顧客獲得単価(CPA)とは?意味や計算方法、重要性、改善方法を解説

顧客獲得単価(CPA)とは?意味や計算方法、重要性、改善方法を解説

顧客獲得単価(CPA)とは、コンバージョン(CV)1件あたりにかかった広告費用の投資対効果を意味します。
特にウェブ広告を運用する上で、「顧客獲得単価(CPA)」の理解は欠かせません。

今回の記事では、顧客獲得単価の意味や計算方法、注意点などを解説します。
CPAを改善するための実践的なノウハウもお伝えするので、ぜひ参考にしてください。

また、顧客獲得単価(CPA)を下げるアイデア5つをまとめた無料のPDF資料を用意しています。
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顧客獲得単価(CPA)とは

まずは顧客獲得単価(CPA)がどのようなものか、以下の順に紹介します。

【顧客獲得単価とは】

  1. 顧客獲得単価(CPA)の意味と重要性
  2. 顧客獲得単価(CPA)の計算方法
  3. 顧客獲得単価(CPA)の重要性
  4. 似ている用語「CPO」「CPR」との違い

顧客獲得単価(CPA)の意味

「顧客獲得単価(CPA/Cost Per Action/ Cost Per Acquisition)」とは、問い合わせ・商談・資料ダウンロード・注文など各種CV(コンバージョン)1件あたりにかかった費用を示す値です。


主に広告の費用対効果を評価するときなどに使われ、単価が低いほど費用対効果が良いとされます。

100万円の広告費に対するCPA 100件の問い合わせがあったとしたら顧客獲得単価(CPA)は10,000円

なお、同じような指標に「CAC」があります。CACとは、「Customer Acquisition Cost」の略で「顧客獲得単価」を表す言葉です。CPAは1コンバージョンあたりの費用,CACを顧客獲得単価とすると分析しやすいでしょう。

CACについては以下の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。

顧客獲得単価(CPA)の計算方法

CPAは、以下の計算式で求められます。

【CPAの計算式】

CPA=投下した広告費用÷アクション数

例えば、広告費用30万円で商品を200件販売できた場合、広告のCPAは以下のとおりです。

投下した広告費用30万円÷CV数200件=CPA1,500円

顧客獲得単価(CPA)の重要性

顧客獲得単価は、集客販促の成果を計測する上で欠かせない、重要な指標です。

まず、CPAを見ることで「顧客を獲得する施策の費用対効果」がわかります。
例えば、以下のとおりです。

【費用対効果の例】

  1. CPAが高くなっていれば顧客の獲得単価が増えて利益が減少している
  2. CPAが低く抑えられていれば顧客の獲得単価が減って利益が増加している

特に広告の効果測定では、この観点で評価されることが多くあります。

また、CPAは異なるタイプの施策を比較して評価するのにも使われます。

例えば「SNS広告」と「展示会」の効果検証をするとしましょう。
仮にSNS広告のCPAが5,000円、展示会のCPAが8,000円だとしたら、前者の方がCPAが低いため、コスト効率が良いと判断できます。

また「新規顧客」と「リピート顧客」の獲得コストを比較することも可能です。新規獲得のCPAが5,000円、リピーター化が2,000円だとしたら、後者の方が獲得コストが低いので利益に対して効果的だと言えます。

このようにCPAで比較をすることで、どの施策が利益を伸ばす上で効率が良いかがわかります。
CPAは、効果的なマーケティング施策を検討する上では欠かせない指標だと言えるでしょう。

似ている用語「CPO」「CPR」との違い

CPAと似ている用語に「CPO」と「CPR」があります。

CPO(Cost Per Order)とは、1件の新規注文(オーダー)を獲得するまでにかかった費用のことです。ECサイトなどでよく用いられます。

CPR(Cost per Response)は、1件の反応を獲得するまでにかかった費用のことです。サブスクリプションサービスなどのお試し期間や、問い合わせなどが該当します。CPRは、本商品の申し込みと区別するために用いる言葉です。

つまり、「CPOやCPRは、CPAの一部」といえます(下図)。

cpa

ただ実際は、CPOやCPRのことを「CPA」と表現する方も多いため、会話する相手と定義をすり合わせることが重要です。

顧客獲得単価(CPA)の目標を設定する2つのステップ

顧客獲得単価(CPA)の目標設定は、下記の2ステップにそって行います。

【顧客獲得単価(CPA)の目標を設定する2つのステップ】

  • ステップ1 限界CPAを計算する
  • ステップ2 目標CPAを設定する

ステップ1 限界CPAを計算する

まずは、限界CPAを計算しましょう。限界CPAとは、「1人の顧客を得るためにかけられる費用の上限」のことです。「利益とプラスマイナス0になる広告費(=損益分岐点)」とも言い換えることができ、以下の式で求められます。

【限界CPAの計算式】

    売上単価-原価=限界CPA

以下、イヤホンの販売を例に、限界CPAを計算してみましょう。(※わかりやすいよう、シンプルに単価と仕入れ原価だけで出しています。実際には人件費や販売に使う資材費用なども原価に含めて計算をします)

【限界CPAの計算例】

  • 事業:イヤホンの販売
  • 仕入れ単価:10,000円
  • 仕入れ原価:7,000円
  • 売上単価10,000円-原価7,000円=限界CPA3,000

上記の条件で計算式に当てはめると、限界CPAは3,000円と計算できます。

ステップ2 目標CPAを設定する

次に、目標CPAを設定します。目標CPAとは、「1件あたり何円を目標にCVの獲得を目指すか」を意味する数値です。上述した「限界CPA」を把握した上で、以下の計算式を用いて確認・設定します。

【目標CPAの計算式】

    限界CPA-確保したい利益=目標CPA

こちらもさきほどのイヤホンを例に計算しましょう。

【目標CPAの計算例】

  • 売上単価:10,000円

  • 原価:7,000円
  • 限界CPA:3,000円
  • 確保したい利益:2,000円

限界CPA3,000円-確保したい利益2,000円=目標CPA1,000円 と計算できました。

この試算をもとに、例えば広告運用方針を見直すとすると、「利益を確保するために、CPA1,000円以内を目標に広告を運用する。CPA3,000円を超える場合は赤字のため、配信停止や大胆な改善も検討する」のが妥当だと考えられます。

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顧客獲得単価(CPA)3つの評価方法

ここからは顧客獲得単価(CPA)を使って、実際にどのように施策の良し悪しを評価する具体的な方法を、以下の3つ紹介します。

【顧客獲得単価(CPA)3つの評価方法】

  • 方法1 目標CPAと比較する
  • 方法2 LTVとのバランスを分析する
  • 方法3 CPAの相場を目安にする

方法1 目標CPAと比較する

まず1つ目は、現在のCPAと目標CPAとの比較です。「目標を上回れば利益、下回れば損益」というシンプルな考え方です。

  • 目標CPA5,000円に対し、現在のCPAが4,000円 =1,000円の利益
  • 目標CPA5,000円に対し、現在のCPAが6,000円 =1,000円の損益

目標CPAよりも現在のCPAが大きく下回っている(=利益が大きい)場合は、予算を追加することでさらに売上や利益を伸ばせる可能性があります。反対に、現在のCPAが目標CPAを大きく超過している場合は、CPAを改善できるよう施策内容を見直すか、施策そのものを中止するかなどの対処が必要と考えられます。

方法2 LTVと比較する

次に挙げられるのが、LTVとの比較です。(LTVとは顧客生涯価値、1人の顧客が一生のうちに生み出してくれる利益のこと)

「CPAがLTVを上回っていたら赤字なので見直し対象」という観点で費用対効果を判断します。

CPA

LTV

期待される利益

判定

5,000円 20,000円 15,000円 OK
25,000円 20,000円 -5,000円 NG

 

例えば、顧客の平均LTVが20,000円に対し、CPAが5,000円だとすると、長期的には15,000円の利益が得られる可能性があるので許容が可能です。しかし、CPAが25,000円だった場合は、顧客一人あたり5,000円の損失が発生するため、LTVを上げるかCPAを下げるかなど広告戦略の見直しが必要、というように考えます。

ただし、この評価方法には注意点があります。それは「CPA=注文とは限らない」ということです。冒頭でお伝えしたように、CPAには問い合わせや資料ダウンロードも含まれます。仮にCPA5,000円でも、獲得した全員が問い合わせ止まりで注文につながらなかった場合は利益が出ません。

そのため、LTVと比較をする際は、CPAではなくCPO(Cost Per Order/注文獲得単価)と比較をするのがおすすめです。

方法3 CPAの相場を目安にする

業界のCPA相場(平均値や範囲)と比較するのも評価方法の1つです。他社と比べることで、自社の広告運用が効率的かどうかを客観的に評価できます。

以下は、Google広告の平均CPAの相場を主要業界でまとめたものです。業界により差はありますが、1つの参考として見ておきましょう。

業界

リスティング広告

ディスプレイ広告

BtoB 約16,259円 約18,250円
Eコマース 約6,338円 約9,212円
教育 約10,178円 約20,070円
雇用サービス 約6,726円 約8,326円
金融・保険 約11,470円 約7,947円
医療 約10,934円 約10,162円
法律 約12,043円 約5,533円
不動産 約16,326円 約10,471円
テクノロジー 約18,692円 約14,504円
トラベル 約6,263円 約13,879円

出典:Google Ads Benchmarks for YOUR Industry ※金額は1ドル140円で計算。

顧客獲得単価(CPA)の4つの改善方法

ここからはCPAを改善するために知っておきたい、以下4つの方法を紹介します。

cpa

方法1 広告の品質を改善する

第一に、広告の品質を改善することが大切です。広告の品質を改善することで、CPC(Cost Per Click:1クリックあたりの費用)を下げることができ、結果的にCPAの抑制、低下にもつながります。Google広告のヘルプにも、広告の品質の改善によりCPCが改善される旨が記載されているのでご覧ください。

クリック 1 回あたりの費用: 一般に、広告の品質が高いほうが、クリック 1 回あたりの費用は安くなります。

引用:広告の品質について(Google 広告 ヘルプ)

では、「広告の品質を改善する」とは、具体的にどうすれば良いのでしょうか。

具体的な品質改善の方法として挙げられるのは、「ユーザーがクリックしたくなるような広告」を作成するということです。「期間限定キャンペーン」「サービスの強み」「サービスを利用後の未来(ベネフィット)」など、さまざまなテーマでの訴求を試み、反応の良かったテーマをもとに新たな広告を作成していく方法がおすすめです。

cpa

方法2 LP(ランディングページ)を改善する

LP(ランディングページ)を見直すのも、CPAの改善に有効です。
LPを改善することでCVR(Conversion Rate:ユーザーがCVする確率)が上がり、CPAの改善が見込めます。具体的な方法としては、ヒートマップの導入が挙げられます。ヒートマップで「見られていない箇所」や「クリックされていない箇所」を見つけ、その理由を考えて改善していきましょう。ヒートマップについてはこちらの記事で詳しくご紹介します。

方法3 ターゲティングを見直す

3つ目のCPA改善方法が、ターゲット(年齢や興味関心、配信先メディアなどの設定)の見直しです。業界や事業規模など、顧客の属性ごとにCPAを分析すると、獲得効率が低い属性が見つかるケースがあります。効果的ではない属性を獲得ターゲットから外せば、CPAを抑えることが可能です。

ただし、ターゲットを見直すときには、顧客属性ごとのLTVも見て判断しましょう。なぜなら、CPAがやや高めでも、それ以上のLTVが期待できれば利益向上につながる可能性があるからです。

LTVが高い顧客を多く獲得できれば、長期的に売上が安定します。CPAを抑えることを前提としつつも、LTVも考慮し、バランスよくターゲットを選定することを心がけましょう。

方法4 効果の悪い広告の配信を止める

もし成果が出ていない広告があれば、思い切って配信を停止するのも有効です。

ただし停止する場合は新しい広告の追加を行うようにしましょう。広告を停止するばかりでは、広告の出稿量が少なくなり、クリック率やCVRの低下につながる可能性があります。ターゲットの見直しと同様、LTVを考慮しつつ効果の良い広告を選ぶとよいでしょう。

「効果の悪い広告を停止⇒新たな広告の追加⇒効果の悪い広告を停止」のサイクルを回していくことで、徐々にCPAを改善することが可能です。

顧客獲得単価(CPA)を扱うときの3つの注意点

最後にCPAを見るときの注意点として以下3点、紹介します。

【顧客獲得単価(CPA)を扱うときの3つの注意点】

  1. CPAに固執しすぎない
  2. CPOの視点も持つ
  3. 定期的に目標CPAを見直す

注意点1 CPAに固執しすぎない

まず気をつけたいのがCPAに固執しすぎてしまうことです。

たしかにCPAは低ければ低いほど利益をセーブできるため重要です。しかし、すべてにおいてCPAを低くすべきかというと、そうとも限りません。

例えば、高単価かつ原価率の低いサービスを販売している場合、多少CPAが高くても十分に利益を残せる可能性があります。具体的には以下のとおりです。

【CPAが高くても利益が出る例】

売上単価:500,000円

原価:200,000円

限界CPA(損益分岐):300,000円

上記の場合、仮にCPAが10万だとしても約20万円の広告利益が残ります。一般論で言えばCPA10万は高い部類ですが、十分許容できる範囲といえるのではないでしょうか。

あるいは、新製品のローンチ時など、認知獲得が必要なシチュエーションであれば、CPAにとらわれずに広告などの販促を投じたほうがよい場合もあります。

CPAはあくまでも数ある指標のうちの1つです。CPAだけにとらわれ、施策を自ら狭めてしまわないようにしましょう。

注意点2 CPOの視点も持つ

CPAだけではなく、その後の「CPO」も一緒に見るようにしましょう。

製品やサービスの単価によっては、CPAが基準を上回ってても、成約率が高く高単価のリード獲得が見込める場合は、CPAだけではなくその後のCPOも含めて判断する柔軟性が大切です。

単にCPAを節減する目的で広告の質を下げ、結果として成約率が下がるような運用は避けることをおすすめします。

注意点3 定期的に目標CPAを見直す

最後に、目標CPAは定期的に見直しましょう。

CPAの相場は、競争環境や、景気、季節要因などによって大きく変動します。ずっと放置していると、相場から大きく外れた運用になり、利益効率を落としかねません。

数ヵ月に1度などタイミングを決めて、マーケットの相場とも照らし合わせつつ、精査することをおすすめします。

顧客獲得単価(CPA)を理解して効率的な広告運用を実施しよう

顧客獲得単価(CPA)は、広告の費用対効果を計るための重要な指標です。CPAを把握し、改善を重ね、効率的に利益を伸ばしましょう。もしなかなか目標CPAに到達しない場合は、ぜひこちら記事で紹介している改善方法をお試しください。

また、ナイルではCPAを下げるアイデア5つをまとめた無料のPDF資料をご用意しております。

  • 運用型広告のCPAを下げるコツ
  • ほかの広告手法を試す
  • CPAを下げるためのアクション

などについて解説しています。

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編集者情報

ナイル編集部
ナイル編集部

2007年に創業し、約15年間で累計2,000社以上の会社にマーケティング支援を行う。また、会社としても様々な本を出版しており、業界へのノウハウ浸透に貢献している。(実績・事例はこちら

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