IPアドレスとは?構成の種類とIP分散によるSEOへの影響
目次
意味:IPアドレスとは
IPアドレスとは、インターネットに接続されている通信機器に一意に与えられる識別番号のことです。
役割は「電話番号」と同じで、お互いの電話番号がわかることで音声通話ができるように、お互いのIPアドレスがわかることでデータ通信ができるようになっています。
表記形式にはIPv4とIPv6の2種類があり、IPv4アドレスだと「192.168.23.253」、IPv6アドレスだと「fe80 :: e219 : 1dff : fe43 : d0c2」のような文字の表記をします。
ただ、これらは人間が認識するのに優しくない文字列であるため、ウェブサイトとして表示する際には、ドメイン名(例:www.seohacks.net)が利用されています。そのため、私たちが普段インターネットを利用するときに、IPアドレスそのものを目にする場面は殆どないでしょう。
自身のIPアドレスの確認
以下のようにコマンドプロンプトで”ipconfig”と入力すればわかります。
IPアドレスの長さと表記
IPアドレスには、IPv4 (32bit)とIPv6(128bit)があります。IPv6については後述します。
IPv4アドレス
現在、世界中で広く使用されているIPアドレスがこのIPv4です。IPv4アドレスは32bitの正整数値と定められており、2進数表記で表すと
11000000101010000001011111111101 のようになっています。
ただ、これでは人間にとって理解しにくいため、以下のように、32bitを8bitずつドットで区切って4つに分けて、さらに10進数に直した表記を一般に使用します。
■本来の表記
11000000101010000001011111111101
↓
■8bitずつ4つに分ける
11000000.10101000.00010111.11111101
↓
■10進数に直す
192.168.23.253
この表記をDotted decimal notation(ドッテド デシマル ノーテーション)と言い、ドットで句切られた1まとまりは「オクテット」と呼ばれる情報量を表す単位になっています。
1オクテット当たりで表現できる数値のパターンは2^8=256通りで、これが4つあるので256^4≒43億通りのIPアドレスが表現できることになります。
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IPアドレスの構成
IPアドレスは、ネットワーク部とホスト部の2つに分けられています。
対象となるIPアドレスが、どのネットワークに所属しており、どのようなホスト番号を割り振られているかを示しています。
このネットワーク部とホスト部の区切り位置はIPアドレスによって変わり、主に2種類の区別方法があります。
1、クラスによる区別(クラスフルアドレス)
2、サブネットマスクによる区別(クラスレスアドレス)
以下順に説明していきます。
1,クラスフルアドレス
クラスフルアドレスでは先頭1~4ビットまでの組み合わせによって、A~Eのクラスに分類されています。
この中で、一般向けに公開されているのはクラスA~Cで、クラスDは音声や映像データの一斉放送するマルチキャスト用のIPアドレスです。また、クラスEは実験用のIPアドレスなので実際に使用されることはありません。
2,サブネットマスク
サブネットマスクとは、IPアドレスのネットワーク部とホスト部の区分を直接示しているもので、IPアドレスとセットになって使用されています。
前述のクラスフルアドレスでは、8bit(クラスA)、16bit(クラスB)、24bit(クラスC)がネットワーク部であると決められていて、区分を直接設定できませんでしたが、クラスレスアドレスでは、サブネットマスクを用いることで自由に指定できるようになっています。
サブネットマスクの表し方は非常にシンプルで、ネットワーク部を表すbit部分を1に、ホスト部を表すbit部分を0にします。
例えば、クラスBのように先頭16bitをネットワーク部にしたい場合は
11111111.11111111.00000000.00000000
であり、これをDotted decimal notation表記にすると、255.255.0.0となります。
IPアドレスの種類
IPアドレスには、グローバルIPアドレスとプライベートIPアドレスの2種類があります。
この二つの登場背景としては、IPv4の枯渇問題があります。IPv4アドレスは43億通りのパターンがありますが、インターネットの拡大とともにアドレス数が足りなくなってしまいました。
そこで、全ての端末がインターネットに直接アクセスできる必要はないという観念から、ローカルネットワーク(LAN)内の端末にはプライベートIPアドレスを付与し、インターネットに接続している(WAN)機器にのみグローバルIPアドレスを割り当てるという方法が確立されたのです。
グローバルIPアドレス
インターネットに接続している機器へと一意に割り当てられるIPアドレスで、世界中で使用されており、重複することはありません。インターネットの中での住所に相当し、データ通信を行うために必要なアドレスです。
グローバルIPアドレスは、各国のNIC (Network Information Center、IPアドレスやドメイン名などを割り当てる民間の非営利機関)によって各組織に割り当てを行っています。例えば一般家庭であれば、インターネットに接続する際に契約するプロバイダの方に必ず割り振られています。
グローバルIPアドレスには固定IPアドレスと動的IPアドレスの2種類があります。
固定IPアドレス
変わることのない固定のIPアドレスです。
例えば、インターネットに接続されているサーバーには必ず固定IPアドレスが割り当てられています。なぜなら、そのサーバーにあるウェブページにアクセスしようとしたときに、インターネット上の住所であるIPアドレスが変わってしまっていると、接続ができなくなってしまうためです。
動的IPアドレス
一方、一般的な端末でウェブサイトを見る程度の利用であれば、常にインターネットへと接続することはないので、固有のIPアドレスを持つ必要がありません。従って、会社や家庭など一般的には動的IPアドレスが割り振られています。
ただ、動的とはいえども光通信で常時接続していることが多い近年では、ルーターを再起動でもしない限り、滅多にIPアドレスは変わりません。
なお、動的アドレスは固定アドレスに比べて、固有で番号を保持するわけではないので、値段が安いという利点があります。
プライベートIPアドレス(ローカルIPアドレス)
会社や自宅内のローカルネットワークに接続される端末に割り当てられるIPアドレスです。
NICに申請を行わなくても、会社や自宅内のネットワークで自由に割り当てることができます。
但し、インターネット上ではプライベートIPアドレスしか持たない機器がインターネットで通信を行う際には、グローバルIPアドレスを割り当てられた機器(ルータやサーバ)に中継してもらう必要があります。
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IPv6アドレス
インターネット上で利用されるアドレス資源をグローバルに管理する IANA (Internet Assigned Numbers Authority) において、新規に割り振りできる IPv4アドレス が無くなってきたので、1999年頃から新たにIPv6(128bit)が配布されるようになりました。
ちょっと古い話になりますが、携帯番号がもともと090で始まる電話番号しか割り当てられていませんでしたが、番号が枯渇したことによって、080の電話番号が利用されるようになったのと同じ理由です。
※32ビットのIPv4では2の32乗=約43億のIPアドレスしか作れないので、世界規模で考えたらIPアドレスがそのうち無くなるのは当初から分かっていたことでもあります。
切り替えには機器の入れ替え(最近発売されている機器は対応している場合がある)やソフトウエアの導入等、コストがかかるため、しばらくは両者が混在し、徐々にIPv6へ移行していくことになります。
IPv6アドレスの表記法
IPv4アドレスは、”192.168.23.253”のように、32bitを8bitずつドットで4つに区切った10進数の数値列で表記されています。
それに対してIPv6アドレスは、128ビットを16ビットずつ8つにコロンで区切った16進数の数値列で表記します。
例 fe80:0:0:0:acd7:81c6:e4e7:afb6
このとき0は省略するのが一般的で、以下のようにコロンでまとめることができます。
fe80:0:0:0:acd7:81c6:e4e7:afb6
↓
fe80::acd7:81c6:e4e7:afb6
意味:IP分散とは
IP分散とは、運営する複数のサイトでそれぞれサーバーを分けることでIPアドレスを分散させることを指します。
IP分散は、同一のIPアドレスで複数のサイトを運営することによるマイナス効果を避けるためのSEO対策として使われています。
IP分散とSEO
一つのサーバーで複数のサイトを運営していると、ネットワーク部のIPアドレスが同一の数値列になります。しかし、ネットワーク部のIPアドレスが同一だと、関連性のあるサイトとして容易に認識することができます。
関連サイトとして認識されることによるデメリットは2つあります。
① 被リンク価値が低下すること
② 一方のサイトから悪い評価が引き継がれるリスクがあること
被リンク価値の低下
SEOにおいて被リンクはランキングの一要因にもなっており、引き続き重要な項目です。
そんな被リンクの価値を決める指標の一つに「リンク元サイトの多様性」というものがあります。ここでの多様性とは、幅広く性質の異なる群が存在するということです。
例を上げてみましょう。
■同一のIPアドレスのサイト間で被リンクをつけた場合
■同一のIPアドレスを持つ複数サイトから、特定のサイトへ被リンクをつけた場合
どちらの場合も、ネットワーク部が同一のIPアドレスを持っている以上、関連性は明白です。従ってIPが分散してある場合に比べて、被リンク1つあたりの価値は低くなる傾向にあります。
過去に無料のサブドメインブログを利用した大量被リンク施策が流行したこともあって、同じIPアドレスのサイトからの被リンクは、自作自演でリンクを作成しているとみなされて、価値が低いリンクとして認識されてしまうのです。
さらに低質かつ不自然な大量被リンクがあると、Googleのランキング不正操作を目的としたリンクプログラムとみなされて、サイト全体でペナルティを受けて評価が下げられる可能性があります。
参考→グーグル公式ガイドライン
特にマルチドメイン対応のレンタルサーバーを契約していて、複数サイトを運営しているときは、相互で被リンクを集中させることは避けたほうがいいでしょう。
悪い評価が引き継がれるリスクがある
ウェブサイトで同一のIPアドレスを利用していると、一つのサイトがペナルティを受けた際に関連性を疑われて、追随して評価が落ちてしまう可能性もあります。
まとめ
IPアドレスはインターネットに接続されている全ての端末に割り振られる識別番号です。ウェブサイトを表示するために必要なサーバーには、固有のIPアドレスが割り振られており、複数のサイトを運営する際にはIPアドレスが同一であることによるリスクがあるため、IP分散というSEO施策が存在していることがわかりました。
ただ、そもそもこのIP分散というものは被リンク施策を進めていくうえで、ペナルティを受けないようにと対策するブラックハット寄りなSEO用語です。
弊社では、ブラックハットに頼らないサイト改善やコンテンツマーケティングのSEO事例について随時紹介しておりますので是非そちらもご覧になってください。
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