Googleがアルゴリズムを変更する目的とSEOの役割

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Googleがアルゴリズムを変更する目的とSEOの役割
土居 健太郎(どい けんたろう)

著者情報

取締役 人事本部 本部長|土居 健太郎
2009年入社。SEO事業責任者、メディア責任者を経て2019年より人事本部を立ち上げ今に至る。著書に「10年つかえるSEOの基本」がある。

※本記事は、2014年公開当時の情報を基にした記事です。

ご存じの通り、Googleというシステムには日々様々な変更が加えられています。それに伴い、SEOを行う際に気をつけた方が良いこと、逆に気にしなくて良くなったこと、なども継続的に発生し、日々の情報収集と定期的な知識のアップデートが求められることは間違いありません。

しかし、そのようにGoogleに変更が加えられること、それに伴いSEOにも変更が必要になる場合があることなどから、「SEOはGoogleとのイタチごっこ」のような偏った理解をされている方や、逆に「SEOの時代は終わった、これから必要なのはSEOではない」などの極端な解釈をされている方が多いです。

出尽くした感の否めない話題ですが、改めてそのあたりについて整理しました。

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改めて、検索エンジンについて理解する

Googleという検索サービスのビジネスについて、最近東証一部に上場されたファンコミュニケーションズの柳澤社長(@ankeiy)がこれ以上ないくらい端的に表現されていたので引用させて頂きます。

 

Googleは世界中の情報をクローラーというプログラムで収集し、検索して取り出しやすいようにインデックス(索引)化し、検索キーワードが送信された際にその言葉の意味や検索の意図を理解し、ランキングアルゴリズム(≒ランキング算出ロジック)に基づき検索結果に表示する順序を決めて、それを検索結果に表示します。

ここで表示された検索結果が検索ユーザーにとって都合の良いものであればあるほどツールとしての利用価値は高いと言えますし、利用ユーザー数の獲得や利用頻度の向上につながります。

一方で、GoogleはAdWordsという広告プラットフォームを広告主に公開し、検索キーワードと関連性の高い広告を検索結果に表示できる仕組みを持っています。この広告がクリックされた時点で、Googleには広告収益が発生します。

従って、シンプルに考えてしまえば、検索ツールの利用者数や利用頻度が増えれば、総合的に検索結果に広告が表示される回数や広告クリック数が増え、結果としてGoogleの収益も増える、と言えますね。

つまりGoogleが検索ツールとしての収益を高めるためには、まず基本的な取り組みとして検索ツールの利用価値を高める、つまり「検索した人が見たい情報にすぐに辿りつける検索ツール」にするような取り組みが継続的に必要になるのです。

今のGoogleは完璧なシステムではない

前の記事の中でも触れた内容なのですが、文脈的にこちらでも引用しておきます。

不完全というのはどういう根拠のもとで言っているかと言えば、

・検索する人が検索する言葉をある程度考えて打ちこまないとうまく欲しい情報に辿りつけないことが多い
・サイトが検索エンジンが理解できるように作られていないときちんとヒットしないことが多い
・ユーザーが本来求めていないような情報が上位に表示されることが多い

などの点からです。

ということですね。

つまり、適切な検索キーワードが上手く思いつかなかったり、見たいサイトが検索エンジンにとって読み取りにくい仕様で作られていたりすればユーザーは見たい情報に辿りつけませんし、また、未だに内容として間違いだらけの情報が上位に表示されていたりもするわけです。

Googleは何のために日々の変更を行っているのか?

Googleが今の時点で理想とは言えないのであれば、当然そのギャップを埋めていくために様々な改善を加えていく必要があります。いわゆる「アルゴリズム更新」なんていうのもこの一環です。変わるのはアルゴリズムだけではなく、先ほどの

世界中の情報をクローラーというプログラムで収集し、検索して取り出しやすいようにインデックス(索引)化し、検索キーワードが送信された際にその言葉の意味や検索の意図を理解し、ランキングアルゴリズム(≒ランキング算出ロジック)に基づき検索結果に表示する順序を決めて、それを検索結果に表示する

という、一連のプロセスを実行するための仕組み全般において様々な変更が日々加えられています。実際には、これに加えて、不正な手法でランキングを操作しているサイトを人為的なオペレーションのもとでランクを下げるなどのスパム対策(手動対応)も取られたりしています。

Googleはとにかく、検索ユーザーに対してより理想に近い検索結果を返すために出来ることは何でもやろうとする、ということです。イメージとしてはこんな感じでしょうか。

とにかくGoogleの実情と理想がまだまだかけ離れているのでそのギャップを埋めるためにGoogleは頑張っているんですよという図です

例えばですが、昨年に実施された「ハミングバード・アップデート」について、あまりこうした話題に不慣れな方々が「ハミングバードによってリンクやSEO会社の出る幕は終わった、よりコンテンツが重要視される時代に」と言うような主旨のエントリーが書かれているのをいくらか見かけました。

しかし実際にはハミングバードとは、リンク評価やコンテンツの評価などではなく、上図で言う「検索された言葉の意味や意図をより的確に把握するため」のアップデートです。

具体的には、フレーズや言葉ではなくて、(音声検索の普及などを見越して)「会話型の検索キーワード」を今までより適切に解釈して上手く処理できるようになりました、と言った趣旨の変更でした。

では、SEOの役割とは?

Googleが検索結果の改善のために様々な取り組みを行っている一方で、ではSEOという考え方はどのような役割を果たすべきなのか?と考えてみましょう。先ほどの図の延長で見ればこういうことでしょうか。やや無理やり感がありますが。

SEOとは、検索する人が打ちこむキーワードを想定してページに反映しておく、検索エンジンが正しく理解できるようにサイトを作る、検索エンジンがユーザーに提示したいような情報を用意し、それが正しく優先表示されるようにする、など検索エンジンの実情を理解し、それでもユーザーが検索を通じてサイトに辿りつける状態にしておく、そのために必要な取り組みのことです。

Googleが、自社システムの不完全な部分を埋めるための取り組みを行っているのに対して、SEOは、現状のシステムの性能、将来的な検索エンジンの向かう先を理解をした上で、多くの検索ユーザーが検索結果を通じてサイトに辿りつける、という状態を安定して作っておくために行われるものなのです。

その中で、直接的なビジネスへの貢献度が高い(≒売上に直結しやすい)一部の商用キーワードにおいては、そのポジション争いが熾烈となり、過剰な手法を用いてランキングを上げようとする対策が蔓延しており、それがいわゆるブラックハットSEOと括られるものです。日本で「SEO」と称されているものの多くは、ここの部分を指して言われているものなのです。なので話が時折おかしな方向に行くんですね。

しかし、これは検索結果全体からみればごく一部の検索結果で苛烈に発生していることであり、大半の検索結果においてはそうしたものとはほぼ無関係です(なぜなら皆さんは普段買い物をするためだけに検索をするわけではありませんよね?)。

とにかく、SEOはGoogleの不完全さを、技術的またはマーケティング的なアプローチを以て補完し、サイトを検索から辿りつける状態にするための取り組み、と言えるものなのです。

「SEOはGoogleとのイタチごっこ」というのは本当なの?

もちろん本当ではありません。ただし、これは全くの間違いですかと言えばそうではなく、何かものすごく偏った、というかごく一部の側面だけを切り出した視点からの表現と言えます。具体的には、

  1. SEOとは、Googleの意図と関係なくランキングを操作する手法である
  2. Googleは、そうした手法を駆逐するために日々アルゴリズム変更を実施している
  3. SEOとGoolgeは、そうした意味で対立関係にあるものである

こうした偏った観点でのSEOとGoogleの考え方である、と言って良いと思います。

実際には、そもそもSEOの意図はそういうところではありませんし、Googleの変更は不正な手法の排除だけでは決してありませんし(スパム対策は検索結果の品質改善の取り組みのうちの一部でしかない)、SEOとGoogleは本来は先ほどお伝えしたように補完関係にあるはずのものです。

もともと、ちょっとしたサイトのチューニングと、人為的にリンクを増やして上位表示する、ということがSEOとして普及してきていたので、そういう視点で見るのであれば、逆にこういう表現がシックリ来るのは間違いないと思いますが。

SEOというアプローチそれ自体を見限るということは、場合によっては本来得られるべき自然検索トラフィックの多くを放棄することにもつながります。検索トラフィックはまだまだWeb全般で見たときには非常に大きなインパクトのあるものです。SEOを正しく理解し、またその重要度について正しく評価できることが重要です。

Googleは完璧な検索システムになり得るか?

まず、完璧なシステムって何よ?というとどういうことかと言えば、例えば

  • ユーザーが今欲しい情報を完璧に理解できるようになったとき
  • ユーザーと全く同じようにコンテンツを閲覧できるようになったとき
  • ユーザーが欲しい情報を有機的に判別できるようになったとき

のようなことが実現出来れば、今の発展形としてはかなり理想に近い検索ツールと言えると思います。そしてこうなれば、今のSEOノウハウなどとされているものの大半は無用の長物になっているでしょう。

しかし、完璧になる時代って訪れるんでしょうか?と言うと、少なくとも当分は訪れないと思います。少なくとも、今の「検索」という形式を取っている以上はなかなか難しいのではないでしょうか。

万人共通のベストアンサーがあるわけでもなければ、同じような情報を求めていたとしてもシチュエーションに応じて本来ベストなアンサーは異なるでしょうし、そこまで含めて全ての検索に対して常に最適解を提示できるというのはちょっと想像が出来ませんね。

Googleが多くの人に使われている中で、それが検索システムとして完璧でないのであれば、それを補完する技術としてSEOはまだまだ必要、と言えると思います。

まとめ

Googleは不完全なシステムですし、検索技術が進歩しても完璧なシステムがすぐに出来上がるわけではない以上、それを補完する(=検索サービスと、Webサイトと、検索ユーザーをつなぐ)ための技術は必要で、それがSEOです。

人々の情報探索行動の中で「検索すること」が重要なファクターである以上は、SEOは終わりませんし、変わらず重要な取り組みと言えます。それだけで物事が全て解決するわけではないというのは間違いありませんが、面倒で難しいからという理由でSEOを放棄するのはただ勿体ないとしか言いようがありません。

初心者向けの内容とは言え、ここに書かれている内容は、SEOに関わる人は全員が共通認識としてもっておいたほうが良い内容と思っています。少しでもためになったとか役に立ちそうと思った方は是非シェアなりブックマークなりして頂けると幸いです。

ナイル株式会社 土居

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編集者情報

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ナイル編集部

2007年に創業し、約15年間で累計2,000社以上の会社にマーケティング支援を行う。また、会社としても様々な本を出版しており、業界へのノウハウ浸透に貢献している。(実績・事例はこちら

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