GENKINGさん「Googleは使わない」発言から考える、プラットフォーム分散時代のSEO

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GENKINGさん「Googleは使わない」発言から考える、プラットフォーム分散時代のSEO

※本記事は、2016年公開当時の情報を基にした記事です。

Instagramでフォロワー84万人を誇るタレント・モデルGENKINGさんの「Googleでの検索はSEO対策されているから見ない(リアルじゃない)」という発言に対し、様々な意見が交わされています。

Googleは使わない、SEO対策しているから??Instagram有名人のGENKINGが語った10代の「リアル」
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Twitterの反応

「ビジネスがInstagramに入ってたらそれってリアルなの?」という指摘はさておき、10代の検索行動が変わっている、ということは重要な発見かと思います。 ここについて、SEOに携わる者の立場から考えを整理してみました。

「リアル」じゃないとはどういうことか

様々な解釈がありますが、僕はここでいう「リアル」=「自分たちの感覚に近い」「信じられる、嘘がない」という意味だと捉えました。

”Instagramをやっているのは10?20代。『大人っぽい』ものはクリックしないと思うんです。どの会社でも若い子がいて、そういう子のほうが『リアル』を知っている。そういう子にSNSのマーケティングを任せないと『わー、大人がやってるんだな』と思ってしまう” ? ”僕の友だちは雑誌を買わなくなっている。雑誌は作られていてリアルじゃないんですよ。Instagramは好きなモデルの私服を見られたり、すごくリアル。” ? 引用:Googleは使わない、SEO対策しているから??Instagram有名人のGENKINGが語った10代の「リアル」

Instagramは個人がやっている、顔が見える(投稿から人となりがイメージできる)。会社組織がやっていると人となりが見えないし、オッサン達がやっているから感覚が離れている。金の匂いがしてなんとなくうそ臭い。そんな感覚が読み取れます。 そういう意味では、検索して出てくる情報はInstagramのそれとは異なり、「リアルじゃない」という感覚があるのかもしれません。

人は自分の知る最適なプラットフォームで情報を探す

では、今後Google検索はInstagramなどのSNS内検索に取って代わられていくのでしょうか? ここについて、コミュニケーションプランニングのトップランナーであるさとなおさんと高広さんのFacebook上でのやり取りがとても参考になったので引用します。

この投稿の中のお二人のコメントのやり取り。

今回の記事に関するさとなおさんと高広さんのやり取り

さとなおさんはユーザーの情報の捉え方の変化が重要であることを説き、高広さんは実際の検索行動の変化について現実的な指摘をされています。どちらも重要な視点です。

”もとから若い世代になるほどWeb検索はしてません。加えて、今の10代が現在のライフステージにおいてWeb検索を使わず、instagramを使ってるからといって、将来にわたってWeb検索をしないということはないと思います。むしろ、ライフステージごとに必要としている情報が違うゆえに、それぞれに合わせたプラットフォームが使われているのである、と考えるほうが無難でしょう。”

このコメントに集約されていますが、人はその人の知っている範囲で最も適切なプラットフォームで情報を探します。なので、ライフステージや目的によってほしい情報が変われば使用するプラットフォームが変わってきて当然といえます

実際、「本を買うならAmazonで検索する」「レストランを探すなら食べログで検索する」といった行為はInstagram以前から存在し、スマホとアプリの普及によってその傾向は加速しています。

検索という行為はGoogle上で行うのが当然というわけではない、という現実を再認識させてくれたのはGENKINGさん発言の重要な一側面だと思います。

Googleの強みは「ストック情報」を「適切に、すぐに」教えてくれること

ユーザー層の違いのほかにもGoogle検索とソーシャル検索の間には決定的な違いがあります。それは「フロー情報」を見るか「ストック情報」を見るかということです。

そもそもSNSは様々なつながりのあるユーザーどうしが交流するためのプラットフォームであり、情報発見のためのプラットフォームではありません。何兆ページ蓄積された世界中のWeb情報を総合して、適切なページをランキング付けしてくれるというシステムは、検索エンジン特有のものです。

Instagramは今春のかわいいワンピースの情報を教えてくれますが、人が日射病で倒れた時の正しい処置方法は教えてくれません。「正確で信頼できる情報がほしい」「すぐに使える情報が欲しい」といったニーズに応えるという意味では、Googleの右にでるものはありません。

Googleもシェアを奪われないよう努力を続けている

また、Googleはただ単にテキスト情報を出すだけではありませんし、中身の伴わないSEO施策に左右されるほど甘くはありません。「誰がいつどんなシチュエーションで検索しても、欲しい答えを最速で返せる」という理想を目指して開発を行っているのがGoogleです。

ペンギンアップデートパンダアップデートを始めとするスパム対策はもちろんのこと、ユーザーが検索した場所に応じたアルゴリズム開発(ベニスアップデート)、音声検索などの複雑なクエリに対応したアルゴリズム(ハミングバード)なども、ユーザー行動が多様化する中で適切な答えを返そうとするGoogleの取り組みです。

ある意味、Facebookを始めとするソーシャル時代のプラットフォーマーと、検索の全てを握ろうとし続けるGoogleとのプラットフォーム同士の戦いであると見ることもできます。

FacebookのInstagram買収、FacebookのInstant ArticlesGoogleとTwitterの提携なども、こうしたメディアとユーザーをめぐる戦いの延長だといえるでしょう。

プラットフォーム分散時代のSEO – 一つのプラットフォームにとらわれない、という発想が必要

これまでSEOに取り組んできた事業者はどうすれば良いのでしょうか。

「今すぐSEOをやめてInstagramに移行すべき」とは当然なりませんが、ユーザーとコンテンツの接触方法および信じ方が変化してきているということは再認識すべきでしょう。

Instagramの例を引くまでもなく、ユーザーと企業とのタッチポイントは複雑化しており、それらを前提としてマーケティングを実施する必要性は増しています。にも関わらず、「検索向けだけにコンテンツを作る」「ソーシャル向けだけにコンテンツを作る」といった、特定のプラットフォームにとらわれた情報発信がなされているケースが非常に多いです。というか、無意識のうちに偏った発想になりがちです。

  • そのコンテンツは誰にどう考えて欲しくて公開しているのか
  • どんな経路で発見されることを期待しているのか

こうしたことを一つ一つのコンテンツ作りにおいて丁寧に考える必要があります。何を前提とするかによっても、コンテンツの作り方は随分と変わってきます。まず情報を届けたいユーザーとそのシチュエーションがあり、それを実現するために検索が適切であれば、SEOも考えてコンテンツを作る。SEOは目的ではなく手段であるべきですが、偏って見られがちな傾向があります。

SEOは上位表示のための小手先の技術ではなく、「ユーザーに向けた情報をいかに検索から発見してもらいやすくするか」という発想と手法です。ユーザーの意識と行動の変化の理解や、ユーザーにどういった価値を届けるかといったコンテンツ発想は、今後のSEOの取り組みでは必須になってきます。GENKINGさんの発言も、「SEOへの理解が甘い」として看過するべきものではないでしょう。

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2007年に創業し、約15年間で累計2,000社以上の会社にマーケティング支援を行う。また、会社としても様々な本を出版しており、業界へのノウハウ浸透に貢献している。(実績・事例はこちら

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