オウンドメディアの企画書を作成する6ステップ!社内に通すコツも紹介
社内でオウンドメディアの立ち上げを承認してもらうには、上司や役員が納得できるような情報を盛り込んだ企画書を作成することが大切です。
この記事では、オウンドメディアの企画書を社内に通すための必要な考え方や、具体的な手順を解説します。
なお、オウンドメディアの運用を始めた多くの企業が、2年未満で停止するという実情があります(詳細は、下記「オウンドメディア支援」サービス資料に記載)。
安定して運用するためには、適切な方針でコンテンツを制作できる体制が欠かせません。
ナイルではオウンドメディアの支援サービスを提供していますので、お気軽に以下のバナーをクリックして資料をご覧ください。オウンドメディアの運用でつまずきやすい点も紹介しています。
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目次
オウンドメディアの企画書を作成する大事な考え方
オウンドメディアの企画書を作成するときは、下記3つの考え方で取り組むことが重要です。
ひとつずつ見ていきましょう。
考え方1 上司や役員が納得する情報を盛り込んだ内容であること
まずは、上司や役員を説得するための情報を盛り込むことを考えましょう。
企画書は上司や役員を説得する資料なので、オウンドメディアがほかの施策より優れていることを示す必要があります。
例えば、下記の情報を記載するのが有効です。
【上司・役員を説得する情報の例】
- 数や質において、実施できる施策の中で効果が高いこと(例:CPA(CV1件あたりの費用対効果)が良い、数が取れる)
- 費用やかかるリソースが現実的であること
自社の規模や目的に近い他社事例も参考にして、上記の情報が机上の空論ではないことを説明する必要があります。
また説得力を高めるためには、絶対評価だけではなく相対評価の話も含めることが大切です。
【上司・役員への説得力を高める2つの評価】
- 絶対評価:オウンドメディア単体で、費用対効果は優れているか
- 相対評価:ほかのマーケティング施策と比べて、費用対効果は優れているか
上記を踏まえて企画書を作成すると、一番成果を出しやすい手法がわかるので、マーケティング担当者の頭の整理にも役立ちます。
整理した結果、「オウンドメディアより、リスティング広告のほうが費用対効果が良さそうだ」となり、リスティング広告にシフトするケースもあります。
オウンドメディアはあくまでコンテンツマーケティングの1手段なので、その点も踏まえて進めていきましょう。
オウンドメディアの事前準備を動画で解説しています!
考え方2 「現場」「上司」「役員」で重視する指標を揃えること
「現場と上司や役員で重視する指標を揃える」という考え方も欠かせません。
下記のように、両者が重視する指標が異なることも多々あるからです。
【立場によって重視する指標が異なる例】
- 現場:セッション数、コンバージョン数を重視
- 上司や役員:売上を重視
例えば、「セッション数がどれだけ増えるか」に焦点をあてた企画書を作成した場合、上司から「セッション数が増えても、売上が増えないと意味がない」と言われてしまうケースがあります。
そのため、企画書を作成する前にミーティングを実施し、指標に対する認識のずれをなくしておきましょう。
その上で、「結果として、セッション数やコンバージョン数が売上につながる」ことを説明するのが効果的です。
考え方3 まずは上司とすり合わせながらアウトラインを作ること
担当者一人で企画書を作成するのではなく、直属の上司と認識をすり合わせをしながらアウトラインを作ることも重要です。
規模感や会社の進め方にもよりますが、企画書をいきなり作ろうとすると膨大な時間がかかります。
また上司と認識のずれがあるまま進めてしまった場合、「何十ページも作ってから全体的に修正することになった」などの事態に陥るリスクもあります。
そのため、下記の流れで実施することがおすすめです。
【企画書を作成する流れ】
- ドキュメントでアウトラインを作成する
- 上司からフィードバックをもらい、アウトラインに反映する
- アウトライン完成後、スライドにまとめる
あらかじめ上司からフィードバックをもらっておいたほうが、必要な点を漏れなく押さえることができます。
結果的に説得力の高い企画書に仕上がる可能性が高まるので、ぜひ実践してみてください。
上司や役員の説得にお悩みの方は、以下のバナーよりお気軽にご相談ください。
オウンドメディアの企画書を作成する6ステップ
オウンドメディアの企画書を作成するときに必要な考え方を踏まえた上で、具体的な作成手順を解説します。
順番に見ていきましょう。
ステップ1 自社が抱えている課題の洗い出しをする
まずは自社が抱えている課題を洗い出し、「オウンドメディアを立ち上げることで解決できるものなのか」を判断します。
具体的に掘り下げていくことで、オウンドメディアによって改善できるポイントがわかり、説得力のある企画書を作成しやすくなります。
よくある課題の一例は、下記のとおりです。
【企業が抱える課題の例】
- 自社サービスをユーザーに見つけてもらいにくい
- 自社サービスが認知されていない
- 広告だけでは、コンバージョン数に限界がある
オウンドメディアのメリットには、見込み顧客の獲得やサービスの認知などがあるため、上記のような課題がある企業に有効です。
あらためて課題を明確にし、オウンドメディアで解決できそうかを確認しましょう。
なお、「オウンドメディアのメリットを振り返っておきたい」という方は、下記の記事をご覧ください。
ステップ2 オウンドメディアの目的を明確にする
自社の課題が明確になった後は、オウンドメディアを立ち上げる目的をはっきりさせましょう。
オウンドメディアの目的が明確ではない場合、メディアやコンテンツの主旨がブレてしまうからです。
上司から「なぜオウンドメディアが必要なのか」という質問を受けたときも、目的が固まっていないと説得力のある回答ができません。結果的に、社内審査に通る可能性が下がります。
オウンドメディアの目的の一例は、下記のとおりです。
【オウンドメディアの目的例】
- 検索流入を増やして、自社や商品の認知度を上げる
- 流入したユーザーを資料ダウンロードや問い合わせに誘導する
- 企業側からの情報発信を介して、ユーザーとコミュニケーションをとる
実際にオウンドメディアの立ち上げが決まった後も、メディアの目的が不明確だと、制作チームがまとまりにくくなります。
質の高いコンテンツを掲載して成果を出すためにも、目的を定め、関係者間で共有できるようにしましょう。
ステップ3 ターゲットを定める
次に、オウンドメディアのターゲットを明確にします。
想定するターゲットユーザーに対して有益なコンテンツを発信することで、オウンドメディアの価値が高まり、結果的に目的を達成することにつながります。
ターゲットを設定するときは、次のように具体的に掘り下げましょう。
【ターゲットを設定するときのOK・NG例】
- OK例:20~30代の会社員の女性、食品メーカーの経理部に勤務、年収450万円など
→ターゲット像が明確なので、抱えている課題や悩みを特定しやすい
- NG例:働く女性全般
→ターゲット像が漠然としているので、抱えている課題や悩みを特定しにくい
ターゲット像の掘り下げでおすすめなのが、ペルソナの設定です。
ペルソナとは、氏名や年齢、性別、出身地や住所、職業、年収、趣味、家族構成など、ターゲットユーザー像を実在する1人の人物のようにイメージしたものです。
ユーザー視点で考えやすくなるため、ニーズを満たしたコンテンツを制作できる可能性が高まります。しかし、想像だけでペルソナを作成するのは、実際のターゲット像とずれが発生する恐れがあります。
下記の方法で客観的なデータを集め、裏付けのあるペルソナ設定をすることがおすすめです。
【ペルソナ設定のための客観的なデータを集める方法】
- 既存顧客にアンケートをとる
- 既存顧客にインタビューを実施する
- 営業やカスタマーサポート担当者からヒアリングする
特に自社の営業やカスタマーサポート担当者は、顧客との接点が最も多い存在です。企画書の作成に協力してもらい、ターゲット像を固めていきましょう。
一方で絞り込みすぎても、アプローチできるユーザーの数が減ってしまうため、広く自社サービスをアプローチできる「最大公約数」的なペルソナを作成することを心がけてみてください。
下記の記事では、ペルソナの設定方法や具体例を紹介していますので、ぜひご一読ください。
ステップ4 コンテンツの方向性を決める
ペルソナを設定したら、「ターゲットユーザーのニーズ」に応えるコンテンツの方向性を検討します。
コンテンツの方向性は、下記の順に決めていきましょう。
【コンテンツの方向性を検討する手順】
- キーワードを選定する
- 制作するコンテンツの種類を決める
1. キーワードを選定する
ユーザーは疑問や課題を解決するために、Googleなどの検索エンジンを使って情報を探しています。
つまり、ユーザーのニーズは、検索キーワードに現れているのです。
自社のオウンドメディアを特定のキーワードで検索上位に表示させるには、SEO(検索エンジン最適化)を考慮する必要があります。
そのためにはキーワードを選定し、キーワードにもとづいたコンテンツ制作が欠かせません。したがって、設定するキーワードも企画書に盛り込んでおきましょう。
キーワード選定の方法は、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ併せてご覧ください。
2. 制作するコンテンツの種類を決める
次に、オウンドメディアに掲載するコンテンツの種類を考えます。
ユーザーの訪問から成果に至るまでに必要となるコンテンツをリストアップしましょう。
【コンテンツの種類の例】
- プレスリリースや告知
- サービスの説明
- 購入申し込み
- ブログ記事
- サービスの事例紹介
- お役立ち資料
なおオウンドメディアの方向性を決めるときは、「アピールしたい自社の強み」をはっきりさせておくことも大切です。
下記の記事で詳しく解説していますので、併せてご覧ください。
ステップ5 成功数値を設定する
オウンドメディアの企画書は、目的に対応する成果指標を具体的に設定する必要があります。
売上や成約といったオウンドメディアの最終目的であるKGI(Key Goal Indicator/重要目標達成指標)に対して、いつまでに何を達成するかという各プロセスで中間的に測定する指標であるKPI(Key Performance Indicator/重要業績評価指標)を定めましょう。
KPIを四半期、6ヵ月、1年などで区切って設定しておくと、何をすべきかが可視化されて運営しやすくなります。
またKPIは、下記のようにPVやUU、SSなどの数値で設定されることが多いです。
【KPIを設定するときの数値】
- PV(ページビュー):ユーザーがページを閲覧した回数
- UU(ユニークユーザー):ページに訪問したユーザーの数
- SS(セッション):ユーザーがページに訪問した回数
- 指名検索数:社名や店名、サイト名そのものがキーワードとして検索された数
PVだけではユーザーの人数まではわからないので、UUやSSを併せて確認することで現状を把握できます。
なお、UUでは重複するユーザーをカウントしませんが、SSは訪問回数なので、重複するユーザーがカウントされることは把握しておいてください。
また、指名検索数もKPIで用いられやすい指標です。ブランディングがうまくいっていれば社名や店名、サイト名の知名度が上がり、指名検索数が増加していくので、ブランディングの達成度の指標と見なすことができます。
必ずオウンドメディアの目的に合わせて適切なKPIを定め、KPIを積み上げることでKGIが達成されるように、数値シミュレーションを設計しましょう。
PV数やSNSのシェア数を稼げるからといって、目的やターゲット層に合致しないコンテンツを発信しても成果につながりません。
なお、オウンドメディアはすぐに目的を達成できるものではないので、いきなり高いKPIを立ててしまうと失敗しやすいです。
例えば1年計画の場合、KPIの数値を12ヵ月で均等に割った数を配分すると、初月の目標としては高すぎることになります。
KPIは徐々に右肩上がりに上昇する形で、計画することをおすすめします。
Google Analyticsなどのツールを活用し、ユーザーの流入経路や地域などを調査するのも有効です。
どのようなユーザーが訪問しているのか調べた上で、オウンドメディアに適したKPIを設定しましょう。
\KPIの考え方はこちらの資料で解説しています!/
ステップ6 オウンドメディアの制作・運用体制を決める
最後に、オウンドメディアの制作・運用体制を決めましょう。
企業がオウンドメディアを運営する場合、複数の部署で役割を分担して進める必要があります。
コストを抑えるために社内運用する場合は、適した人材を見つけてリソースを確保しなければなりません。
担当者は通常業務をこなしながら、オウンドメディア業務も兼任する必要があります。1人だけに負担がかからないよう、各チームに複数人を割り当てるようにしましょう。
なお、最初から外注するのはおすすめできません。まずは、10記事ほど作成から公開まで、一通り社内で経験してから外注するほうが失敗が少ない傾向にあります。
オウンドメディアを進めて行く中で、企画や記事作成の負担を感じたら外注する範囲を絞り込んでいきましょう。
オウンドメディアの企画書で決裁者が気にする4つのポイント
上司や決裁者はオウンドメディアの企画書に対して、どのような点を気にするのでしょうか。
議論になりやすいポイントを、あらかじめ想定しておきましょう。
ポイント1 どんな費用がかかるのか
オウンドメディアの運営にかかる費用は、上司や決裁者が気にするポイントです。
どの工程を外注するかによって費用は変わりますが、下記を目安にしておきましょう。
オウンドメディアの運営費用 | ||
運営 | 費用の目安 | 項目 |
新規構築 | 100万~300万円 |
|
運用 | ~1,000万円(初年度の場合) |
|
費用対効果については、現状の広告費やウェブマーケティング予算と比較して提案すると効果的です。
オウンドメディアの場合、制作したコンテンツは資産として蓄積されていきます。
人気記事は長期間にわたって集客に貢献し、制作費以上のコストパフォーマンスを発揮する可能性があります。コンテンツの持つ可能性もアピールポイントにしましょう。
もし、「オウンドメディアを運用してから、なるべく節約する方法はないか」と気になる場合、下記の記事をご一読ください。
運用フェーズで節約するポイントや、費用に関する注意点を解説しています。
ポイント2 どんなチーム体制が必要か
オウンドメディアの立ち上げ・運営にあたっては、チーム体制を整えなければなりません。
社内の各部署に協力を仰いで、人材を活用することも想定されます。社内の理解と協力を得るために、どのような作業が必要なのかを説明しましょう。
オウンドメディアの立ち上げ・運営には、下記3つの体制が必要になります。
オウンドメディアの制作・運用体制 | |
体制の種類 | 担当範囲 |
1)サイト構築 | CMS(コンテンツ管理システム)・サーバー・ドメインの選定、コーディング、デザイン など |
2)コンテンツ制作 | 執筆、取材、図版作成 など |
3)オウンドメディア運用 | 進捗管理、ライターの採用、ガイドライン作成、SNS上での拡散、効果測定 など |
例えば、サイト構築ではサイトのデザインやコーディング作業が必要なため、担当できる要員を確保しなければなりません。
社内にウェブデザイナーやエンジニアがいれば制作期間を相談し、難しい場合は外注を検討することも大切です。
このように、各体制の役割や担当者を明確にした上で、決裁者に説明できるようにしておきましょう。
具体的な作業内容は下記の記事で解説していますので、併せてご一読ください。
ポイント3 どのくらいの期間で成果につながるか
オウンドメディアは広告のような短期的な施策ではなく、中長期で少しずつ成果に近づいていくものです。
オウンドメディアは長期的な施策であることは、上司や決裁者にしっかり伝えましょう。
そのときに押さえておきたいのが、オウンドメディアには、下記の「投資期間」と「回収期間」が存在することです。
【オウンドメディア運営 2つの期間】
- 投資期間:記事制作・リライト・コンバージョンにつなげる導線の改善などを実施する期間
- 回収期間:最低限のメンテナンスで、コンバージョンが発生する期間
運用開始から3年目くらいまでは、月10〜30本以上など定期的にコンテンツを公開する必要があります。
これを継続することで、3年目以降の回収期間に、最低限のメンテナンスでコンバージョンを獲得できる可能性が高まります。
投資期間中に制作本数を減らしてしまったり、問い合わせや購入に至る導線を改善しなかったりした場合は成果につながりません。
3年以上は継続が必要なことも踏まえて、上司や決裁者の理解を取り付けるようにしましょう。
本記事は、以下の資料より一部抜粋しております。さらに詳細を知りたい方は、無料ダウンロードの上、ご活用ください。
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ポイント4 どんな人をターゲットにするのか
「どんな人をターゲットにするのか」や「なぜそのターゲットにしたのか」も、決裁者が気にするポイントのひとつです。
ペルソナを設定しておくと具体的なターゲット像が定まるため、根拠を答えやすくなります。
営業やカスタマーサポート担当者にヒアリングし、既存顧客の特徴をつかんだ上でペルソナを固めていきましょう。
最終的に、下図のようなターゲット像が仕上がるイメージです。
ペルソナの生活パターンや性格も深掘りして、決裁者がイメージしやすい人物像を作り上げていきましょう。
オウンドメディア運営の企画書で社内理解を得ていこう
オウンドメディアの企画書を作成する際は、上司や役員を説得するための情報を盛り込むことが重要です。
そのためには、「上司や役員はどのような観点で企画書をチェックするのか」を理解することから始めてみてください。
なお、オウンドメディアを運用してからは、成果を正しく評価できなかったりネタ切れになったりする問題が起きやすいです。
そこでナイルでは、オウンドメディアでよくある課題と解決策をまとめた資料をご用意しました。
あらかじめ対策方法を知っておくことで、安定して運用できる可能性が高まりますので、お気軽にダウンロードしてご覧ください。
- 1.成果を評価できない
- 2.質を担保できない
- 3.ネタ切れしてしまう
- 4.人手不足・スキル不足
具体的な内容については、ダウンロードの上、ご確認ください。
オウンドメディアの立ち上げを検討中の方へ オウンドメディアには「ブランディング」「リード獲得」「広告費削減」といったメリットがありますが、運営には課題がつきものです。本資料では、事前に押さえておきたい4つのよくある課題と解決策をまとめています。また、オウンドメディアの必要性にお悩みでしたら、ぜひ無料相談をお申し込みください!必要性から一緒に検討します 。
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