは検索ボリュームがほぼないことがわかりますが、この場合、検索ボリュームがないから忠岡町のキーワードは対策しなくていいや、とはならないはずです。(もちろんビジネスへのインパクトを考えて、エリアごとの優先順位はつけるとは思いますが。)

「対策すること」をどう捉えるのか

検索ボリュームがないキーワードも対策していった方がいい、それは理想であるとして、実際には時間やリソースには限りがあるので、優先順位をつけて施策していく必要があります。

そういった中で検索ボリュームがないキーワードの対策を考える際には、

  • そこにコストをかけるべきか
  • サイトとしてそのページが必要か

という点で考える必要があります。それを考えた上で優先順位をつけるとすれば、このような形になるでしょう。

151130_マトリクス_検索ボリューム

    1. 検索ボリュームがある×コンバージョンに近い

⇒ 多くの人が狙うので競合性が高いため、難易度は高いでしょう。まず施策を始めるグループではありますが、限られたリソースの中での優先度は低めです。

    1. 検索ボリュームがある×コンバージョンに遠い

⇒ 検索ニーズはあるので優先度は比較的高めです。そのページへの流入をきっかけとして、コンバージョンに近づけるためのストーリーやユーザー遷移の導線設計を工夫しましょう。

    1. 検索ボリュームがない×コンバージョンに近い

⇒ 会員登録やお問い合わせに近い部分なので、積極的に施策を行うべきです。確実に上位に持っていく工夫をしましょう。

    1. 検索ボリュームがない×コンバージョンに遠い

⇒ 優先度は低いです。コストやリソースに余裕があれば取り組みましょう。

具体的には例えば歯医者のサイトが、コラム記事を作っていくことでSEOでの集客を考えていたとします。その場合に記事で取って行きたいキーワードとしては、虫歯の治療や予防など「歯」に関する以下のようなキーワードが挙げられます。

151130_mushiba_検索ボリューム

これらのキーワードを先にあげた4分類にあてはめるとこのようになります。

151130_shika_検索ボリューム

      1. 検索ボリュームある×コンバージョンに近い:「虫歯 治療」など
      2. 検索ボリュームある×コンバージョンから遠い:「虫歯 予防」など
      3. 検索ボリュームない×コンバージョンに近い:「虫歯 治療 子ども」など
      4. 検索ボリュームない×コンバージョンから遠い:「虫歯 予防 ケア」など

単純に検索ボリュームだけで考えた場合、1→2→3→4の順に記事を作っていくことになると思いますが、実際にはそうはならないでしょう。いくら検索ボリュームが大きくても、「予防」系のキーワードで入ってくるユーザーは、虫歯にならないように事前対策として情報を探しに来ている可能性が高く、それだと歯医者への来院(=コンバージョン)には繋がりにくいです。

この場合で言うと、検索ボリュームが小さくても、「虫歯 治療 痛くない」「虫歯 治療 子ども」などの、よりコンバージョンに近いであろうユーザーが検索するキーワードをテーマにした記事を書いた方が、ユーザーへの訴求力が高まるでしょう。

また、「虫歯 予防」などのキーワードは、コンバージョンには遠いかもしれませんが、一定の流入数を期待できるため、このキーワードにあったコンテンツを作り、そこから「歯科定期検診」のページへ誘導するなどのコンバージョンに繋がる工夫をしていけるのであれば、作っていく価値があると思います。

※補足
「虫歯 治療 子ども 痛くない」というキーワードは検索ボリュームこそないものの、“子どもの虫歯治療をするにあたり、子どもが痛がらない治療方法や、治療ができる歯医者を探している”というユーザーニーズがクリアになっているので、競合性の高い「虫歯 治療」というキーワードを狙いに行くよりも効果的に成果に繋がるかもしれません。(ここらへんは実際のコンバージョンにつながっている流入キーワードや、サイト内検索でのキーワードデータなどを参考に考えるのが良いです。)

検索ボリュームが少ないキーワードを対策しておくべきかどうか

検索ボリュームが少ない(はたまた、ボリュームがない)キーワードをどこまで対策しておくべきかの判断に迷ったら、

    1. コンバージョンに近いかどうか
    2. コンテンツとして必要かどうか
    3. コストがかかるかどうか

という観点で考えるとよいでしょう。

検索ボリュームが少ない場合の対応表

例えば、弊社が運営しているアプリレビューメディア「Appliv」で見てみましょう。アプリ系キーワードで検索すると、アプリ配信のプラットフォームであるGoogle PlayやAppStoreが検索結果上位に来ますが、これらのサイトではカテゴリ数に限りがあり、細かいニーズに対応できているとは言えません。

Appliv

それに対して、Applivは2,000以上にカテゴリ分けを行うことで、細かい検索ニーズまで獲得しています。実際、Applivは、「アプリ」単体のキーワードでも上位表示されていますが、このキーワードでの検索経由の流入は実は全体の1%未満で、他の細かなキーワードの積み重ねによりサイト全体としてトラフィックを伸ばしています。

ダイエットカテゴリ

具体例を挙げると、上のように「健康管理・ダイエット」のカテゴリの中にも「ゲーム」「レシピ」「レコーディングダイエット」など更に細分化されたカテゴリを持っています。例えばレコーディングダイエットの一覧ページへの無料検索での流入キーワードの一部下に載せてますが、検索ボリュームと照らし合わせると、ボリューム自体はほとんどないことがわかります。

▽無料検索経由での流入キーワード(一部)
※このように細かなキーワードでの流入を少しずつ積み重ねています
ダイエット流入キーワード

▽上記流入キーワードの検索ボリューム(一部)
ダイエット検索ボリューム

上記数値からもわかるように、検索ボリュームに関わらず、人力でアプリをカテゴライズしてユーザーの検索ニーズに応えるコンテンツを用意することで、結果としてサイト全体としてトラフィックを増やしているのです。

先にみた観点をApplivの場合に当てはめてみると、このような形になるでしょう。

検索ボリュームが少ない場合の対応表(Appliv)

このように、検索ボリュームが小さくても、「問い合わせや会員登録に近い」「検索ニーズに関わらず戦略やブランディング上コンテンツとしてページを持っておく必要がある」「施策のコストがあまりかからない」という場合には積極的に施策を行うべきです。

まとめ

今回は、お客様からよくいただく検索ボリュームの質問について、情報整理の意味も込めて改めてまとめました。

「検索ボリュームがあるから対策する価値がある」「検索ボリュームがないなら対策する必要がない」といった二元論的な考え方をするのではなく、あくまでも検索ボリュームは施策を行う上での優先順位付けの判断基準のひとつとして捉えるとよいでしょう。

ついつい検索ボリュームの大きなキーワードに目が向きがちになってしまいますが「ターゲットユーザーは実際にそれを検索するのか」「自社サイトでやる価値があるのか」というような視点を持って、サイト運営上のコストやリソースに応じた施策戦略を考えていく必要があります。

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ナイル編集部
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2007年に創業し、約15年間で累計2,000社以上の会社にマーケティング支援を行う。また、会社としても様々な本を出版しており、業界へのノウハウ浸透に貢献している。(実績・事例はこちら

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